Perfilado de sección


    • 用語集 ADP(エーディーピー):アデノシン二リン酸
      ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
      アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
      アクチンフィラメント:タンパク質の複合体
      横紋構造(おうもんこうぞう):筋繊維を構成するアクチンとミオシンが規則正しく並ぶことでみられる模様
      解糖系(かいとうけい):糖の代謝経路
      筋芽細胞(きんがさいぼう):単核の細胞、集まって筋繊維となる
      筋原線維(きんげんせんい):筋繊維内の微小な繊維
      筋節(きんせつ):魚類の体側筋に見られる層状構造
      筋繊維(きんせんい):筋細胞のこと、筋肉を構成する線維状の細胞
      軽鎖(けいさ):タンパク質が大小2つの基本単位で構成されている場合の分子量の小さい方
      酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
      サイトゾル:細胞質から細胞小器官を除いた部分
      サルコメア:筋原線維の構造および筋収縮の単位
      重鎖(じゅうさ):タンパク質が大小2つの基本単位で構成されている場合の分子量の大きい方
      速筋(そっきん):すばやく収縮する筋肉
      血合筋(ちあいきん):血合肉、魚類に特有の筋肉
      遅筋(ちきん):ゆっくり収縮する筋肉
      ポリペプチド鎖:アミノ酸がペプチド結合によって直鎖状につながったもの
      ミオシン:タンパク質の1種
      ミオシンフィラメント:ミオシンが繊維状に結合したもの
      リン酸:リンのオキソ酸の1種

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:12,379
      筋肉と筋肉のタンパク質について
      簡単に説明させていただきます

      2
      00:00:12,379 --> 00:00:16,49
      筋肉は運動器官です

      3
      00:00:16,49 --> 00:00:23,23
      ご存知のように 哺乳類の骨格筋は
      骨と骨をつなぐ(非常に大きな長い器官です)

      4
      00:00:23,23 --> 00:00:26,226
      骨と(筋肉が)つながっている部分は結合組織

      5
      00:00:26,226 --> 00:00:31,64
      コラーゲンでできた腱で
      つながります

      6
      00:00:31,64 --> 00:00:35,669
      腱と腱の間が
      筋組織ということになります

      7
      00:00:36,770 --> 00:00:45,145
      筋肉の細胞 筋細胞は
      腱からもう片方の腱までの

      8
      00:00:45,145 --> 00:00:48,815
      非常に長い細胞になります

      9
      00:00:48,815 --> 00:01:03,263
      もともとは 小さな単核の筋芽細胞が融合して
      長い筋細胞になります

      10
      00:01:04,631 --> 00:01:12,205
      筋細胞は
      別名 筋繊維とも呼ばれます

      11
      00:01:12,205 --> 00:01:20,613
      筋繊維の中に さらに 細い筋原繊維が
      束になって入っています

      12
      00:01:20,613 --> 00:01:25,585
      横紋筋の筋原繊維には
      横紋構造(しま模様)があります

      13
      00:01:25,585 --> 00:01:27,454
      サルコメア構造といって

      14
      00:01:27,454 --> 00:01:33,693
      アクチンフィラメント ミオシンフィラメントが
      互い違いに配置しています

      15
      00:01:33,693 --> 00:01:35,962
      筋肉が収縮するときには

      16
      00:01:35,962 --> 00:01:39,966
      ミオシンフィラメントの間に
      アクチンフィラメントが滑り込むようにして

      17
      00:01:39,966 --> 00:01:45,305
      サルコメアが短縮することによって
      (筋肉が)収縮します

      18
      00:01:45,305 --> 00:01:50,610
      そのとき ATP(アデノシン三リン酸)が
      ADP(アデノシン二リン酸)と リン酸に分解されて

      19
      00:01:50,610 --> 00:01:55,15
      化学エネルギーが
      運動エネルギーに変換されます

      20
      00:01:55,15 --> 00:02:05,392
      このような基本的な事項は
      哺乳類でも魚類でも同じです

      21
      00:02:05,392 --> 00:02:10,797
      さらに無脊椎動物にも横紋筋はあり

      22
      00:02:10,797 --> 00:02:18,571
      非常に原始的な
      軟体動物や節足動物には もちろん

      23
      00:02:18,571 --> 00:02:23,109
      刺胞動物などにも 横紋筋はあります

      24
      00:02:23,610 --> 00:02:29,249
      基本的にはサルコメア構造をもって
      筋肉が収縮しています

      25
      00:02:29,249 --> 00:02:35,755
      今回の実験では 魚の筋肉から
      アクトミオシンというタンパク質を作ります

      26
      00:02:35,755 --> 00:02:45,732
      ミオシンフィラメントは ミオシンの分子が
      たくさん束になって できたものです

      27
      00:02:45,732 --> 00:02:49,436
      (アクトミオシンは) ミオシン分子の一つ一つが
      アクチンフィラメントに結合して

      28
      00:02:49,436 --> 00:02:54,374
      複合体を作ったような
      巨大な分子の複合体です

      29
      00:02:55,542 --> 00:03:00,747
      その(アクトミオシンの)溶液を
      精製します

      30
      00:03:00,747 --> 00:03:07,887
      また アクチンフィラメントやミオシンフィラメントの
      周辺の部分(サイトゾル)にも

      31
      00:03:08,254 --> 00:03:11,825
      タンパク質が
      たくさん存在しています

      32
      00:03:12,125 --> 00:03:19,399
      たとえば (筋肉の)収縮のエネルギー源となる
      ATPを作るための解糖系の酵素や

      33
      00:03:19,399 --> 00:03:25,538
      筋肉の中に 酸素を蓄えておくための
      ミオグロビンなど

      34
      00:03:25,538 --> 00:03:29,642
      そのようなものが周辺に漂っています

      35
      00:03:29,642 --> 00:03:34,214
      そのようなものが
      含まれた部分を抽出して

      36
      00:03:34,214 --> 00:03:38,918
      どんなものが含まれているか
      分析していくという操作を行います

      37
      00:03:38,918 --> 00:03:47,927
      魚類の筋肉も微細な横紋筋の構造は
      哺乳類と同じになります

      38
      00:03:47,927 --> 00:03:52,198
      一番特徴的な違いは
      筋節(きんせつ)というのが あることです

      39
      00:03:52,198 --> 00:04:00,674
      魚を焼いたり煮たりすると 肉がぽろぽろと
      部分部分に分かれてきます

      40
      00:04:00,674 --> 00:04:02,742
      その一つ一つが
      筋節です

      41
      00:04:02,742 --> 00:04:09,416
      筋節と筋節は
      コラーゲンの薄い膜で 接着されていて

      42
      00:04:09,416 --> 00:04:14,387
      体側全体が
      1つの大きな筋肉のように ふるまえます

      43
      00:04:14,387 --> 00:04:20,627
      そのうえで ある程度の柔軟性を持っているという
      形がとれるようになっています

      44
      00:04:20,627 --> 00:04:25,532
      この図は
      ブリの体側筋の断面です

      45
      00:04:25,532 --> 00:04:28,168
      右側が
      筋節の模式図です

      46
      00:04:28,168 --> 00:04:33,206
      (体側筋は) 非常に複雑な形をした筋節が
      たくさんくっついて できています

      47
      00:04:33,206 --> 00:04:40,947
      魚類の筋肉で 特徴的なのは
      血合筋と普通筋に 分けられることです

      48
      00:04:40,947 --> 00:04:46,653
      血合筋は表皮の下に近い部分にあり

      49
      00:04:46,653 --> 00:04:51,791
      見た目も食べた感じも
      普通筋と 全然違います

      50
      00:04:51,791 --> 00:04:59,199
      (血合筋も)アクチンとミオシンに富んだ
      横紋構造を持った筋肉になります

      51
      00:04:59,199 --> 00:05:07,474
      (普通筋に比べて) 血合筋は毛細血管が多く
      水分が多いという特徴があります

      52
      00:05:07,474 --> 00:05:10,43
      中に含まれているタンパク質についても

      53
      00:05:10,43 --> 00:05:13,13
      ミオシンとアクチンは
      血合筋と普通筋のどちらにも含まれますが

      54
      00:05:13,13 --> 00:05:21,287
      そのミオシンやアクチンの細かな構造
      (たとえば)アミノ酸の配列などが異なります

      55
      00:05:21,287 --> 00:05:28,428
      色の違いの主たる原因は
      血合筋の毛細血管が発達していることに加え

      56
      00:05:29,362 --> 00:05:39,339
      筋肉の色素である
      ミオグロビンが 血合筋に多いことが挙げられます

      57
      00:05:39,339 --> 00:05:47,213
      (普通筋と血合筋は) 色や形が違うだけでなく
      収縮に関する特性も違います

      58
      00:05:47,213 --> 00:05:54,521
      例えば 普通筋のほうが
      収縮する速度は大きいということが知られています

      59
      00:05:54,521 --> 00:05:58,725
      血合筋の部分は あまり収縮速度が
      大きくないけれども

      60
      00:05:58,725 --> 00:06:04,731
      多くの酸素を保持するために
      ミオグロビンが たくさん含まれており

      61
      00:06:04,731 --> 00:06:12,305
      普通筋とは特性を変えて
      役割分担をしていると 考えられています

      62
      00:06:12,305 --> 00:06:20,280
      血合筋は ミオグロビンも多く
      収縮速度も小さいということで

      63
      00:06:20,280 --> 00:06:25,85
      哺乳類でいうと 血合筋は遅筋(赤い筋肉)

      64
      00:06:25,85 --> 00:06:33,626
      普通筋は速筋(白い筋肉) に
      相当すると考えられています

      65
      00:06:33,626 --> 00:06:42,869
      速筋の方は瞬発力があり 大きいです
      遅筋は 持久力が高いといわれています

      66
      00:06:42,869 --> 00:06:45,638
      (普通筋と血合筋に)
      含まれるタンパク質は

      67
      00:06:45,638 --> 00:06:49,142
      似てはいますが
      全く同じではありません

      68
      00:06:49,142 --> 00:06:53,279
      ミオシンというのは
      このような形をした分子です

      69
      00:06:53,279 --> 00:06:57,584
      分子量50万という
      非常に大きなタンパク質です

      70
      00:06:57,584 --> 00:07:06,993
      重鎖2つ 軽鎖4つ 合計6つのポリペプチド鎖が
      1つのミオシン分子を作っています

      71
      00:07:07,360 --> 00:07:10,463
      さらに ミオシン分子それぞれが

      72
      00:07:10,463 --> 00:07:17,904
      長く伸びた 尾部(Tail)同士で
      くっつき合って ミオシンの束を作ります

      73
      00:07:18,171 --> 00:07:23,643
      それがミオシンフィラメントと呼ばれ
      横紋筋の中に 存在している状態になります

      74
      00:07:23,643 --> 00:07:31,885
      この図はミオシンの重鎖について
      アミノ酸配列を示したものです

      75
      00:07:32,118 --> 00:07:36,189
      上の方がN末端

      76
      00:07:36,189 --> 00:07:38,324
      右下がC末端です

      77
      00:07:38,324 --> 00:07:43,997
      約1940個のアミノ酸が
      つながってできています

      78
      00:07:43,997 --> 00:07:48,735
      (ミオシン分子の)頭部の
      洋ナシの形をした方がN末端です

      79
      00:07:48,735 --> 00:07:51,137
      尾部がC末端です

      80
      00:07:51,137 --> 00:07:57,844
      ここで示したアミノ酸配列は
      何行にも分かれています

      81
      00:07:57,844 --> 00:08:00,280
      それぞれの行が
      さらに2つに分かれています

      82
      00:08:00,814 --> 00:08:05,685
      上の方がゼブラフィッシュの普通筋の
      ミオシンの重鎖

      83
      00:08:05,685 --> 00:08:10,690
      下の方が血合筋の
      ミオシン重鎖です

      84
      00:08:11,157 --> 00:08:17,30
      血合筋のミオシン重鎖は
      普通筋ミオシン重鎖と同一の場合 「・」で示しています

      85
      00:08:17,30 --> 00:08:23,670
      違うところは 1文字の
      アミノ酸の略号を入れています

      86
      00:08:23,803 --> 00:08:28,675
      このように 共通しているところが
      たくさんありますが

      87
      00:08:28,675 --> 00:08:31,111
      違うところも
      たくさんあります

      88
      00:08:31,811 --> 00:08:39,552
      約1940個のアミノ酸のうち 20%以上が
      普通筋と血合筋で違います

      89
      00:08:39,552 --> 00:08:45,959
      青色で示したのは 頭部のアミノ酸配列
      赤色で示したのは 尾部のアミノ酸配列です

      90
      00:08:45,959 --> 00:08:53,99
      頭部はATPを分解する作用の
      酵素活性を持っています

      91
      00:08:53,99 --> 00:08:58,638
      アクチンと結合したり 解離したりして
      アクチンフィラメントを手繰り寄せるのも頭部の役割です

      92
      00:08:58,638 --> 00:09:06,713
      こうしたアミノ酸配列の違いが
      アクチンとミオシンが滑り合う速度の違いとなり

      93
      00:09:06,713 --> 00:09:13,19
      血合筋と普通筋の特性の違いに
      関わっていると考えられています

      94
      00:09:13,19 --> 00:09:15,689
      具体的に
      どのアミノ酸が どう違っているから

      95
      00:09:15,689 --> 00:09:21,161
      収縮が 遅いとか速いとかといった
      細かいところまでは まだ分かっていませんが

      96
      00:09:21,161 --> 00:09:26,766
      こういう(アミノ酸配列の)違いが
      筋肉の特性の違いにまでつながっています


    • 用語集 アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
      遠沈管(えんちんかん):遠心分離機を用いた実験に使われる容器
      解糖系(かいとうけい):糖の代謝経路
      筋原線維(きんげんせんい):筋繊維内の微小な繊維
      カラムクロマトグラフィー:筒状の容器(カラム)を利用して物質を分離、精製する手法
      緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpH が大きく変化しない溶液
      筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
      酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
      サイトゾル:細胞質から細胞小器官を除いた部分
      サルコメア:筋原線維の構造および筋収縮の単位
      熱変性(ねつへんせい):タンパク質が高温により変性すること
      ミオグロビン:タンパク質の1種
      ミオシン:タンパク質の1種

      字幕 1
      00:00:05,705 --> 00:00:12,245
      この実験では
      コイの普通筋からタンパク質を作ります

      2
      00:00:12,245 --> 00:00:20,954
      血合筋から作ったタンパク質と
      普通筋から作ったタンパク質は 構造も特性も違います

      3
      00:00:20,954 --> 00:00:28,395
      普通筋と血合筋を
      一緒くたに扱うのは学問的によくないため

      4
      00:00:28,395 --> 00:00:37,203
      筋組織の主要な部分である
      普通筋だけを材料にして進めていきます

      5
      00:00:37,203 --> 00:00:45,679
      タンパク質は 他の生体高分子である
      多糖類や核酸よりも 変性を起こしやすいです

      6
      00:00:46,79 --> 00:00:54,154
      変性を起こすと本来の機能や
      特性を失ってしまい 実験になりません

      7
      00:00:54,154 --> 00:00:58,425
      特に熱変性に
      気をつけていただきます

      8
      00:00:58,425 --> 00:01:03,396
      (魚類のタンパク質は)低い温度で
      効率的に働けるようにできていますが

      9
      00:01:03,396 --> 00:01:09,502
      逆に加熱による変性には
      とても弱いという特徴があります

      10
      00:01:09,502 --> 00:01:14,207
      溶液を室温に置いておくだけで
      加熱しているのと同じです

      11
      00:01:14,207 --> 00:01:18,545
      徐々に熱変性を
      起こしてしまいます

      12
      00:01:18,545 --> 00:01:31,324
      そうならないように 試料の溶液 材料 試薬 実験器具を
      常に冷やしながら (実験を)行います

      13
      00:01:31,725 --> 00:01:39,632
      ビーカーが冷えたら
      材料となるコイの挽肉を(4.5g) 入れます

      14
      00:01:40,367 --> 00:01:44,404
      低塩濃度緩衡液を
      (冷やした)三角フラスコに取り分けますので

      15
      00:01:44,404 --> 00:01:50,310
      ビーカーの目盛り50ml (挽肉の10倍の量)まで
      三角フラスコから注ぎます

      16
      00:01:50,310 --> 00:01:58,952
      ガラス棒で挽肉を砕くようにしながら
      ゆっくり攪拌します

      17
      00:01:59,252 --> 00:02:09,329
      変性を防ぐためのもう一つの注意点は
      攪拌するときに 泡立てないこと

      18
      00:02:09,329 --> 00:02:16,736
      泡が立つということは
      タンパク質が空気とふれる部分が 多くなります

      19
      00:02:17,804 --> 00:02:28,782
      空気が触れると 空気中の酸素によって
      酸化による変性が起こります

      20
      00:02:28,782 --> 00:02:32,919
      だいたい5分ほど攪拌します

      21
      00:02:32,919 --> 00:02:42,529
      攪拌しても 筋肉は溶けていません

      22
      00:02:42,529 --> 00:02:45,365
      でも 一部だけ溶け出しています

      23
      00:02:45,365 --> 00:02:52,305
      溶け出しているのは サルコメアを形作っている
      ミオシンやアクチンではなく

      24
      00:02:52,305 --> 00:02:55,408
      その周辺の サイトゾルが
      溶けだしています

      25
      00:02:55,408 --> 00:02:57,977
      それを分離します

      26
      00:02:57,977 --> 00:03:06,453
      (ビーカーに)長方形のガーゼ1枚を
      二つ折りにしてのせます

      27
      00:03:06,453 --> 00:03:14,494
      そこに100ml のビーカーに入っている
      懸濁液を注ぎます

      28
      00:03:14,494 --> 00:03:20,100
      すると 濾液 それからガーゼの上に
      残渣が残ります

      29
      00:03:20,100 --> 00:03:24,537
      残渣のほうに
      アクチンやミオシンが入っています

      30
      00:03:24,537 --> 00:03:28,174
      濾液のほうには サイトゾルの成分

      31
      00:03:28,174 --> 00:03:35,648
      筋形質画分と呼ばれる
      ミオグロビンや解糖系の酵素が 入っています

      32
      00:03:35,648 --> 00:03:37,650
      (残渣と濾液の)
      どちらも(実験に) 使います

      33
      00:03:37,650 --> 00:03:43,690
      (おおかた濾過ができたら )
      きれいな手で残渣をくるっと丸めて

      34
      00:03:43,690 --> 00:03:48,828
      きゅっきゅっきゅっと
      軽く絞って 濾液を切ります

      35
      00:03:51,998 --> 00:04:01,975
      ガーゼを通り抜けた濾液は 筋形質画分と言われ
      カラムクロマトグラフィーで 後日分析します

      36
      00:04:02,8 --> 00:04:11,584
      遠沈管に10ml くらい
      注いでください

      37
      00:04:11,584 --> 00:04:16,389
      キャップをして
      (濾液は)冷凍庫に保管します

      38
      00:04:16,389 --> 00:04:23,997
      ガーゼの上の残渣は もう1回
      低塩濃度緩衡液50ml を入れ ガラス棒で攪拌して

      39
      00:04:24,497 --> 00:04:27,300
      また 2層のガーゼで
      濾過します

      40
      00:04:27,300 --> 00:04:33,373
      2回目の濾液は
      成分が薄くなりますので 使いません

      41
      00:04:33,373 --> 00:04:39,479
      2回目の濾過が終わった後の
      ガーゼの上の残渣は

      42
      00:04:39,479 --> 00:04:43,350
      筋原線維が主成分です

      43
      00:04:43,350 --> 00:04:47,53
      50ml のスタンド付き遠沈管に
      残渣の塊を入れます

      44
      00:04:47,53 --> 00:04:49,489
      50ml のスタンド付き遠沈管に
      残渣の塊を入れます

      45
      00:04:49,889 --> 00:04:57,564
      (ここに)25ml の
      高塩濃度緩衡液を入れます

      46
      00:04:57,564 --> 00:05:08,141
      遠沈管を氷に差して冷やしながら
      ガラス棒でつついて 泡立てないように攪拌します

      47
      00:05:08,141 --> 00:05:13,279
      (全体が)均一になるまで 攪拌したら
      今日の作業は終了です

      48
      00:05:14,414 --> 00:05:17,317
      アクトミオシンは
      冷凍すると 失活してしまうので

      49
      00:05:17,317 --> 00:05:23,857
      (絶対に冷凍室には入れず )
      冷蔵庫のスタンドラックに並べてください

      50
      00:05:26,526 --> 00:05:36,936
      2日後まで静置している間
      アクトミオシンの抽出が進みます


    • 用語集 KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
      M(モーラー):mol/L

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:10,477
      2日間冷蔵庫で静置することで
      アクトミオシンが溶け出してきているので

      2
      00:00:10,477 --> 00:00:15,348
      溶液の粘度が上がって
      かなりどろっとした状態に なっています

      3
      00:00:15,648 --> 00:00:23,823
      氷で冷やしたビーカーの上にガーゼを載せて
      試料を濾過し 濾液を回収します

      4
      00:00:23,823 --> 00:00:30,196
      濾液は粘度があって
      濾過するのに時間がかかるかもしれませんが

      5
      00:00:31,197 --> 00:00:37,303
      濾液の体積は20ml くらい
      少なくても15ml くらい回収します

      6
      00:00:37,303 --> 00:00:40,540
      体積はビーカーの
      目盛りではかります

      7
      00:00:40,573 --> 00:00:45,979
      残渣は溶け残った
      筋原線維が大半ですが

      8
      00:00:45,979 --> 00:00:52,352
      結合組織などが
      濾液の中に 混ざってしまいますので

      9
      00:00:52,719 --> 00:00:58,324
      ガーゼでこすったり
      絞ったりするのは やめてください

      10
      00:00:59,192 --> 00:01:08,535
      次に 氷の上の濾液の入ったビーカーに
      冷純水(冷蒸留水)を加えます

      11
      00:01:08,535 --> 00:01:13,573
      ビーカーの目盛りで読み取った濾液の
      3倍の体積の冷純水を加えます

      12
      00:01:13,573 --> 00:01:24,651
      20ml とれていたら60ml
      15ml とれていたら45ml の冷純水を加えます

      13
      00:01:26,19 --> 00:01:30,457
      濾液に冷純水を加えて
      ガラス棒で攪拌します

      14
      00:01:31,991 --> 00:01:39,799
      塩濃度は冷蔵庫の中では
      0.6M KCl でしたが

      15
      00:01:39,799 --> 00:01:49,809
      3倍体積の水を加えますので
      塩濃度は1/4=0.15M KCl になります

      16
      00:01:49,976 --> 00:01:54,848
      するとアクトミオシンが不溶化してきます

      17
      00:01:54,848 --> 00:02:00,720
      アクトミオシンというタンパク質は
      高塩濃度の約0.3M KCl 以上では 溶けていますが

      18
      00:02:00,720 --> 00:02:07,27
      0.2M KCl 以下ですと
      不溶化して 析出するという特性を持っています

      19
      00:02:07,27 --> 00:02:11,197
      このような特性を持ったタンパク質は
      筋肉の中には他にないので

      20
      00:02:12,232 --> 00:02:17,904
      それを利用して精製します
      アクトミオシンの純度を高めます

      21
      00:02:17,904 --> 00:02:26,646
      0.15M KCl になるとアクトミオシンが析出して
      溶液が白く濁ります


    • 用語集 緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:10,777
      (アクトミオシンは)粒子が
      小さすぎるため 遠心力をかけ

      2
      00:00:10,777 --> 00:00:12,912
      不溶化したものを
      沈殿として回収します

      3
      00:00:12,946 --> 00:00:21,521
      アクトミオシン以外のタンパク質は
      塩濃度を下げても不溶化せず

      4
      00:00:21,521 --> 00:00:24,90
      遠心分離をしても
      上澄みに留まります

      5
      00:00:24,90 --> 00:00:25,792
      そして 上澄みを捨てれば

      6
      00:00:25,792 --> 00:00:31,598
      沈殿から より純度の高まった
      アクトミオシンを回収できるというやり方になります

      7
      00:00:31,598 --> 00:00:40,507
      遠沈管2本に (懸濁液を)
      同じ体積になるように加えます

      8
      00:00:40,507 --> 00:00:46,312
      (2本の遠沈管の)重さは
      天秤を使って揃えます

      9
      00:00:46,312 --> 00:00:51,351
      (遠心分離を行います)

      10
      00:00:51,351 --> 00:00:56,356
      (同じ重さの遠沈管が 対称になるよう)

      11
      00:00:56,356 --> 00:01:01,361
      (高速冷却遠心機の ローターにセットします)

      12
      00:01:01,361 --> 00:01:06,866
      蓋を閉めます

      13
      00:01:06,866 --> 00:01:12,872
      蓋をしないと (試料)が漏れたときに
      (遠心機の)中身が大変なことになります

      14
      00:01:12,872 --> 00:01:15,275
      この(外側の)蓋も
      よく閉めます

      15
      00:01:15,275 --> 00:01:22,315
      回転数1万1千回
      回転時間5分間 温度4℃ に設定します

      16
      00:01:22,315 --> 00:01:30,757
      回転半径と回転数の表があって
      1万1千回転だと1万g かかるようになっています

      17
      00:01:30,757 --> 00:01:34,461
      スタートボタンを押します

      18
      00:01:34,494 --> 00:01:36,730
      回転が始まる音がします

      19
      00:01:36,730 --> 00:01:41,901
      回転数が1万1千 に達するまでは
      そばから離れないようにします

      20
      00:01:41,901 --> 00:01:44,938
      回転する音以外にも

      21
      00:01:44,938 --> 00:01:48,508
      冷蔵機能付きの遠心機のため

      22
      00:01:48,508 --> 00:01:54,147
      ガーッという音が鳴りますが
      正常の範囲内の音です

      23
      00:01:54,147 --> 00:02:06,860
      機械が揺れたり
      まっすぐ回っていないような音がしたりすると危険です

      24
      00:02:06,860 --> 00:02:07,894
      今回は 大丈夫ですね

      25
      00:02:10,563 --> 00:02:14,401
      7千回転 8千回転と
      (回転数が)徐々に上がっていきます

      26
      00:02:14,401 --> 00:02:20,674
      ACCELとDECELは9という値が最大で
      加速も減速も最大速度になっています

      27
      00:02:20,674 --> 00:02:25,11
      (回転数) 1万8百 1万9百

      28
      00:02:25,11 --> 00:02:27,814
      回転数が設定(1万1千)まで上がると
      タイマーがスタートします

      29
      00:02:27,814 --> 00:02:29,215
      今から5分間 回ります

      30
      00:02:29,215 --> 00:02:30,717
      (遠心分離 終了!)

      31
      00:02:30,717 --> 00:02:32,986
      (遠心分離 終了!)
      蓋を開けます

      32
      00:02:32,986 --> 00:02:39,225
      (遠沈管を冷やしながら
      実験室に持ち帰ります)

      33
      00:02:39,225 --> 00:02:45,899
      (白く沈殿しているものが
      不溶化したアクトミオシンです)


    • 用語集 緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
      透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
      透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:12,112
      次に この沈殿物を
      アクトミオシが溶ける高塩濃度緩衝液に溶かします

      2
      00:00:12,112 --> 00:00:14,814
      2本の遠沈管に

      3
      00:00:14,814 --> 00:00:22,756

      それぞれ高塩濃度緩衝液 5ml を加えます

      4
      00:00:22,756 --> 00:00:24,424
      沈殿を溶かします

      5
      00:00:24,424 --> 00:00:24,491
      沈殿を溶かします

      6
      00:00:24,491 --> 00:00:34,167
      溶かす時は 駒込ピペットの先端で
      沈殿をぐりぐりと崩します

      7
      00:00:34,934 --> 00:00:46,12
      それから 駒込ピペットのゴム球を握ったり戻したりして
      水流を起こして 沈殿を砕きます

      8
      00:00:46,12 --> 00:00:50,917
      ただ その際に泡をなるべく
      入れない(ように注意してください)

      9
      00:00:50,917 --> 00:00:55,755
      泡を入れると
      空気による酸化の変性が起こります

      10
      00:00:55,755 --> 00:01:01,461
      (沈殿が)溶けた液について
      今度は透析操作を行います

      11
      00:01:01,461 --> 00:01:08,702
      沈殿は 0.15M KCl
      加えた高塩濃度緩衝液は 0.6M KCl

      12
      00:01:08,702 --> 00:01:10,770
      塩濃度が不定です

      13
      00:01:10,770 --> 00:01:15,809
      どれくらいの量 高塩濃度緩衝液を加えたか
      どれくらい沈殿ができたかによって

      14
      00:01:15,809 --> 00:01:17,477
      塩濃度が一定しません

      15
      00:01:17,477 --> 00:01:20,447
      これは今の実験に
      支障をきたしますので

      16
      00:01:21,181 --> 00:01:25,552
      所定の溶媒になるように
      透析を行います

      17
      00:01:25,552 --> 00:01:33,426
      半透膜でできたチューブの中に
      タンパク質の溶液を入れて

      18
      00:01:33,426 --> 00:01:37,764
      たくさんの透析外液の入った
      ビーカーに入れておきます

      19
      00:01:37,797 --> 00:01:44,404
      すると タンパク質などの高分子は
      膜を透過しないので

      20
      00:01:44,404 --> 00:01:46,6
      チューブの中に留まります

      21
      00:01:46,6 --> 00:01:52,512
      水の分子や塩のイオンなどは
      膜を自由に透過するので

      22
      00:01:52,512 --> 00:01:58,651
      (最初) 試料の塩濃度と
      透析外液の塩濃度は違っていましたが

      23
      00:01:58,651 --> 00:02:00,620
      時間がたつと同じになってきます

      24
      00:02:00,620 --> 00:02:05,658
      透析外液を何度も何度も
      新しいものに交換していくと

      25
      00:02:05,658 --> 00:02:13,99
      意図した透析外液の塩濃度に
      試料の塩濃度を完全に合わせることができます

      26
      00:02:13,99 --> 00:02:16,169
      通常は 何度も何度も
      透析外液を交換するのですが

      27
      00:02:16,169 --> 00:02:22,609
      (今回の実験では) 交換しません
      透析をしながら 翌日まで置いて できあがりです

      28
      00:02:22,609 --> 00:02:23,877
      透析の方法は

      29
      00:02:23,877 --> 00:02:30,884
      ビーカーに0.6M KCl の
      高塩濃度緩衝液500ml を入れておきます

      30
      00:02:30,884 --> 00:02:33,386
      冷蔵庫で 一晩置いておくと

      31
      00:02:33,386 --> 00:02:38,391
      塩濃度が 透析外液と揃って
      透析は完了します


    • 用語集 アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      吸光度(きゅうこうど):溶液に吸収される光の量
      検量線(けんりょうせん):得られたデータと目的とする量との対応を規定するグラフ
      透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
      ビウレット法:タンパク質を検出する手法の1種
      ブランク:評価する対象を抜いた試料

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:08,108
      今日はまず タンパク質濃度を測ります

      2
      00:00:08,108 --> 00:00:13,113
      どのくらいの量のアクトミオシンが
      取れたかを把握します

      3
      00:00:13,113 --> 00:00:17,83
      ビウレット法は 検量線を使って

      4
      00:00:17,83 --> 00:00:21,654
      未知の試料のタンパク質濃度を求める
      という操作になります

      5
      00:00:21,654 --> 00:00:26,926
      まず透析している試料を 取り出します

      6
      00:00:26,926 --> 00:00:30,263
      初めに遠沈管を
      氷に刺して冷やしておき

      7
      00:00:30,263 --> 00:00:33,400
      透析チューブの試料を絞り出します

      8
      00:00:33,466 --> 00:00:41,508
      出したあと
      透析外液が新たに中に入ってきて

      9
      00:00:41,508 --> 00:00:45,679
      濃度の高いところと低いところとがあり
      均一になっていません

      10
      00:00:45,679 --> 00:00:53,19
      なので上下に振ったり回転させたりなど
      泡が立たないように軽く混ぜて濃度を均一にします

      11
      00:00:54,988 --> 00:00:57,891
      (遠沈管)は氷に刺して
      置いておきます

      12
      00:00:57,891 --> 00:01:00,360
      まず試験管を4本用意します

      13
      00:01:00,360 --> 00:01:05,398
      きれいな乾いた試験管を用意し
      ラベルを貼ります

      14
      00:01:05,398 --> 00:01:07,133
      1本はブランクです

      15
      00:01:07,133 --> 00:01:17,143
      残り3本で 3通りの希釈濃度の
      アクトミオシン溶液を用意します

      16
      00:01:17,143 --> 00:01:28,21
      1000μl のマイクロピペットを使って
      (100、200、500μl ずつ)アクトミオシンの溶液を入れます

      17
      00:01:28,21 --> 00:01:34,127
      次に高塩濃度緩衝液を入れます
      (それぞれの試験管の全量を1000μl にします)

      18
      00:01:34,127 --> 00:01:39,65
      ビウレット試薬を10ml のメスピペットに

      19
      00:01:39,65 --> 00:01:42,969
      安全ピペッターを取り付けて

      20
      00:01:42,969 --> 00:01:46,673
      4ml ずつ(加えて)いきます

      21
      00:01:46,673 --> 00:01:49,309
      ビウレット試薬を 1本の試験管に加えるごとに
      激しく攪拌します

      22
      00:01:49,309 --> 00:01:52,479
      30分後に吸光度を測ります

      23
      00:01:52,479 --> 00:01:57,150
      タンパク質濃度の低いもの 吸光度の低いものから
      順番に測っていきます

      24
      00:01:57,150 --> 00:02:01,554
      そこから
      ブランクの吸光度を引き算して

      25
      00:02:01,554 --> 00:02:08,328
      検量線からタンパク質濃度を求めます

      26
      00:02:08,328 --> 00:02:14,334
      タンパク質濃度は (1本の試験管から1つ)
      (合計で)3つ出ます

      27
      00:02:14,334 --> 00:02:17,303
      3つは (希釈濃度に応じて10、5、2倍すれば)
      本来 同じ(原液の)値になるはずです

      28
      00:02:17,337 --> 00:02:22,609
      希釈の仕方が正確であれば
      (希釈濃度に応じて計算すると) 3つとも同じ値になるはずです

      29
      00:02:24,10 --> 00:02:30,417
      1つ外れた値がある これは明らかにおかしい
      という値があれば除外して

      30
      00:02:30,417 --> 00:02:32,752
      残りの2つの平均で行います

      31
      00:02:32,752 --> 00:02:38,992
      どれも同じようにばらついて
      どれが外れ値なのか分からない場合は

      32
      00:02:38,992 --> 00:02:44,30
      3つの値を平均して
      タンパク質濃度とします

      33
      00:02:44,30 --> 00:02:58,311
      タンパク質濃度というのは50ml の遠沈管から抜き出した
      アクトミオシンの原液の濃度ということになります


    • 用語集 ADP(エーディーピー):アデノシン二リン酸
      ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
      Z線(ゼットせん):横紋筋のサルコメアを仕切る盤状の構造
      アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
      アクチンフィラメント:タンパク質の複合体
      アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      ウラン:ウラニウム、原子番号92の元素
      加水分解(かすいぶんかい):反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応
      光学顕微鏡(こうがくけんびきょう):可視光線を利用する顕微鏡
      酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
      酢酸ウラン:酢酸ウラニル、ネガティブ染色法に使用される
      サルコメア:筋原線維の構造および筋収縮の単位
      重金属(じゅうきんぞく):比重が4以上の金属元素
      超沈殿(ちょうちんでん):アクトミオシンに、ATPを加えると収縮して生じる特異な沈殿
      電子線(でんしせん):電子ビーム、ある方向に向かう電子の流れ
      透過型電子顕微鏡(とうかがたでんしけんびきょう):観察対象に電子線をあて、透過してきた電子線の強弱から観察する電子顕微鏡
      トロポニン:トロポニンT、I、Cの複合体
      トロポミオシン:アクチン結合タンパク質
      ニトロセルロース:セルロースの硝酸エステル
      ネガティブ染色法:試料の周辺を染色することによって観察する手法
      ミオシンフィラメント:ミオシンが繊維状に結合したもの
      ミオシン:タンパク質の1種
      リン酸:リンのオキソ酸の1種

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:12,45
      皆さんが作るアクトミオシンは
      非常に巨大な分子になります

      2
      00:00:12,45 --> 00:00:17,751
      溶液になっていて溶けていますが
      分子がすごく大きいので

      3
      00:00:17,751 --> 00:00:21,654
      電子顕微鏡で見ると
      観察することができます

      4
      00:00:21,654 --> 00:00:41,7
      こちらの左側の写真は
      観察倍率2万倍で

      5
      00:00:41,7 --> 00:00:47,447
      作ったアクトミオシンを染色して
      電子顕微鏡で観察したものです

      6
      00:00:47,447 --> 00:00:51,451
      透過型電子顕微鏡なのですが

      7
      00:00:51,451 --> 00:00:54,688
      光学顕微鏡と違って

      8
      00:00:54,688 --> 00:01:02,495
      像のコントラストは
      電子線の通りやすさで付きます

      9
      00:01:02,495 --> 00:01:08,668
      電子線が通りにくい所は色が濃く見えて
      通りやすい所は明るく見える

      10
      00:01:08,668 --> 00:01:15,742
      染色するときに
      電子を通しにくいような染色剤を使います

      11
      00:01:15,742 --> 00:01:21,614
      この場合は重金属 ウラン
      酢酸ウランという試薬を使って

      12
      00:01:21,614 --> 00:01:29,889
      まず ニトロセルロースの薄い膜に溶液を垂らして

      13
      00:01:29,889 --> 00:01:36,496
      そこに酢酸ウランの溶液を垂らして乾燥する

      14
      00:01:36,496 --> 00:01:43,303
      するとタンパク質の分子があって
      分子そのものはウランでは染まらないのですが

      15
      00:01:43,303 --> 00:01:47,774
      (タンパク質の)周辺にウランの溶液がたまります

      16
      00:01:47,774 --> 00:01:52,312
      そして乾燥したものを
      透過型電子顕微鏡で観察すると

      17
      00:01:52,312 --> 00:01:55,315
      タンパク質分子は白く抜けて見えますが

      18
      00:01:55,315 --> 00:02:00,320
      その周辺が暗くなって
      タンパク質分子の形が見えるという

      19
      00:02:00,320 --> 00:02:03,23
      ネガティブ染色法というのですが

      20
      00:02:03,23 --> 00:02:07,494
      そのようにしてアクトミオシンの観察ができます

      21
      00:02:07,494 --> 00:02:14,367
      長さは1.2μm
      光学顕微鏡でも見える長さです

      22
      00:02:14,367 --> 00:02:20,106
      これをさらに拡大してみると
      このようになります

      23
      00:02:20,106 --> 00:02:24,477
      この1本1本が
      アクトミオシンの分子です

      24
      00:02:24,477 --> 00:02:30,417
      これを見ると 突起のようなものがたくさん出ています

      25
      00:02:30,417 --> 00:02:35,88
      この突起は ミオシン分子です

      26
      00:02:35,88 --> 00:02:39,659
      アクトミオシンはどのようなものかというと

      27
      00:02:39,659 --> 00:02:45,532
      まず アクチンフィラメントが
      アクトミオシンの中に存在しています

      28
      00:02:45,532 --> 00:02:50,303
      アクチンフィラメントというのは
      アクチンが100% でできているのではなくて

      29
      00:02:50,303 --> 00:02:55,408
      アクチンは この球状のタンパク質で

      30
      00:02:55,408 --> 00:03:01,381
      それが数珠つなぎになって
      二重らせんを描いて長くなっているのですが

      31
      00:03:01,381 --> 00:03:07,253
      その上にトロポミオシンやトロポニンという
      タンパク質が結合しています

      32
      00:03:07,253 --> 00:03:13,193
      こういう物にさらにミオシン分子

      33
      00:03:13,193 --> 00:03:16,196
      こういう分子量50万ほどの

      34
      00:03:16,196 --> 00:03:21,568
      ミオシン分子が頭部で
      アクチンにたくさん結合している

      35
      00:03:21,568 --> 00:03:24,270
      これがアクトミオシンです

      36
      00:03:24,270 --> 00:03:31,811
      なので 先ほどの図にあった突起の部分は
      ミオシン分子です

      37
      00:03:31,811 --> 00:03:36,316
      この突起をよく見てみると

      38
      00:03:36,316 --> 00:03:41,187
      (図に)「矢尻構造」と書いてありますが

      39
      00:03:41,187 --> 00:03:50,897
      突起の付いている向きが
      一定方向なのが分かります

      40
      00:03:50,897 --> 00:04:04,611
      このような方向で突起が付いています

      41
      00:04:04,611 --> 00:04:13,386
      こちらは逆にこのように付いています

      42
      00:04:13,386 --> 00:04:18,625
      これは何故かというと
      アクチンフィラメントに結合するミオシン分子の向きが

      43
      00:04:18,625 --> 00:04:22,862
      それぞれのフィラメントで
      一定になっているからです

      44
      00:04:22,862 --> 00:04:29,369
      これは アクチンフィラメントに
      方向性があるということです

      45
      00:04:29,369 --> 00:04:34,274
      元々筋肉の中ではこういう
      サルコメア構造をとっています

      46
      00:04:34,274 --> 00:04:39,612
      この突起の向きは
      この図のように対応している

      47
      00:04:39,612 --> 00:04:45,185
      つまり矢印の方向

      48
      00:04:45,185 --> 00:04:53,93
      例えば これは
      こちらの方向になっているのですが

      49
      00:04:53,93 --> 00:05:02,936
      この矢印の方向は このようになりますね

      50
      00:05:02,936 --> 00:05:26,259
      つまり このアクチンフィラメントは
      こちら側がZ線だったということになります

      51
      00:05:26,259 --> 00:05:33,733
      筋肉が縮むときは
      Z線の方がたぐり寄せられるように移動するので

      52
      00:05:33,733 --> 00:05:37,937
      ちょうどこの矢印の向きに

      53
      00:05:37,937 --> 00:05:45,645
      ミオシンフィラメントがアクチンフィラメントを
      たぐり寄せて収縮します

      54
      00:05:45,645 --> 00:05:52,385
      こういう物が
      皆さんの作ったアクトミオシンですが

      55
      00:05:52,385 --> 00:05:56,122
      これにATPを加えてみるというのが

      56
      00:05:56,122 --> 00:05:58,958
      今日の超沈殿の観察となります

      57
      00:05:58,958 --> 00:06:03,163
      (アクトミオシンに) ATPを加えたときに
      どんなことが起こるのかということですが

      58
      00:06:03,163 --> 00:06:07,267
      筋収縮と同じような現象が起こる
      と言われています

      59
      00:06:07,267 --> 00:06:10,770
      アクチンフィラメントにミオシンが
      結合している状態というのは

      60
      00:06:10,770 --> 00:06:14,774
      結構がっちりと
      結合した状態になっています

      61
      00:06:14,774 --> 00:06:17,310
      ここにATPを入れると

      62
      00:06:17,310 --> 00:06:21,147
      ATPは ミオシンの頭部に結合するのですが

      63
      00:06:21,147 --> 00:06:25,452
      すると ミオシンの頭部が
      アクチンから離れてしまいます

      64
      00:06:25,452 --> 00:06:29,289
      離れるのですが
      ATPはまだそのままで

      65
      00:06:29,289 --> 00:06:36,763
      頭部でATPが ADPとリン酸に
      酵素的に加水分解されます

      66
      00:06:36,763 --> 00:06:41,701
      加水分解されても
      まだADPとリン酸は頭部にくっついたままです

      67
      00:06:41,701 --> 00:06:46,740
      この状態のままで
      アクチンと結合できます

      68
      00:06:46,740 --> 00:06:49,409
      ATPが結合すると離れるのですが

      69
      00:06:49,409 --> 00:06:53,113
      ATPが分解されると アクチンに結合できる

      70
      00:06:53,113 --> 00:06:57,650
      しかし 結合する場所を見ると

      71
      00:06:57,650 --> 00:07:01,788
      最初に結合していた場所と
      違う所に結合しています

      72
      00:07:01,788 --> 00:07:09,763
      次に この頭部が
      首を振るように角度を変えます

      73
      00:07:09,763 --> 00:07:14,768
      すると リン酸とADPが
      ここから放出される

      74
      00:07:14,768 --> 00:07:20,774
      放出されると
      最初と同じ状態になります

      75
      00:07:20,774 --> 00:07:25,111
      また次のATPが来ると
      同じことがどんどん繰り返されていく

      76
      00:07:25,111 --> 00:07:28,782
      どんどんATPを分解しながら

      77
      00:07:28,782 --> 00:07:31,651
      ミオシンの頭部は首を振りながら

      78
      00:07:31,651 --> 00:07:36,222
      アクチンの違う場所に移動して
      引き寄せてということを繰り返して

      79
      00:07:36,222 --> 00:07:40,193
      筋収縮を起こすと
      考えられています

      80
      00:07:40,193 --> 00:07:45,465
      これは色々な説があって

      81
      00:07:45,465 --> 00:07:48,501
      例えば この図では

      82
      00:07:48,501 --> 00:07:53,807
      一度離れて また結合するところが
      隣のアクチンに結合していますが

      83
      00:07:53,807 --> 00:07:55,909
      必ずしもそうではなくて

      84
      00:07:55,909 --> 00:08:00,13
      かなり離れたところに
      結合するという説もありますし

      85
      00:08:00,13 --> 00:08:03,450
      少し戻ることもある
      という説もあって

      86
      00:08:03,450 --> 00:08:07,754
      本当に 首振り運動をしているのか
      ということは

      87
      00:08:07,754 --> 00:08:10,90
      まだ完全には
      解明されていないのですが

      88
      00:08:10,90 --> 00:08:14,661
      基本的には
      このような仕組みと考えられています

      89
      00:08:14,661 --> 00:08:17,664
      皆さんのアクトミオシンは
      この状態です

      90
      00:08:17,664 --> 00:08:21,101
      ここにATPを入れると
      ぱっと離れます

      91
      00:08:21,101 --> 00:08:26,6
      離れるのですが
      離れるとミオシン分子

      92
      00:08:26,6 --> 00:08:29,309
      こういう形のものが自由になります

      93
      00:08:29,309 --> 00:08:31,244
      (ミオシン分子が)
      溶媒の中に分散する

      94
      00:08:31,244 --> 00:08:33,346
      (溶媒は)低塩濃度になっています

      95
      00:08:33,346 --> 00:08:35,348
      (溶媒が)低塩濃度になっていると

      96
      00:08:35,348 --> 00:08:39,853
      ミオシン分子は
      尾部の部分がお互いに引き合って

      97
      00:08:39,853 --> 00:08:45,625
      結合して
      ミオシンフィラメントという束を作ります

      98
      00:08:45,625 --> 00:08:52,465
      束を作ったうえで 頭部の部分が
      (たぐり寄せる)反応を続けます

      99
      00:08:52,465 --> 00:08:55,568
      ということは
      アクチンフィラメント

      100
      00:08:55,568 --> 00:09:00,807
      これはずっとミオシンが離れずに
      この構造のままですから

      101
      00:09:00,807 --> 00:09:02,208
      ミオシンフィラメントが

      102
      00:09:02,208 --> 00:09:07,914
      アクチンフィラメントをたぐり寄せるように
      滑っていくということになります

      103
      00:09:07,914 --> 00:09:13,653
      アクチンフィラメントはものすごく長い
      1μm くらいあって

      104
      00:09:13,653 --> 00:09:16,156
      それがたぐり寄せられて

      105
      00:09:16,156 --> 00:09:18,158
      そのアクチンフィラメントには

      106
      00:09:18,158 --> 00:09:21,661
      また別のミオシンフィラメントが結合していて
      また同じことを繰り返します

      107
      00:09:21,661 --> 00:09:26,366
      (最初は)やや不溶化したような
      濁った液のような状態なのですけども

      108
      00:09:26,366 --> 00:09:31,638
      (ATPを入れると) その濁り自体が縮んでいくような
      現象が観察されます

      109
      00:09:31,638 --> 00:09:34,641
      それが超沈殿ということになります

      110
      00:09:34,641 --> 00:09:39,279
      (超沈殿は) 条件によって
      うまくできたり できなかったりします

      111
      00:09:39,279 --> 00:09:48,288
      2、3分ではっきり観察できる人もいれば
      15分くらいかかる人もいます

      112
      00:09:48,288 --> 00:09:51,791
      全く 超沈殿を観察できない
      という人もいます

      113
      00:09:51,791 --> 00:09:56,629
      例えば (溶媒の)塩濃度が0.1M KCl
      ではなかったりすると

      114
      00:09:56,629 --> 00:09:59,632
      超沈殿が 起こらなくなります

      115
      00:09:59,632 --> 00:10:05,105
      それからタンパク質の濃度も
      高い方がうまくいきます

      116
      00:10:05,105 --> 00:10:11,644
      濃度が低い人は
      うまく超沈殿が観察できないこともあります

      117
      00:10:11,644 --> 00:10:22,622
      不溶性を満たす条件で こういう反応が出るので
      再現性が良くないところが 難しい所になります

      118
      00:10:22,622 --> 00:10:28,995
      試してみて観察記録をつける というのが
      今日の講義です


    • 用語集 ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
      KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
      M(モーラー):mol/L
      アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
      コントロール:対照群
      プランジャー:スライド時の位置決め用の部品

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:10,243
      こちらは 2本の試験管を用意します

      2
      00:00:10,243 --> 00:00:19,886
      試験管に「コントロール」と「ATP」の
      2つのラベルを貼ります

      3
      00:00:19,886 --> 00:00:28,128
      そこに50ml の遠沈管に取り出した
      アクトミオシンの原液を500μl とって

      4
      00:00:28,128 --> 00:00:32,198
      高塩濃度緩衝液を 500μl 加えます

      5
      00:00:32,198 --> 00:00:37,904
      すると 濃度が半分になる溶液が
      1ml できます

      6
      00:00:37,904 --> 00:00:49,883
      そこに室温の純水をマイクロピペットで
      1ml 加えては試験管を軽く振る

      7
      00:00:49,883 --> 00:00:53,620
      また1ml 加えては軽く振ることを繰り返して

      8
      00:00:53,620 --> 00:00:56,89
      合計5ml 加えます

      9
      00:00:56,89 --> 00:00:58,291
      少しずつ塩濃度を下げていく

      10
      00:00:58,291 --> 00:01:00,960
      一気に5ml 加えるのではなく

      11
      00:01:00,960 --> 00:01:04,164
      1ml 加えては攪拌
      1ml 加えては攪拌

      12
      00:01:04,164 --> 00:01:11,705
      そうすると 合計の体積が6ml ですが

      13
      00:01:11,705 --> 00:01:15,75
      KClの濃度は0.1M(モーラー)になります

      14
      00:01:15,75 --> 00:01:20,814
      アクトミオシンは本来
      不溶性となる塩濃度となります

      15
      00:01:20,814 --> 00:01:27,721
      その状態で置いておくと
      不溶性ですから だんだん底に沈殿してしまいます

      16
      00:01:27,721 --> 00:01:31,291
      (すると) 超沈殿が
      観察できなくなりますので

      17
      00:01:31,291 --> 00:01:39,699
      6ml 入れたらすぐ
      プリントの3番をやってください

      18
      00:01:39,699 --> 00:01:43,203
      ここでプリントの訂正があります

      19
      00:01:43,203 --> 00:01:49,843
      「コントロール」に純水を30μl
      これを60μl にします

      20
      00:01:49,843 --> 00:01:56,249
      それから「ATP添加」に
      0.2M ATPを30μl とありますけど

      21
      00:01:56,249 --> 00:02:01,721
      これが0.1M ATPを60μl
      に変更します

      22
      00:02:01,721 --> 00:02:06,593
      60μl といったら 1滴よりは多いですが
      結構少ない量です

      23
      00:02:06,593 --> 00:02:10,730
      なので 試験管の上の方から入れると

      24
      00:02:10,730 --> 00:02:15,168
      試験管の内壁にくっついて
      溶液の中に入らないことがあります

      25
      00:02:15,168 --> 00:02:17,470
      確実に入れるために

      26
      00:02:17,470 --> 00:02:19,105
      (純水や)ATPの溶液は

      27
      00:02:19,105 --> 00:02:25,211
      チップの先端を液面より中まで入れて

      28
      00:02:25,211 --> 00:02:28,748
      そしてプランジャーを押して 押し出す

      29
      00:02:28,748 --> 00:02:37,323
      入れたら 試験管を強めに振ります

      30
      00:02:37,323 --> 00:02:40,827
      振ったら 試験管立てに置く

      31
      00:02:40,827 --> 00:02:43,229
      そこから先は動かさない

      32
      00:02:43,229 --> 00:02:46,366
      動かさないで
      そこから時間を測って

      33
      00:02:46,366 --> 00:02:53,540
      何分後に どちらの試験管にどういう変化が起こったのか
      ということを記録してください

      34
      00:02:53,540 --> 00:02:59,79
      試験管内での筋収縮という風に
      呼ばれているのですが

      35
      00:02:59,79 --> 00:03:02,515
      不溶化した沈殿ができるのですが

      36
      00:03:02,515 --> 00:03:07,654
      その沈殿が収縮していく
      動いていくという現象が見られます


    • 用語集 ADP(エーディーピー):アデノシン二リン酸
      ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
      ATPase(エーティーピーアーゼ):ATPを分解する酵素
      アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
      アクチンフィラメント:タンパク質の複合体
      アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      カルシウムイオン:カルシウム原子がプラスの電荷を帯びたもの
      カルシウムポンプ:カルシウムイオンをATP由来のエネルギーを利用して運搬するタンパク質
      カルモジュリン:カルシウム結合タンパク質の1種
      筋小胞体(きんしょうほうたい):筋原線維の周囲に発達している小胞
      筋繊維(きんせんい):筋細胞のこと、筋肉を構成する線維状の細胞
      軽鎖(けいさ):タンパク質が大小2つの基本単位で構成されている場合の分子量の小さい方
      細胞質(さいぼうしつ):原形質のうち核質以外の部分
      トロポニン:トロポニンT、I、Cの複合体
      トロポニンC:トロポニンを構成するサブユニット、カルシウムイオンと結合する
      トロポニンI:トロポニンを構成するサブユニット
      トロポニンT:トロポニンを構成するサブユニット
      トロポミオシン:アクチン結合タンパク質
      ミオシン:タンパク質の1種
      ミオシンフィラメント:ミオシンが繊維状に結合したもの
      リン酸:リンのオキソ酸の1種

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:16,483
      ATPの分解は 生体内では
      アクチンフィラメントをたぐり寄せながら行われますが

      2
      00:00:16,483 --> 00:00:20,53
      超沈殿が起こるとき
      ATPを分解しながら

      3
      00:00:20,53 --> 00:00:23,590
      どんなことが起こるのかを
      説明します

      4
      00:00:23,590 --> 00:00:33,433
      この反応はATPとアクチンで起こる
      サイクル反応ですが

      5
      00:00:33,433 --> 00:00:35,935
      生体内の筋肉の中で

      6
      00:00:35,935 --> 00:00:41,508
      ATPは 細胞の中に
      常に一定の濃度で存在しています

      7
      00:00:41,508 --> 00:00:45,478
      ATPが消費されたら
      解糖系などの様々なところ

      8
      00:00:45,478 --> 00:00:49,382
      リン酸を保存している所から
      ATPが再生されて

      9
      00:00:49,382 --> 00:00:51,751
      常に一定の濃度になるように
      存在しています

      10
      00:00:51,751 --> 00:00:56,56
      アクチンもミオシンも
      筋肉の中にあるとなると

      11
      00:00:56,56 --> 00:01:01,94
      この反応が常時動いたまま
      つまり このサイクルが回ったままになり

      12
      00:01:01,94 --> 00:01:05,932
      筋肉は常に収縮した状態に
      なってしまいます

      13
      00:01:05,932 --> 00:01:09,936
      それでは困るので
      どうなっているかというと

      14
      00:01:09,936 --> 00:01:14,140
      筋細胞に刺激が伝達された時だけ
      この反応が起こって

      15
      00:01:14,140 --> 00:01:19,913
      伝達されないときは この反応が起こらないように
      制御されています

      16
      00:01:19,913 --> 00:01:24,117
      それに関わるのが
      カルシウムイオンです

      17
      00:01:24,117 --> 00:01:27,754
      皆さんのアクトミオシンにも
      含まれていますが

      18
      00:01:27,754 --> 00:01:30,557
      アクチンフィラメントの構造を見ると

      19
      00:01:30,557 --> 00:01:35,295
      トロポミオシンや
      トロポニンというタンパク質があります

      20
      00:01:35,295 --> 00:01:40,767
      これが カルシウムイオンによる調節に関わっている
      タンパク質です

      21
      00:01:40,767 --> 00:01:47,707
      神経から筋細胞 即ち筋繊維に
      刺激が到達すると

      22
      00:01:47,707 --> 00:01:54,914
      その刺激が 細胞の膜系を通って
      筋小胞体にまで伝達されます

      23
      00:01:54,914 --> 00:02:02,255
      筋小胞体には
      細胞質中のカルシウムイオンを くみ上げて貯蔵する

      24
      00:02:02,255 --> 00:02:05,959
      カルシウムポンプというものがあり
      それが常時働いています

      25
      00:02:05,959 --> 00:02:10,630
      筋小胞体の中は
      カルシウムイオン濃度が高くなっていますが

      26
      00:02:10,630 --> 00:02:15,435
      小胞体の外側は カルシウムイオンがほとんどない
      という状態に保たれています

      27
      00:02:15,435 --> 00:02:22,475
      筋細胞に刺激が伝達されると
      その筋小胞体にあるカルシウムイオンチャネルが開く

      28
      00:02:22,475 --> 00:02:29,849
      すると 小胞体から
      アクチンフィラメントやミオシンフィラメントがあるところに

      29
      00:02:29,849 --> 00:02:31,885
      カルシウムイオンが放出されます

      30
      00:02:31,885 --> 00:02:33,653
      そのカルシウムイオンが

      31
      00:02:33,653 --> 00:02:35,255
      トロポニンCに結合します

      32
      00:02:35,255 --> 00:02:38,491
      トロポニンCのCは
      カルシウムのCです

      33
      00:02:38,491 --> 00:02:40,960
      ここにカルシウムイオンが結合すると

      34
      00:02:40,960 --> 00:02:45,298
      トロポニンCは
      とても大きな立体構造の変化をします

      35
      00:02:45,298 --> 00:02:54,74
      その情報が 隣にくっついているトロポニンIやトロポニンT
      さらにトロポミオシンに伝達されます

      36
      00:02:54,74 --> 00:02:59,646
      アクチンの上に トロポミオシンが
      横たわるように結合しています

      37
      00:02:59,646 --> 00:03:02,148
      (トロポミオシン)が
      少し位置を変えます

      38
      00:03:02,148 --> 00:03:07,520
      すると アクチン分子上のミオシンと接合します

      39
      00:03:07,520 --> 00:03:12,759
      ミオシンはアクチンの
      特定の場所に結合します

      40
      00:03:12,759 --> 00:03:15,462
      (アクチンの)特定の場所が
      表面に出てくる

      41
      00:03:15,462 --> 00:03:19,332
      それによって
      ③ ④の反応が可能になります

      42
      00:03:19,332 --> 00:03:22,736
      ②で(ミオシンは)
      アクチンから離れますが またくっつく

      43
      00:03:22,736 --> 00:03:27,974
      くっつくことによって ADPとリン酸が分離(③)されて
      サイクルが回ります

      44
      00:03:27,974 --> 00:03:32,479
      アクチンとミオシンが
      くっつくことができなければ

      45
      00:03:32,479 --> 00:03:36,649
      ①~④のサイクルが回らず
      筋肉は収縮しません

      46
      00:03:36,649 --> 00:03:40,487
      刺激が無いときは
      トロポミオシンが

      47
      00:03:40,487 --> 00:03:43,523
      アクチン上のミオシンの頭部が
      結合する部位を

      48
      00:03:43,523 --> 00:03:47,427
      邪魔して
      結合が起こらないようにしています

      49
      00:03:47,427 --> 00:03:50,864
      カルシウムが
      トロポニンCと結合すると

      50
      00:03:50,864 --> 00:03:55,969
      トロポミオシンが
      移動して収縮が起こります

      51
      00:03:55,969 --> 00:04:02,442
      刺激が止み
      収縮の必要がなくなると

      52
      00:04:02,442 --> 00:04:07,914
      常時働いている
      筋小胞体の膜にあるカルシウムポンプが

      53
      00:04:07,914 --> 00:04:14,320
      周りを漂っていたカルシウムイオンを
      どんどん小胞体の中に汲み上げていきます

      54
      00:04:14,320 --> 00:04:17,90
      そのためカルシウムイオンの濃度が
      どんどん下がっていきます

      55
      00:04:17,90 --> 00:04:22,562
      濃度が下がっていくと
      トロポニンCに結合していたカルシウムイオンも解離して

      56
      00:04:22,595 --> 00:04:27,500
      また立体構造が変化して
      刺激が無いときの状態に戻ります

      57
      00:04:28,1 --> 00:04:31,604
      アクチンとミオシンの結合を
      トロポミオシンが邪魔して

      58
      00:04:31,604 --> 00:04:36,242
      筋肉の収縮が
      止むことになります

      59
      00:04:36,242 --> 00:04:41,214
      アクチンフィラメントとミオシンは

      60
      00:04:41,214 --> 00:04:44,484
      こういう構造を
      皆さんの溶媒の中でも保っています

      61
      00:04:44,484 --> 00:04:48,722
      アクトミオシンに
      トロポニンやトロポミオシンがついています

      62
      00:04:48,722 --> 00:04:52,258
      ですので 溶媒の中に

      63
      00:04:52,258 --> 00:04:56,96
      カルシウムイオンを
      入れたり入れなかったりすると

      64
      00:04:56,96 --> 00:04:59,632
      ATPを入れたときに
      起こる②~④の反応も

      65
      00:04:59,632 --> 00:05:02,635
      起こったり
      起こらなかったりするはずです

      66
      00:05:02,635 --> 00:05:07,674
      ATPが分解されて
      ADPとリン酸が放出されるためには

      67
      00:05:07,674 --> 00:05:10,777
      アクチンとミオシンを
      結合しなければならないので

      68
      00:05:10,777 --> 00:05:17,83
      カルシウムが無いときは結合できないので
      リン酸(Pi)の遊離がない

      69
      00:05:17,83 --> 00:05:24,324
      カルシウムがあるときは結合できるので
      リン酸が遊離してサイクルがまわることを学ぶので

      70
      00:05:24,391 --> 00:05:29,829
      ATPase活性を 皆さんは
      カルシウムのある条件 ない条件

      71
      00:05:29,829 --> 00:05:35,68
      2通りで測って 結果を比較してもらうというのが
      (ATPase活性測定)の実験です

      72
      00:05:35,68 --> 00:05:39,873
      この カルシウムによる筋肉の収縮調節というのは

      73
      00:05:39,873 --> 00:05:44,978
      筋肉の種類や動物の種類で
      だいぶ違います

      74
      00:05:44,978 --> 00:05:52,118
      同じ脊椎動物でも 横紋筋は
      トロポニンによって収縮調整されていますが

      75
      00:05:52,118 --> 00:05:54,354
      平滑筋は全く違います

      76
      00:05:54,354 --> 00:05:58,825
      カルシウムが結合するのは
      トロポニンCではなく カルモジュリン

      77
      00:05:58,825 --> 00:06:01,928
      別のカルシウム結合タンパク質になります

      78
      00:06:01,928 --> 00:06:07,801
      また 同じ横紋筋でも無脊椎動物
      軟体動物などは

      79
      00:06:07,801 --> 00:06:19,412
      カルシウムは トロポニンCにも結合しますが
      ミオシンのアルカリ軽鎖にも結合します

      80
      00:06:19,412 --> 00:06:24,351
      それによって アクチンとの結合が
      促されて収縮が起こります

      81
      00:06:24,351 --> 00:06:28,555
      このように
      動物の種類によっても異なっています


    • 用語集 ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
      ATPase(エーティーピーアーゼ):ATPを分解する酵素
      M(モーラー):mol/L
      アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      吸光度(きゅうこうど):溶液に吸収される光の量
      パラフィルム:プラスチックパラフィンフィルム
      反応混液(はんのうこんえき):混合物の溶液
      ブランク:評価する対象を抜いた試料
      分光光度計(ぶんこうこうどけい):溶液の吸収スペクトルを測定し定量分析を行う機器
      リン酸:リンのオキソ酸の1種

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:14,247
      今回は アクトミオシンの
      Mg-ATPase活性の測定を行います

      2
      00:00:14,247 --> 00:00:19,252
      これは アクトミオシンの状態が
      きちんとしているかどうか

      3
      00:00:19,252 --> 00:00:25,225
      ちゃんと活性を保っているかどうか
      失活していないかどうかの指標になります

      4
      00:00:25,392 --> 00:00:30,230
      この測定は条件を変えて行うのですが

      5
      00:00:30,230 --> 00:00:36,269
      これは 生体内で筋肉が
      収縮したり 弛緩したりする

      6
      00:00:36,302 --> 00:00:42,876
      神経による制御と関連があります

      7
      00:00:42,876 --> 00:00:46,746
      (アクトミオシンによって)
      1分子のATPは

      8
      00:00:46,746 --> 00:00:57,257
      1分子のADPとリン酸に
      加水分解されます

      9
      00:00:57,257 --> 00:01:04,664
      アクトミオシン溶液に
      ATPを加えて

      10
      00:01:04,664 --> 00:01:12,739
      その溶液の中のATPの濃度が
      時間とともにどのように下がっていくか

      11
      00:01:12,739 --> 00:01:18,545
      それを測定できれば
      ATPase活性が算出できるのですが

      12
      00:01:18,545 --> 00:01:25,618
      ATPの濃度を測定するというのは
      割と難しいので

      13
      00:01:25,618 --> 00:01:29,456
      一番簡単で
      やりやすい方法は

      14
      00:01:29,456 --> 00:01:35,161
      1分子のATPから1分子のリン酸が出ますので
      リン酸を見ます

      15
      00:01:35,161 --> 00:01:42,669
      反応液の中で 時間とともに
      リン酸の濃度が どのように上昇していくのか

      16
      00:01:42,669 --> 00:01:51,77
      追跡することで ATPがどれだけ分解されているのか
      見極めるという方法が一般的です

      17
      00:01:51,77 --> 00:01:55,382
      アクトミオシンの溶液は
      氷冷した試験管に希釈します

      18
      00:01:55,382 --> 00:02:04,257
      ビウレット法で求めたタンパク質濃度に基づいて
      (緩衝液を入れる量を) 計算してください

      19
      00:02:04,257 --> 00:02:14,267
      きれいな試験管に
      0.75mg/ml のアクトミオシン溶液1ml を調合します

      20
      00:02:14,267 --> 00:02:23,410
      どのように混ぜたらよいか計算して
      氷で冷やした試験管の中に

      21
      00:02:23,410 --> 00:02:28,948
      0.75mg/ml のアクトミオシン 1ml を
      作ってください

      22
      00:02:30,650 --> 00:02:37,524
      次に 調合した反応混液
      (+Ca 4.3ml と -Ca 4.3ml) を使用します

      23
      00:02:37,524 --> 00:02:44,531
      (そしてそれぞれに)
      0.75mg/ml に希釈したアクトミオシンを

      24
      00:02:44,531 --> 00:02:51,504
      0.2ml (200μl) ずつ
      マイクロピペットで (反応混液に)加えます

      25
      00:02:51,504 --> 00:02:54,808
      すると 体積が4.5ml になります

      26
      00:02:54,808 --> 00:03:04,184
      加えたら アクトミオシンが均一になるように
      泡を立てないようにしっかり混ぜてください

      27
      00:03:04,184 --> 00:03:10,790
      恒温水槽(25℃) の所に
      2本の試験管を同時に入れます

      28
      00:03:10,790 --> 00:03:17,697
      25℃ というのは 反応させる温度で
      ATPを分解させる温度です

      29
      00:03:17,697 --> 00:03:23,336
      後で そこにATP溶液を加えて
      反応を起こさせるので

      30
      00:03:23,336 --> 00:03:35,115
      ATPの溶液も25℃ の恒温水槽の中に入れて
      温めておきます

      31
      00:03:35,115 --> 00:03:45,458
      5分間 置いて アクトミオシンの +Caと -Caの溶液と
      ATPの溶液を25℃ に温めます

      32
      00:03:45,458 --> 00:03:54,534
      25℃ になったATPを マイクロピペットで
      0.5ml(500μl)取って

      33
      00:03:54,534 --> 00:03:59,739
      +Caの方の試験管に吹き込みます

      34
      00:03:59,739 --> 00:04:05,812
      入れたらその瞬間に
      もう1人がストップウォッチを押します

      35
      00:04:05,812 --> 00:04:12,385
      ストップウォッチを押すと同時に
      ATPを入れた人は試験管を振ります

      36
      00:04:12,385 --> 00:04:19,659
      泡立てないように 強めに振ります
      振ったらすぐ 25℃ の水槽に戻します

      37
      00:04:19,659 --> 00:04:28,168
      次に 1分になる時点で
      -Caの方に 同じようにATPを入れます

      38
      00:04:28,168 --> 00:04:40,580
      時計が1分を示す瞬間に吹き込んで混ぜたら
      恒温水槽の中に試験管を入れます

      39
      00:04:40,580 --> 00:04:43,283
      次に 2分でする操作に移ります

      40
      00:04:43,283 --> 00:04:52,692
      2分以降は ATPを加えた+Ca、-Caの
      反応している液から

      41
      00:04:52,692 --> 00:04:56,196
      反応停止液に取るという操作になります

      42
      00:04:56,896 --> 00:05:09,743
      2分になる前に チップを付けて準備して
      +Caの溶液から1000μl 吸引します

      43
      00:05:09,743 --> 00:05:19,753
      そして2分になる瞬間に
      +Ca2分とラベリングしてある試験管に吹き込みます

      44
      00:05:19,753 --> 00:05:24,524
      吹き込んだら
      変性させて反応を止めますので

      45
      00:05:24,524 --> 00:05:29,696
      激しく 泡立てないように振ります
      そしてまた 氷冷します

      46
      00:05:31,498 --> 00:05:40,173
      3分になるときに -Caも 同じ手順で行います

      47
      00:05:40,173 --> 00:05:47,747
      同じく 4分になるときに +Caを
      5分になるときに -Ca を操作します

      48
      00:05:47,747 --> 00:05:57,190
      そうすると +Caも-Caも25℃ で
      ATPとともにインキュベートして

      49
      00:05:57,190 --> 00:06:04,397
      その後 2分で反応を止めたもの
      4分で反応を止めたものという

      50
      00:06:04,397 --> 00:06:07,834
      4本の試験管が氷の上にできることとなります

      51
      00:06:07,934 --> 00:06:17,944
      次に そこにクエン酸を入れます
      1M のクエン酸を全ての試験管に 500μl ずつ入れます

      52
      00:06:17,944 --> 00:06:20,380
      入れる順番やタイミングはどうでもいいです

      53
      00:06:20,380 --> 00:06:23,216
      入れたら激しく混ぜて
      また氷冷します

      54
      00:06:23,216 --> 00:06:32,125
      次に試験管に水などが入らないように
      試験管の口にパラフィルムでシールします

      55
      00:06:32,158 --> 00:06:39,599
      そして今度は
      一番右側の恒温水槽(30℃)を予約します

      56
      00:06:39,599 --> 00:06:49,175
      各班に4本ある
      反応が止まり クエン酸を加えた試験管ですが

      57
      00:06:49,175 --> 00:06:55,815
      入れる直前に
      もう一度よく振ってください

      58
      00:06:55,815 --> 00:07:02,222
      すると (20分後)リン酸の濃度に応じて
      緑色に発色してきます

      59
      00:07:02,222 --> 00:07:07,27
      黄色が リン酸の濃度に応じて
      緑色に変化します

      60
      00:07:07,27 --> 00:07:15,969
      その緑色の濃さを 630nm の吸光度を
      測定することによって 求めます

      61
      00:07:15,969 --> 00:07:22,842
      30℃ で20分インキュベートした後
      分光光度計ですぐ吸光度を測った方がいいです

      62
      00:07:22,842 --> 00:07:25,945
      吸光度は4つ測ります

      63
      00:07:25,945 --> 00:07:30,350
      今日の吸光度測定では
      ブランクは グラフを作って求めます

      64
      00:07:30,350 --> 00:07:47,867
      その方法は 吸光度(縦軸)と反応時間(横軸)の
      グラフを作成し y切片の値をブランクとします

      65
      00:07:47,867 --> 00:07:51,571
      時間とともに吸光度が増えていくはずです

      66
      00:07:51,571 --> 00:07:55,475
      この2点を直線で結びます

      67
      00:07:55,475 --> 00:07:59,546
      y切片 これがブランクです

      68
      00:08:01,81 --> 00:08:19,232
      1つのグラフに
      +Caと -Caの2つを記入します

      69
      00:08:19,232 --> 00:08:27,440
      カルシウムのあるときと ないときで
      アクトミオシンのATP分解に 差が出ます

      70
      00:08:27,440 --> 00:08:30,977
      その後 これを計算して

      71
      00:08:30,977 --> 00:08:37,417
      時間あたり アクトミオシンの単位重量あたり
      ATPが何mol 分解されたか

      72
      00:08:37,417 --> 00:08:39,686
      それを求めるのですが

      73
      00:08:39,686 --> 00:08:50,830
      そのプロセスについては 明日公開しますので
      各自でその計算をしてください

      74
      00:08:50,830 --> 00:08:53,299
      するのが課題の1つになります


    • 用語集 DEAE(ディーイーエーイー):ジエチルアミノエチル
      KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
      M(モーラー):mol/L
      Q-Sepharose(キューセファロース):アガロースビーズを担体とした強イオン交換担体
      Quaternary ammonium(クォーテナリーアンモニウム):第四級アンモニウム
      アガロース:ゲル化しやすい中性多糖
      陰イオン交換体官能基(いんいおんこうかんたいかんのうき):プラスの電荷をもち、陰イオンを結合する官能基
      塩基性アミノ酸(えんきせいあみのさん):塩基性の側鎖をもつアミノ酸
      塩化物イオン(えんかぶついおん):塩素の陰イオン
      解糖系(かいとうけい):糖の代謝経路
      化学修飾(かがくしゅうしょく):官能基を化学的に変化させること
      吸光度(きゅうこうど):溶液に吸収される光の量
      筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
      緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpH が大きく変化しない溶液
      クロマトグラフィー:物質を分離、精製する手法の1種
      懸濁(けんだく):固体粒子が液体中に分散した状態
      酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
      サイトゾル:細胞質から細胞小器官を除いた部分
      酸性アミノ酸:酸性の側鎖をもつアミノ酸
      担体(たんたい):他の物質を固定する土台となる物質
      芳香族(ほうこうぞく):芳香族化合物、環状不飽和有機化合物の一群
      ミオグロビン:タンパク質の1種
      リニアグラジエント:直線的濃度勾配

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:14,347
      タンパク質の混合物から 構成成分を分離するという
      クロマトグラフィーの手法です

      2
      00:00:14,347 --> 00:00:16,616
      何を分離するかというと

      3
      00:00:16,616 --> 00:00:22,122
      この実験の初日にできた
      筋形質画分

      4
      00:00:22,122 --> 00:00:30,797
      コイの挽肉に低塩濃度緩衝液を添加して
      ガーゼで濾過した濾液です

      5
      00:00:30,797 --> 00:00:36,269
      濾液は凍らせて
      冷凍庫に保管されていますが

      6
      00:00:36,269 --> 00:00:42,375
      そこには解糖系の酵素とか
      ミオグロビンとか

      7
      00:00:42,375 --> 00:00:49,683
      アクトミオシン以外のサイトゾルに含まれる
      タンパク質が溶けています

      8
      00:00:49,683 --> 00:00:56,89
      それを分離・分析するのが
      今日と明日2日間の実験です

      9
      00:00:56,89 --> 00:01:02,662
      空のカラムに 担体を充填するのが
      今日の作業です

      10
      00:01:02,662 --> 00:01:04,764
      実物(の担体)は これですが

      11
      00:01:04,764 --> 00:01:09,703
      今は 1M の塩化カリウム溶液に
      懸濁してあります

      12
      00:01:09,703 --> 00:01:14,908
      下の方に沈んでいますが
      (担体は)球状のビーズ(Q-Sepharose)です

      13
      00:01:15,41 --> 00:01:22,48

      直径が だいたい90μm

      14
      00:01:22,515 --> 00:01:26,19
      アガロースのビーズです

      15
      00:01:26,19 --> 00:01:33,159
      アガロースは多孔質なので
      中に溶媒やタンパク質がしみこんでいきます

      16
      00:01:33,560 --> 00:01:38,598
      このアガロースに
      化学修飾がされていきます

      17
      00:01:38,598 --> 00:01:44,70
      何が結合するかというと
      この「Q」が結合します

      18
      00:01:44,70 --> 00:01:48,708
      この「Q」が何かというと

      19
      00:01:48,708 --> 00:01:59,619
      (陰イオン交換体官能基の1種
      Quaternary ammoniumです)

      20
      00:01:59,619 --> 00:02:09,629
      こういうものが
      表面にたくさん結合しています

      21
      00:02:10,697 --> 00:02:16,636
      こういう官能基なのですが
      常に正に荷電しています

      22
      00:02:16,636 --> 00:02:22,575
      例えば 今でしたら 1M の塩化カリウム溶液に
      懸濁していますが

      23
      00:02:22,575 --> 00:02:32,585
      塩化カリウムの中の塩化物イオン(Cl⁻)と
      結合した状態になっています

      24
      00:02:32,585 --> 00:02:39,526
      こういうものが
      表面にいっぱいくっついた

      25
      00:02:39,526 --> 00:02:44,30
      つまり 正に荷電した官能基が

      26
      00:02:45,365 --> 00:02:54,474
      たくさん表面に付いた
      ビーズになるのですが

      27
      00:02:54,474 --> 00:03:04,17
      ここに 負に荷電したタンパク質を流して
      + と- を引き合わせて結合させる

      28
      00:03:04,551 --> 00:03:09,289
      結合の強さが
      タンパク質の種類によって違うことを利用して

      29
      00:03:09,289 --> 00:03:16,396
      タンパク質の混合物から
      個々のタンパク質を分離する というのが

      30
      00:03:16,396 --> 00:03:19,799
      イオン交換クロマトグラフィーです

      31
      00:03:20,200 --> 00:03:29,576
      + に荷電している担体ですから
      ここに結合するのは - に荷電したものとなります

      32
      00:03:29,576 --> 00:03:38,551
      タンパク質の中でも
      - によく荷電したタンパク質は強く結合しますし

      33
      00:03:38,551 --> 00:03:50,597
      そうではなく + に荷電したタンパク質は結合しない
      という特性を示します

      34
      00:03:51,364 --> 00:03:57,904
      時間短縮のために
      今回は 空のカラムの中に

      35
      00:03:57,904 --> 00:04:04,611
      半分くらい 担体を詰めています

      36
      00:04:04,611 --> 00:04:12,686
      その上から
      タンパク質の混合物を流し込みます

      37
      00:04:13,520 --> 00:04:18,725
      そして このチューブの先から

      38
      00:04:21,628 --> 00:04:33,173
      分離して出てくるものを
      5ml ずつ 別々の試験管で取ります

      39
      00:04:34,307 --> 00:04:43,49
      担体に強く結合する - の荷電の強いタンパク質は
      なかなか出てきません

      40
      00:04:43,49 --> 00:04:50,223
      しかし + の荷電を持ったタンパク質は
      反発しあうので 決して結合しません

      41
      00:04:50,223 --> 00:05:01,234
      それから - の荷電を持っていても
      タンパク質の種類で 荷電の強さが違います

      42
      00:05:01,768 --> 00:05:07,974
      少ししか - の荷電がないタンパク質は
      (出てくるのが)比較的早いです

      43
      00:05:07,974 --> 00:05:11,378
      たくさん- の荷電を持っているタンパク質は
      なかなか出てこないです

      44
      00:05:11,378 --> 00:05:17,617
      タンパク質の荷電状態は
      種類によって違います

      45
      00:05:17,617 --> 00:05:22,589
      それを左右するのは
      タンパク質のアミノ酸配列の中に

      46
      00:05:22,589 --> 00:05:27,327
      どういうアミノ酸が
      どのくらい含まれているかということになります

      47
      00:05:27,327 --> 00:05:34,134
      (プリントの)上に
      酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸がありますが

      48
      00:05:34,134 --> 00:05:42,709
      酸性アミノ酸
      これは下の方を向いているCOOH(カルボキシ基)

      49
      00:05:42,709 --> 00:05:47,47
      ここが中性付近では
      COO⁻ に解離しますので

      50
      00:05:47,47 --> 00:05:48,682
      この酸性アミノ酸

      51
      00:05:48,682 --> 00:05:53,586
      アスパラギン酸とグルタミン酸が
      相対的に多く含まれているタンパク質は

      52
      00:05:53,586 --> 00:06:00,326
      より強く負に荷電する
      そんなタンパク質を 酸性タンパク質と言います

      53
      00:06:00,326 --> 00:06:03,863
      この 陰イオン交換クロマトグラフィーをすると

      54
      00:06:03,863 --> 00:06:07,567
      (正に荷電した)担体とより強く結合するので
      なかなか出てきません

      55
      00:06:07,567 --> 00:06:11,304
      一方 タンパク質は
      酸性アミノ酸だけではなく

      56
      00:06:11,304 --> 00:06:15,642
      塩基性アミノ酸も
      たくさん存在しています

      57
      00:06:15,642 --> 00:06:19,212
      ヒスチジンは
      あまり強い塩基性アミノ酸ではないですが

      58
      00:06:19,212 --> 00:06:30,223
      リジンやアルギニンの先端にあるNH₂や
      アルギニンのグアニジノ基は

      59
      00:06:30,223 --> 00:06:35,462
      これは 中性付近では
      強く正に荷電しています

      60
      00:06:35,462 --> 00:06:39,766
      相対的に 酸性アミノ酸と
      塩基性アミノ酸はどちらが多いか

      61
      00:06:39,766 --> 00:06:46,606
      まったく同じ数だと
      荷電が0 になってしまうのですが

      62
      00:06:46,606 --> 00:06:51,311
      塩基性アミノ酸のほうが
      酸性アミノ酸より多い場合

      63
      00:06:51,311 --> 00:06:57,917
      担体の荷電と
      タンパク質の荷電が反発しあうので

      64
      00:06:57,917 --> 00:07:02,322
      上から流した時に
      担体と全く結合しないで真っ先に流れてきます

      65
      00:07:02,322 --> 00:07:03,690
      明日についてですが

      66
      00:07:03,990 --> 00:07:06,626
      グラフを描いてもらいます

      67
      00:07:06,626 --> 00:07:10,597
      グラフの確認が終わってから
      帰っていただきます

      68
      00:07:10,597 --> 00:07:14,534
      横軸は溶出体積

      69
      00:07:14,901 --> 00:07:19,406
      溶出体積とは
      下から何ml 出てきたか

      70
      00:07:22,442 --> 00:07:27,213
      縦軸は吸光度なのですが

      71
      00:07:28,548 --> 00:07:33,286
      多くのタンパク質は
      芳香族のアミノ酸を持っていますので

      72
      00:07:33,286 --> 00:07:36,923
      紫外線を吸収します

      73
      00:07:36,923 --> 00:07:43,263
      280nm の紫外線の吸光度を測ります

      74
      00:07:43,263 --> 00:07:47,267
      下から出てきた溶液を
      5ml ずつ試験管に受け取って

      75
      00:07:47,267 --> 00:07:55,408
      10本くらいとって 吸光度を測り
      グラフにプロットします

      76
      00:07:55,408 --> 00:08:01,481
      だいたい 山が2つくらいできると思います

      77
      00:08:02,215 --> 00:08:10,690
      最初の山は
      塩基性タンパク質

      78
      00:08:10,690 --> 00:08:14,594
      早く出てきます

      79
      00:08:14,594 --> 00:08:20,66
      遅れて出てくるのは
      (担体と)強く結合している 酸性タンパク質です

      80
      00:08:20,66 --> 00:08:26,740
      単にタンパク質の混合液を流すだけでも
      分離しますが

      81
      00:08:26,740 --> 00:08:30,877
      効率よく分離するためには

      82
      00:08:30,877 --> 00:08:35,48
      例えば 強く担体に結合したタンパク質は

      83
      00:08:35,48 --> 00:08:39,652
      溶媒をたくさん流しても
      がっちり結合しているので 出てきません

      84
      00:08:39,652 --> 00:08:45,392
      結合しているのを
      離すためにどうするかというと

      85
      00:08:45,392 --> 00:08:52,98
      (担体に) - の荷電を持ったタンパク質が
      結合しているのですが

      86
      00:08:52,98 --> 00:09:02,42
      タンパク質よりも もっと強く - に荷電していて
      強く担体と結合する溶媒を

      87
      00:09:02,42 --> 00:09:06,546
      上から流していく
      それは何かというと

      88
      00:09:06,546 --> 00:09:10,917
      今回の場合は塩化物イオンです

      89
      00:09:10,917 --> 00:09:16,256
      塩化物イオンを 1M KCl溶液に懸濁してありますが

      90
      00:09:16,256 --> 00:09:23,363
      1M までではありませんが
      最大で300mM の塩化カリウムを流していて

      91
      00:09:23,363 --> 00:09:25,799
      塩化物イオンが流れてくると

      92
      00:09:25,799 --> 00:09:35,809
      濃度にもよりますが
      + の部分に塩化物イオンが結合していきます

      93
      00:09:36,843 --> 00:09:46,853
      始めはタンパク質が結合していたのですが
      これが塩化物イオンに置き換わります

      94
      00:09:46,853 --> 00:09:55,95
      そして タンパク質が離れて
      下から出てきます

      95
      00:09:55,95 --> 00:10:02,302
      強く結合しているタンパク質は
      塩化物イオンの濃度を高くしないと出てきません

      96
      00:10:02,302 --> 00:10:12,312
      弱く結合しているタンパク質は
      比較的低い塩化物イオンの濃度でも出てきます

      97
      00:10:12,679 --> 00:10:19,285
      上から流す溶媒の中に含まれる
      塩化物イオンの濃度ですが

      98
      00:10:19,285 --> 00:10:25,592
      始めは低くして
      徐々に高くしていくというように

      99
      00:10:25,592 --> 00:10:29,662
      溶媒を流して溶出させます

      100
      00:10:29,662 --> 00:10:33,433
      これが 塩化物イオンの濃度の変化です

      101
      00:10:33,433 --> 00:10:45,345
      最初は0mM 最後は300mM になるように

      102
      00:10:46,179 --> 00:10:49,115
      (右上がりのグラフを)
      「リニアグラジエント」と言います

      103
      00:10:49,115 --> 00:10:53,286
      上から流す緩衝液に含まれる
      塩化物イオンの濃度を

      104
      00:10:53,286 --> 00:10:57,724
      0から300mM に
      直線的に上げていくことによって

      105
      00:10:57,724 --> 00:11:01,628
      弱く結合している
      タンパク質を先に出し

      106
      00:11:01,628 --> 00:11:04,964
      強く結合している
      タンパク質を後から出す

      107
      00:11:04,964 --> 00:11:07,133
      そのようにして
      分離を行います

      108
      00:11:07,133 --> 00:11:12,539
      今日使う担体は
      「Q-Sepharose」ですけれども

      109
      00:11:12,539 --> 00:11:17,77
      陰イオン交換担体は
      ほかにもいろいろな種類があります

      110
      00:11:19,479 --> 00:11:29,489
      原研究室の学生実験では
      DEAEを使いましたが それは

      111
      00:11:31,691 --> 00:11:38,465
      ジエチルアミノエチル というもので
      これは

      112
      00:11:39,199 --> 00:11:48,441
      ここに水素イオンが結合すると
      + に荷電した状態になります

      113
      00:11:48,441 --> 00:11:52,645
      結合していなければ
      荷電はなくなります

      114
      00:11:54,47 --> 00:11:56,850
      溶媒のpHによりますが

      115
      00:11:56,850 --> 00:12:02,756
      中性付近ではここに水素イオンが結合すると
      + に荷電する

      116
      00:12:02,756 --> 00:12:07,761
      今回使う 「Q-Sepharose」は

      117
      00:12:07,761 --> 00:12:12,832
      水素イオンが結合していなくても
      最初から+ に荷電しています

      118
      00:12:12,832 --> 00:12:18,338
      なので DEAEよりも
      より強く正に荷電しているので

      119
      00:12:18,338 --> 00:12:25,812
      今回の担体のほうが
      陰イオン性のタンパク質を結合する力が強いです

      120
      00:12:25,812 --> 00:12:32,385
      ですので 溶出させるのにも
      DEAEよりも強い条件で

      121
      00:12:32,385 --> 00:12:38,625
      塩化物イオンの濃度を
      より高めにしなければなりません

      122
      00:12:38,625 --> 00:12:42,796
      つまり 含まれているタンパク質の種類によって
      このような担体

      123
      00:12:42,796 --> 00:12:48,768
      陰イオン交換担体でも
      いろいろな種類を使い分けるようにします


    • 用語集 KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
      M(モーラー):mol/L
      SH基(えすえいちき):チオール基
      酸化防止剤:自らを酸化することで相手の酸化を防ぐ物質
      ジスルフィルド結合:SH基間で形成されるS-S結合
      チオール化合物:SH基をもつ化合物

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:07,507
      担体を十分に懸濁して

      2
      00:00:07,507 --> 00:00:13,79
      上から懸濁液(1M KCl 溶液)を
      20ml のメモリまで注ぎます

      3
      00:00:13,79 --> 00:00:21,654
      すると 全体が白く濁った状態になり
      下の方から担体が沈み 詰まっていきます

      4
      00:00:21,654 --> 00:00:27,694
      上の方は透明で
      下の方は白く詰まっている状態になりますが

      5
      00:00:27,694 --> 00:00:29,195
      さらによく見ると

      6
      00:00:29,195 --> 00:00:36,369
      詰まっている担体の下の方は
      より濃く詰まっているのが見えます

      7
      00:00:36,369 --> 00:00:38,738
      完璧に詰まっている部分が

      8
      00:00:38,738 --> 00:00:44,878
      最終的に 8~10ml になるように
      調節してください

      9
      00:00:44,878 --> 00:00:50,116
      担体が露出するまで液面が下がると

      10
      00:00:50,116 --> 00:00:55,422
      このタイプの担体(Q-Sepharose)は
      詰まっているところがひび割れします

      11
      00:00:55,422 --> 00:00:59,125
      (ひび割れると)
      タンパク質の溶液を流したときに

      12
      00:00:59,125 --> 00:01:03,897
      本当は上の方から流れてほしいのですが
      ひびの間を流れてきてしまい

      13
      00:01:03,897 --> 00:01:06,66
      きちんと分離ができなくなってしまいます

      14
      00:01:06,66 --> 00:01:10,3
      (次に) 溶媒 (Tris-HClと 2-メルカプとエタノール)を
      50ml 上から流します

      15
      00:01:10,3 --> 00:01:14,240
      (溶媒の)トリス塩酸(Tris-HCl)には
      塩化物イオン(Cl⁻)が入っていますが

      16
      00:01:14,240 --> 00:01:18,678
      10mM という
      とても低い濃度になっています

      17
      00:01:18,712 --> 00:01:25,385
      流すと (- に荷電した)塩化物イオンが除去されて
      担体の周りにない状態になるので

      18
      00:01:25,385 --> 00:01:28,455
      (- に荷電した)
      タンパク質を結合させる準備ができます

      19
      00:01:28,455 --> 00:01:33,727
      (駒込ピペットで 内壁に)液を
      伝わらせるようにして 流していきます

      20
      00:01:33,727 --> 00:01:45,305
      流すときも 一か所からだけ流すと
      下の担体が偏ってえぐれてしまいます

      21
      00:01:45,305 --> 00:01:53,113
      上手な人は ピペットの先端を内壁に接触させたまま
      ぐるぐると回して流します

      22
      00:01:53,113 --> 00:01:56,850
      それから (溶媒の)
      5mM 2-メルカプトエタノールというのは

      23
      00:01:56,850 --> 00:01:59,786
      酸化防止剤です

      24
      00:01:59,786 --> 00:02:08,194
      タンパク質が空気中の酸素で酸化されると
      ジスルフィド結合が起きてしまうと言いましたが

      25
      00:02:08,194 --> 00:02:10,430
      それを防ぐためのものです

      26
      00:02:10,630 --> 00:02:16,136
      2-メルカプトエタノール自体が チオール化合物
      SH基を持っているので

      27
      00:02:16,136 --> 00:02:19,973
      これが酸化されることによって
      タンパク質の酸化を防ぎます

      28
      00:02:20,206 --> 00:02:24,811
      担体が詰まっている部分よりも 3cm くらい
      液面が上になるように

      29
      00:02:24,811 --> 00:02:29,382
      保持した状態で 流れを止めておきます


    • 用語集 ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
      M(モーラー):mol/L
      筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
      クロマトグラフィー:物質を分離、精製する手法の1種
      透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
      透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
      透析チューブ(とうせきちゅーぶ):半透膜でできたチューブ

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:11,44
      (筋形質画分を) 冷凍庫から取り出して
      それを (30℃の恒温水槽で) とかします

      2
      00:00:11,44 --> 00:00:16,616
      中の氷がとけたら すぐ
      (試験管を)氷の上に置きます

      3
      00:00:16,683 --> 00:00:21,287
      試料には タンパク質以外の低分子も
      いろいろ含まれています

      4
      00:00:21,287 --> 00:00:24,991
      (コイの)挽肉を低塩濃度緩衝液に
      懸濁して(濾過した) だけですので

      5
      00:00:24,991 --> 00:00:29,629
      ATPや多糖類など
      いろんなものが 含まれています

      6
      00:00:29,629 --> 00:00:38,705
      それから塩(えん)は 40mM のKClが
      低塩濃度緩衝液に入っていますので

      7
      00:00:38,705 --> 00:00:41,675
      それも クロマトグラフィーを妨害します

      8
      00:00:41,675 --> 00:00:44,778
      それを除くために
      透析を行います

      9
      00:00:44,811 --> 00:00:48,581
      だいたい10ml くらい
      試料があるはずですが

      10
      00:00:48,581 --> 00:00:56,222
      そのうち 最低でも5ml
      だいたい7~8ml くらい

      11
      00:00:56,356 --> 00:01:01,661
      それを透析チューブに入れて

      12
      00:01:01,661 --> 00:01:04,531
      (透析外液はカラムの) 平衡化に使うのと
      同じ緩衝液を使います

      13
      00:01:04,531 --> 00:01:11,37
      そして冷蔵庫に 一晩置いて
      試料に含まれる低分子を除去する

      14
      00:01:11,37 --> 00:01:16,242
      塩濃度(Cl⁻)を下げる
      脱塩を行います


    • 用語集 M(モーラー):mol/L
      遠沈管(えんちんかん):遠心分離機を用いた実験に使われる容器
      緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
      透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
      透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
      ベンゼン環(べんぜんかん):炭素原子が正六角形の形に結合した分子構造

      字幕 1
      00:00:05,638 --> 00:00:11,277
      はじめに 透析した試料を
      透析チューブから出します

      2
      00:00:11,277 --> 00:00:14,14
      その中に少し沈殿した
      不溶物が入っています

      3
      00:00:14,14 --> 00:00:23,356
      それをそのままカラムに流すと
      担体の目が詰まって 流れが止まってしまいます

      4
      00:00:23,957 --> 00:00:30,63
      ですので一度 弱く遠心分離機にかけて
      (沈殿を取り除き)

      5
      00:00:30,63 --> 00:00:33,99
      上清だけを カラムに流すようにします

      6
      00:00:33,99 --> 00:00:39,439
      (遠心分離機の)回転数は3000回転
      2700G くらいの遠心力になります

      7
      00:00:39,439 --> 00:00:47,313
      今回 各班の試料は1本なので

      8
      00:00:47,313 --> 00:00:52,252
      (遠心分離する際には)
      他の班と 重さを合わせてください

      9
      00:00:52,252 --> 00:01:02,262
      重さをはかったら その班の代表がペアになり
      遠心分離機のところまで持ってきてください

      10
      00:01:02,262 --> 00:01:10,70
      3000回転での遠心分離が終わって
      遠沈管を受け取ったら 確認してほしいのは

      11
      00:01:10,70 --> 00:01:14,341
      チューブの先端に
      沈殿がたまっていることです

      12
      00:01:14,341 --> 00:01:16,876
      これを振り混ぜたりしないでください

      13
      00:01:16,876 --> 00:01:23,316
      (次に) 10mM Tris-HCl(トリス塩酸)
      透析外液にした緩衝液です

      14
      00:01:23,316 --> 00:01:35,328
      その三角フラスコから
      メスシリンダーで25ml ずつ はかりとって

      15
      00:01:35,328 --> 00:01:45,338
      (ビーカー)AとBに
      各25ml ずつ 入れます

      16
      00:01:45,472 --> 00:01:46,172
      そこに

      17
      00:01:46,172 --> 00:01:53,546
      薬包紙の上に はかりとった塩化カリウム0.559g を
      Bのビーカーに入れます

      18
      00:01:53,546 --> 00:01:55,382
      Aには入れないです

      19
      00:01:55,382 --> 00:02:00,553
      すると Bの溶液だけ

      20
      00:02:00,553 --> 00:02:05,492
      塩化カリウムの濃度が
      0.3M (300mM) になります

      21
      00:02:05,492 --> 00:02:10,997
      次に 試料をカラムに流し始めます

      22
      00:02:10,997 --> 00:02:14,134
      (カラムを)スタンドに
      垂直に括り付けます

      23
      00:02:14,134 --> 00:02:21,41
      チューブの下のキャップを開けて
      担体が液面に出そうになるまで緩衝液を流します

      24
      00:02:21,41 --> 00:02:24,611
      上部に3cm ほどある
      緩衝液を除去してください

      25
      00:02:24,611 --> 00:02:32,185
      次に 試験管立てに
      空の試験管を11本程度並べます

      26
      00:02:32,185 --> 00:02:43,263
      そして 最初の試験管に
      チューブの先端を入れます

      27
      00:02:43,263 --> 00:02:53,873
      その状態でキャップを開けて
      上から試料を少しずつ流し込みます

      28
      00:02:53,873 --> 00:03:00,447
      (カラムに)5ml 入ると
      入った分だけ 下から出てきます

      29
      00:03:00,847 --> 00:03:09,522
      最初に出てくるのは 流した試料に由来するものではなく
      先にカラムに入っていた緩衝液です

      30
      00:03:09,522 --> 00:03:15,228
      それを 1本の試験管に
      全部受け取ってください

      31
      00:03:15,228 --> 00:03:19,32
      それが 1本目の試験管です

      32
      00:03:19,32 --> 00:03:29,476
      次は Aのビーカーから
      メスピペットまたはマイクロピペットで5ml 取ります

      33
      00:03:29,609 --> 00:03:33,847
      このとき出てくる液は
      2本目の試験管に回収します

      34
      00:03:33,847 --> 00:03:43,857
      5ml 流して 液がなくなってきて
      担体が干上がるところまで来ると

      35
      00:03:43,857 --> 00:03:45,158
      液が出なくなります

      36
      00:03:45,158 --> 00:03:48,94
      (そうなりましたら)
      チューブを 次の試験管に移します

      37
      00:03:48,94 --> 00:03:58,304
      今度は BのビーカーからAのビーカーに
      2.5ml 移して

      38
      00:03:58,304 --> 00:04:02,809
      Aのビーカーを
      ガラス棒で攪拌します

      39
      00:04:02,809 --> 00:04:14,754
      均一になったら Aから5ml 取り
      カラムに先ほどの要領で流します

      40
      00:04:14,754 --> 00:04:19,25
      出てくる液は
      3本目の試験管に全部回収します

      41
      00:04:19,25 --> 00:04:22,28
      以降は それの繰り返しです

      42
      00:04:22,28 --> 00:04:30,804
      こうすると カラムに供給される緩衝液のKCl濃度が
      直線的に増えていきます

      43
      00:04:30,804 --> 00:04:33,707
      全部で(試験管が)11本くらいになるはずです

      44
      00:04:33,707 --> 00:04:35,942
      (次に 280nm の)
      吸光度をはかります

      45
      00:04:35,942 --> 00:04:42,48
      280nm というのは
      ベンゼン環などが吸収を示す波長域です

      46
      00:04:42,315 --> 00:04:50,457
      タンパク質の濃度が高いと
      280nm の吸光度が高くなります

      47
      00:04:51,825 --> 00:04:58,264
      (グラフは)吸光度が縦軸
      横軸は溶出体積(ml) とありますが

      48
      00:04:58,264 --> 00:05:09,743
      横軸を簡単に
      フラクションナンバー(試験管番号)とします

      49
      00:05:09,743 --> 00:05:17,717
      折れ線グラフではなく
      散布図の形にしてください

      50
      00:05:18,318 --> 00:05:26,359
      そして ポイントを直線で結んで
      グラフを作ってください

      51
      00:05:26,359 --> 00:05:34,467
      一番最初に出てくるのは
      最初からカラムに入っていた液なので

      52
      00:05:34,768 --> 00:05:43,943
      そこには タンパク質は含まれていないので
      1番の試験管は吸光度が低いです

      53
      00:05:43,943 --> 00:05:46,946
      その後 吸光度がぐーんと
      上がってきます

      54
      00:05:46,946 --> 00:05:56,756
      それは 担体と相互作用せずに
      素通りして出てきたタンパク質の成分です

      55
      00:05:56,756 --> 00:06:01,861
      担体と反発しあう
      正に荷電した塩基性タンパク質が出てきます

      56
      00:06:01,861 --> 00:06:06,800
      それから
      しばらくして出てくるのが

      57
      00:06:06,800 --> 00:06:12,872
      塩化物イオンの濃度が上がらないと
      担体から離れない

      58
      00:06:12,872 --> 00:06:18,378
      担体と より強く結合している
      酸性タンパク質

      59
      00:06:18,378 --> 00:06:22,549
      - に強く荷電した
      タンパク質が出てきます


    • 用語集 ATPase(エーティーピーアーゼ):ATPを分解する酵素
      BPB(ビーピービー):ブロモフェノールブルー、酸塩基指示薬の1種
      SDS(エスディーエス):ラウリル硫酸ナトリウム、陰イオン性界面活性剤の1種
      Tris(トリス):トリスヒドロキシメチルアミノメタン、緩衝剤の1種
      アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      アルミブロック恒温槽(あるみぶろっくこうおんそう):熱媒体としてアルミブロックを用いる恒温槽
      緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
      電気泳動(でんきえいどう):荷電分子が電場中を移動する現象を利用してタンパク質を分離する手法
      透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
      透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:13,313
      (クロマトグラムでピークを示した3本の)試験管から
      それぞれ少しずつ採取して 電気泳動をして

      2
      00:00:13,313 --> 00:00:18,318
      それぞれのピークで
      どんなタンパク質が出てくるか分析するのですが

      3
      00:00:18,318 --> 00:00:27,193
      カラムにかけて分離する前の試料
      遠心分離後の上清も

      4
      00:00:27,193 --> 00:00:31,965
      それも同時に電気泳動で分析します

      5
      00:00:31,965 --> 00:00:33,800
      (4つの試料を)
      マイクロテストチューブにとります

      6
      00:00:33,800 --> 00:00:38,972
      さらに 試薬を加えます

      7
      00:00:39,773 --> 00:00:44,611
      50% グリセロール
      10mM Tris-HCl(pH 7.6)

      8
      00:00:44,611 --> 00:00:50,784
      1% SDS 0.01% BPB
      10% 2-メルカプトエタノール

      9
      00:00:50,784 --> 00:00:52,852
      という試薬です

      10
      00:00:52,852 --> 00:01:00,160
      青い色が付いた試薬で
      青は BPBというpHの指示薬の色素です

      11
      00:01:00,160 --> 00:01:06,433
      手袋をしてふたを開けて
      マイクロピペットで 50μl 加えます

      12
      00:01:06,433 --> 00:01:11,604
      それを 手で振り混ぜたり
      指ではじいたりして攪拌してください

      13
      00:01:13,173 --> 00:01:19,179
      (分離前と) カラムにかけて分離した後の
      3つのピーク時の試料を並べて

      14
      00:01:19,179 --> 00:01:23,49
      電気泳動を行い
      結果を比較します

      15
      00:01:23,49 --> 00:01:23,983
      もう一つ

      16
      00:01:23,983 --> 00:01:30,924
      皆さんが 先週の実験で使ってきた
      アクトミオシンも

      17
      00:01:30,924 --> 00:01:35,261
      電気泳動で分析します

      18
      00:01:35,261 --> 00:01:38,698
      冷蔵庫に入っている
      皆さんのアクトミオシン

      19
      00:01:39,132 --> 00:01:43,903
      これを 氷の上にとります

      20
      00:01:43,903 --> 00:01:49,9
      そして 高塩濃度緩衝液で希釈して

      21
      00:01:49,9 --> 00:01:55,482
      以前 ATPase活性の測定のときに
      0.75mg/ml の溶液を1.0ml 作りましたが

      22
      00:01:55,482 --> 00:02:01,588
      それと同じ要領で
      各班のタンパク質濃度から計算して

      23
      00:02:01,588 --> 00:02:07,861
      4mg/ml の溶液1.0ml を
      試験管に作ってください

      24
      00:02:09,429 --> 00:02:19,439
      作ったら それを振り混ぜて
      全て透析チューブに入れて透析します

      25
      00:02:19,706 --> 00:02:25,912
      アクトミオシンは高塩濃度緩衝液
      0.6M KCl に溶けています

      26
      00:02:26,579 --> 00:02:29,582
      塩濃度が高いと
      電気泳動がきれいにできません

      27
      00:02:29,582 --> 00:02:36,956
      特に KClのカリウムイオンは
      電気泳動と相性が悪いです

      28
      00:02:36,956 --> 00:02:39,459
      それを除去するために
      透析を行います

      29
      00:02:39,459 --> 00:02:41,928
      今日の透析外液は

      30
      00:02:41,928 --> 00:02:54,274
      10mM Tris-HCl (pH7.6)
      0.1%SDS 5mM の2-メルカプトエタノールです

      31
      00:02:54,274 --> 00:02:57,110
      それを冷蔵庫に入れて一晩置きます

      32
      00:02:57,110 --> 00:03:00,180
      特に カリウムイオンが電気泳動を妨害するので

      33
      00:03:00,347 --> 00:03:04,951
      それを除去するのが
      この操作になります

      34
      00:03:04,951 --> 00:03:12,359
      皆さんは 手袋をしてから
      自分の班の(透析)チューブを出して

      35
      00:03:12,359 --> 00:03:15,362
      外側をキムワイプで拭いた後

      36
      00:03:15,362 --> 00:03:20,133
      (マイクロテストチューブ)の中に
      透析チューブの中身を入れてください

      37
      00:03:20,133 --> 00:03:25,538
      アクトミオシンを
      チューブにとったうち 50μl を

      38
      00:03:25,538 --> 00:03:31,878
      1.5ml のチューブに移します

      39
      00:03:32,145 --> 00:03:42,255
      そして 昨日使った青い色素(BPB)の入った
      電気泳動試料用の緩衝液を

      40
      00:03:42,255 --> 00:03:47,894
      50μl とって混合し
      電気泳動用試料とします

      41
      00:03:47,894 --> 00:03:55,835
      電気泳動の前に
      加熱して還元する操作が必要です

      42
      00:03:56,69 --> 00:04:00,407
      チューブに100μl
      電気泳動用試料ができたら

      43
      00:04:00,407 --> 00:04:06,680
      95℃ にした アルミブロック恒温槽がありますから
      そこに置いてください

      44
      00:04:06,880 --> 00:04:11,651
      5分経ったら出して
      室温に戻すようにしてください

      45
      00:04:11,818 --> 00:04:18,158
      全部で5つの試料を
      分子量マーカーと一緒に

      46
      00:04:18,158 --> 00:04:22,262
      電気泳動をします


    • 用語集 APS(エーピーエス):過硫酸アンモニウム
      BISアクリルアミド(ビスアクリルアミド):ポリアクリルアミドゲル作製の際の架橋剤
      EDTA(イーディーティーエー):エチレンジアミン四酢酸
      M(モーラー):mol/L
      SDS(エスディーエス):ラウリル硫酸ナトリウム、陰イオン性界面活性剤の1種
      TEMED(テメッド):テトラメチルエチレンジアミン、アクリルアミドをポリアクリルアミドゲルとする重合反応の開始剤
      Tris(トリス):トリスヒドロキシメチルアミノメタン、緩衝剤の1種
      アクリルアミド:アクリル酸を母体とするアミドの1種
      グリシン:アミノ酸の1種
      グリセロール:グリセリン、3価のアルコールの1種
      重合反応:ポリマーを合成する化学反応
      フリーラジカル:不対電子をもつ分子や原子
      ポリマー:重合体
      モノマー:単量体

      字幕 1
      00:00:05,638 --> 00:00:08,8
      ポリアクリルアミドゲルは

      2
      00:00:08,8 --> 00:00:16,216
      2枚のガラス板の隙間に
      アクリルアミドモノマー液を流し込んで

      3
      00:00:16,216 --> 00:00:19,52
      重合させて作成します

      4
      00:00:19,52 --> 00:00:28,695
      サイドにスペーサーの貼ってあるガラス板と
      何も付いていないガラス板を用意します

      5
      00:00:28,695 --> 00:00:34,167
      そしてこれは シールガスケットです
      シリコンゴムでできています

      6
      00:00:34,167 --> 00:00:38,371
      この裏表に注意して

      7
      00:00:38,371 --> 00:00:45,812
      スペーサーのあるガラス板の
      サイドの部分をシールするように配置します

      8
      00:00:45,812 --> 00:00:55,822
      シールガスケットが大きくゆがんだり
      スペーサーの上に乗ったりしないように 注意してください

      9
      00:00:55,989 --> 00:01:04,631
      次に スペーサーのないガラス板を
      上にそっと重ねます

      10
      00:01:05,31 --> 00:01:07,567
      この状態でまとめて手に取り

      11
      00:01:07,600 --> 00:01:13,73
      スペーサーの上に
      ガスケットが乗り上げていないかどうか

      12
      00:01:13,73 --> 00:01:20,246
      また ガスケットが大きく歪んでいないかどうか
      もう一度確認してください

      13
      00:01:20,980 --> 00:01:27,587
      サイドをクリップで止めます

      14
      00:01:29,589 --> 00:01:36,363
      このようにすると
      ガラス板の隙間から モノマー液を注いでも

      15
      00:01:36,363 --> 00:01:39,933
      モノマー液が外に漏れることはありません

      16
      00:01:41,234 --> 00:01:46,773
      モノマー液をたくさん注いだあと
      こちらの コーム(Comb)

      17
      00:01:47,240 --> 00:01:53,747
      コームを差し込んでから
      重合させます

      18
      00:01:53,747 --> 00:01:56,983
      重合させたらコームを
      引き抜きます

      19
      00:01:56,983 --> 00:02:04,791
      するとゲルに 試料を入れるための
      試料溝がたくさんできます

      20
      00:02:06,626 --> 00:02:14,34
      始めにモノマー液を用意する前に
      コームをさし込み

      21
      00:02:15,602 --> 00:02:24,611
      コームの先端から1.5cm 下に
      マジックで印をつけてください

      22
      00:02:25,912 --> 00:02:31,685
      次に 氷で冷やしたナス型フラスコを用意して

      23
      00:02:31,685 --> 00:02:35,355
      そこにモノマー液を調合します

      24
      00:02:35,355 --> 00:02:40,493
      30% アクリルアミド
      0.3% BISアクリルアミド

      25
      00:02:40,493 --> 00:02:44,698
      0.5M Tris
      1.5M グリシン

      26
      00:02:44,698 --> 00:02:50,570
      50% グリセロール
      1mM EDTA

      27
      00:02:51,371 --> 00:02:57,410
      2.25% APS
      (過硫酸アンモニウム)

      28
      00:02:57,410 --> 00:03:00,347
      それから 純水です

      29
      00:03:00,347 --> 00:03:07,220
      これらをナス型フラスコにとったら
      一度 攪拌します

      30
      00:03:07,253 --> 00:03:14,461
      そして 口の部分にガラス管を通した
      ゴム栓をはめ込みます

      31
      00:03:14,461 --> 00:03:23,870
      ガラス管から 水流アスピレーターなどの
      真空ポンプで吸引 内部を減圧にし 脱気します

      32
      00:03:23,870 --> 00:03:30,76
      脱気するのは 試薬や水に溶存している
      酸素を除去するためです

      33
      00:03:30,76 --> 00:03:34,981
      重合反応を酸素が妨害します

      34
      00:03:35,882 --> 00:03:45,892
      ガラス管にホースをつないで
      真空ポンプで2分間吸引します

      35
      00:03:45,959 --> 00:03:49,629
      2分経過

      36
      00:03:49,629 --> 00:03:52,732
      脱気したあと ホースを外すと

      37
      00:03:52,732 --> 00:03:57,470
      ナス型フラスコの中に
      空気が入りますけれども

      38
      00:03:57,470 --> 00:04:00,774
      十分 脱気の効果があります

      39
      00:04:01,174 --> 00:04:08,915
      (ここに) 10% のSDSと
      重合反応を開始する TEMEDという試薬を加えます

      40
      00:04:08,915 --> 00:04:18,491
      脱気のあとにSDSを加えるのは
      先に加えると (試料が)泡立つからです

      41
      00:04:18,491 --> 00:04:21,294
      TEMEDを加えると

      42
      00:04:21,294 --> 00:04:24,364
      脱気前にナス型フラスコに入っていた

      43
      00:04:24,364 --> 00:04:27,701
      過硫酸アンモニウムとTEMEDが反応して

      44
      00:04:27,701 --> 00:04:30,203
      フリーラジカルが発生します

      45
      00:04:30,203 --> 00:04:36,910
      そして アクリルアミドモノマーの
      重合反応(連鎖重合)が開始されます

      46
      00:04:37,210 --> 00:04:40,647
      なので TEMEDを加えてから

      47
      00:04:40,647 --> 00:04:45,985
      迅速に モノマー液をガラス板の間に注ぎます

      48
      00:04:50,123 --> 00:04:55,362
      (TEMEDを)加えたら ナス型フラスコを
      揺すって攪拌します

      49
      00:04:55,362 --> 00:04:58,231
      (ナス型フラスコを)
      氷で冷やしているのは

      50
      00:04:58,231 --> 00:05:05,438
      取り扱いが容易なように
      重合反応の速度を 少し遅らせるためです

      51
      00:05:05,438 --> 00:05:13,913
      モノマー液は
      マジックで印をつけたところまで注ぎます

      52
      00:05:14,447 --> 00:05:18,918
      そして その上に蒸留水を重ねて

      53
      00:05:18,918 --> 00:05:21,855
      空気を遮断し 重合させます

      54
      00:05:23,823 --> 00:05:31,464
      一気に注がずに
      少量注いでは 左右に揺すります

      55
      00:05:31,965 --> 00:05:37,871
      一カ所からだけでなく
      左右や中央から少しずつ注ぎ

      56
      00:05:37,871 --> 00:05:40,407
      水位を上げていきます

      57
      00:05:40,607 --> 00:05:44,10
      マジックの印のところまで注いだら

      58
      00:05:44,44 --> 00:05:48,615
      平らな机の上に立てます

      59
      00:05:48,982 --> 00:05:54,154
      そして マイクロピペットで
      少量の水を 1滴ずつ

      60
      00:05:55,989 --> 00:05:58,425
      左右 中央付近

      61
      00:05:58,591 --> 00:06:02,929
      何カ所かに分けて
      静かに加えていきます

      62
      00:06:03,596 --> 00:06:11,37
      こうすることで モノマー液の上に
      水の層ができて

      63
      00:06:11,37 --> 00:06:12,972
      空気を遮断します

      64
      00:06:12,972 --> 00:06:18,545
      十分に空気が遮断されていないと
      モノマーが 重合しません

      65
      00:06:18,545 --> 00:06:22,515
      20分くらい置くと
      重合が完了します

      66
      00:06:22,515 --> 00:06:27,787
      水の下のモノマーが重合して
      ゲルになっているのが分かります

      67
      00:06:28,755 --> 00:06:36,262
      この水を キムワイプで吸い取って
      取り除きます

      68
      00:06:40,500 --> 00:06:48,808
      下のゲルの上に もう1種類
      濃縮ゲルになるモノマー液を注ぎ

      69
      00:06:48,808 --> 00:06:56,816
      コームをさして重合させたら
      電気泳動のゲルが完成します

      70
      00:06:57,50 --> 00:07:03,189
      モノマー液を調合するための
      空のナス型フラスコを氷冷します

      71
      00:07:03,423 --> 00:07:08,328
      そこに 8% アクリルアミド
      0.2% BISアクリルアミド

      72
      00:07:08,328 --> 00:07:15,802
      緩衝液として
      0.5M Tris-HCl(pH6.8)

      73
      00:07:17,103 --> 00:07:23,910
      それから 過硫酸アンモニウムと
      水を 混合します

      74
      00:07:24,144 --> 00:07:30,383
      (すべて混合したら)
      先ほどと同様 ゴム栓をして減圧し 脱気します

      75
      00:07:30,383 --> 00:07:34,187
      脱気のあとに SDSを加えます

      76
      00:07:34,187 --> 00:07:38,892
      最後に TEMEDを加えると
      重合反応が開始されます

      77
      00:07:39,359 --> 00:07:49,369
      これ(調合したモノマー液)を 水を吸い取ったあとの
      分離ゲルの上に重ねていきます

      78
      00:07:49,369 --> 00:07:54,541
      まず 少量を注いで

      79
      00:07:56,943 --> 00:08:05,85
      全体になじませてから
      注ぎます

      80
      00:08:06,586 --> 00:08:14,694
      ガラス板の切欠のふちの部分まで
      たっぷり入れます

      81
      00:08:14,961 --> 00:08:24,504
      そして 机の上に立てて
      コームをさし込みます

      82
      00:08:25,171 --> 00:08:27,707
      コームを差し込んだあと

      83
      00:08:27,707 --> 00:08:34,748
      先端に気泡が付いていると
      その部分は重合しませんので

      84
      00:08:34,748 --> 00:08:39,619
      気泡があったら
      (コームを)一度抜き 再度さして

      85
      00:08:39,619 --> 00:08:42,188
      気泡を追い出します

      86
      00:08:42,222 --> 00:08:47,227
      この状態で
      また20分程度 放置します

      87
      00:08:47,227 --> 00:08:53,33
      (20分後)
      重合すると 傾けても流れださなくなります


    • 用語集 running buffer(ランニングバッファー):泳動用緩衝液
      分子ふるい効果:分子の大きさによって電気泳動速度が異なること

      字幕 1
      00:00:09,242 --> 00:00:15,615
      出来上がったゲルは
      ガラス板ごと 泳動槽に取り付けて

      2
      00:00:15,615 --> 00:00:18,785
      電気泳動を行います

      3
      00:00:18,785 --> 00:00:24,224
      始めに サイドのクリップを外します

      4
      00:00:28,261 --> 00:00:34,200
      シールを 外します

      5
      00:00:37,203 --> 00:00:45,445
      ガラス板の切り欠きのある部分に
      洗瓶の純水を少し吹きかけて

      6
      00:00:46,846 --> 00:00:56,856
      滑りを良くしてから
      コームを少しずつ引き抜きます

      7
      00:00:56,856 --> 00:01:06,866
      コームを抜くときに
      試料溝が乱れてしまうことがありますが

      8
      00:01:07,567 --> 00:01:13,373
      後で整えることができますので
      大きな問題にはなりません

      9
      00:01:13,373 --> 00:01:16,476
      しかし ゆっくり引き抜いて

      10
      00:01:16,476 --> 00:01:24,484
      試料溝の壁を引きちぎらないように
      注意することが必要です

      11
      00:01:26,853 --> 00:01:30,724
      泳動槽には

      12
      00:01:30,724 --> 00:01:38,231
      下から3センチくらいまで
      Running Buffer(泳動用緩衝液)を入れておきます

      13
      00:01:38,598 --> 00:01:43,269
      この中に ゲルを浸しますが

      14
      00:01:43,303 --> 00:01:52,278
      水色のフレームに
      ゲルを作成したガラス板をはめ込みます

      15
      00:01:52,278 --> 00:01:59,686
      切り欠きのあるガラス板が
      内側になるようにはめ込んで

      16
      00:02:02,856 --> 00:02:11,765
      中央のフレームに
      カチッと取り付けます

      17
      00:02:14,901 --> 00:02:21,241
      反対側にも 同じように
      切り欠きのあるガラス板を内側にして

      18
      00:02:21,508 --> 00:02:26,312
      ゲルを取り付けます

      19
      00:02:26,780 --> 00:02:31,217
      フレームを泳動槽に入れると

      20
      00:02:32,252 --> 00:02:37,357
      2枚のガラス板の間に
      気泡が入ります

      21
      00:02:37,357 --> 00:02:43,863
      この気泡は通電を妨げるので
      必ず除去します

      22
      00:02:44,597 --> 00:02:46,633
      泳動槽を傾けると

      23
      00:02:46,633 --> 00:02:54,774
      気泡が斜め上方に移動して
      抜けていきますので

      24
      00:02:55,408 --> 00:03:03,249
      左右に傾けて
      気泡を取り除いてください

      25
      00:03:04,117 --> 00:03:11,591
      2枚のガラス板に挟まれた
      上部電極層にも

      26
      00:03:11,591 --> 00:03:17,797
      泳動用緩衝液を
      たっぷり注ぎます

      27
      00:03:17,797 --> 00:03:20,433
      次にサンプルをのせていきます

      28
      00:03:20,433 --> 00:03:24,104
      2枚のガラス板の間の試料溝に

      29
      00:03:24,104 --> 00:03:30,110
      マイクロシリンジや
      先の細いピペットチップを使って

      30
      00:03:30,110 --> 00:03:33,446
      試料を注入します

      31
      00:03:33,446 --> 00:03:39,452
      チップやシリンジの針の先を
      深いところまで刺し込み

      32
      00:03:39,452 --> 00:03:46,326
      少し 試料を押し出します

      33
      00:03:46,326 --> 00:03:53,533
      すると 試料が
      試料溝の底に たまってきますので

      34
      00:03:53,533 --> 00:03:59,539
      たまってきたら 針先やチップの先端を
      上に引き上げます

      35
      00:04:00,440 --> 00:04:04,911
      全ての試料溝に
      試料を注入し終えたら

      36
      00:04:04,911 --> 00:04:14,154
      カバーをかぶせて電源ケーブルを取り付け
      通電します

      37
      00:04:14,154 --> 00:04:16,756
      (40mA 定電流で泳動
      約80分かかります)

      38
      00:04:17,524 --> 00:04:25,598
      (4年生 実験補助)
      泳動を開始すると
      今の電流・時間・電圧が 確認できます

      39
      00:04:26,499 --> 00:04:28,401
      通電が始まると

      40
      00:04:28,401 --> 00:04:32,605
      青い ブロモフェノールブルー(BPB)は

      41
      00:04:32,639 --> 00:04:39,346
      タンパク質よりも先に
      下の方(+極)に 移動していきます

      42
      00:04:39,346 --> 00:04:42,349
      ゲルの上方には

      43
      00:04:42,349 --> 00:04:44,718
      濃縮ゲルがありますが

      44
      00:04:44,718 --> 00:04:49,656
      濃縮ゲルでは
      普通 タンパク質の分離は行われません

      45
      00:04:49,656 --> 00:04:51,24
      縦方向に

      46
      00:04:51,91 --> 00:04:55,795
      タンパク質が
      広がって分布している状態なのですが

      47
      00:04:55,795 --> 00:05:00,967
      濃縮ゲルは
      これを圧縮する働きを持っています

      48
      00:05:00,967 --> 00:05:03,970
      (通電開始から6分)

      49
      00:05:03,970 --> 00:05:06,973
      (通電開始から10分)

      50
      00:05:06,973 --> 00:05:09,943
      (通電開始から15分)

      51
      00:05:09,943 --> 00:05:14,147
      (通電開始から22分)
      縦方向に 細く圧縮された状態で

      52
      00:05:14,147 --> 00:05:17,83
      分離ゲルに入っていく訳ですが

      53
      00:05:17,83 --> 00:05:21,521
      分離ゲルの中では
      分子ふるい効果により

      54
      00:05:21,521 --> 00:05:25,25
      分子量の大小によって
      タンパク質が分離されます

      55
      00:05:25,25 --> 00:05:28,862
      圧縮されて
      分離ゲルに突入することにより

      56
      00:05:28,862 --> 00:05:32,98
      バンド(の発色)がシャープになる効果があります

      57
      00:05:32,98 --> 00:05:35,101
      (通電開始から60分)

      58
      00:05:35,101 --> 00:05:38,905
      (通電開始から84分) ブロモフェノールブルーが ゲルの下端から

      59
      00:05:38,905 --> 00:05:41,307
      (通電開始から84分) 5mm くらいの所まで来たら

      60
      00:05:41,307 --> 00:05:43,977
      泳動は 終了です

      61
      00:05:44,244 --> 00:05:48,515
      泳動が終了したら
      泳動槽を流しに持っていきます

      62
      00:05:49,249 --> 00:05:52,552
      泳動用緩衝液を捨てて

      63
      00:05:52,552 --> 00:05:55,522
      内側のカセットを取り出します

      64
      00:05:58,91 --> 00:06:06,266
      フレームを取り外し
      ガラス板を取り出します

      65
      00:06:06,933 --> 00:06:13,73
      切り欠きのあるガラス板を
      下にして持って

      66
      00:06:13,73 --> 00:06:20,947
      2枚のガラス板の間に
      定規や下敷きのようなものを差し込んで

      67
      00:06:20,947 --> 00:06:23,249
      こじ開けます

      68
      00:06:24,851 --> 00:06:30,623
      すると ゲルは
      切り欠きのあるガラス板にくっついてきます

      69
      00:06:32,325 --> 00:06:37,130
      次に ゲルとスペーサーの間に

      70
      00:06:39,666 --> 00:06:47,273
      注射針を当てて
      切り離します

      71
      00:06:51,778 --> 00:06:56,249
      濃縮ゲルと分離ゲルの間に
      境界線が見えますが

      72
      00:06:56,416 --> 00:07:02,756
      ここも 注射針でなぞって
      切り離します

      73
      00:07:16,136 --> 00:07:23,143
      この段階で
      洗瓶の純水を少量ゲルにかけます

      74
      00:07:23,576 --> 00:07:27,113
      次に タッパーに染色液を用意します

      75
      00:07:30,50 --> 00:07:34,888
      そして ガラス板から ゲルをはがしとります

      76
      00:07:36,56 --> 00:07:41,261
      (はがし方は)
      ゲルの下に指を少しずつ入れるようにします

      77
      00:07:41,394 --> 00:07:46,666
      ゲルの端をつまんで持ち上げるのではなく

      78
      00:07:46,666 --> 00:07:52,972
      複数の指を
      ゲルの下に滑り込ませて

      79
      00:07:52,972 --> 00:07:56,710
      広い面積を持って
      引き上げるようにします

      80
      00:07:59,112 --> 00:08:02,849
      これを染色液の中に入れます

      81
      00:08:05,352 --> 00:08:08,788
      ゲルがよれたり
      折れ曲がったりしていると

      82
      00:08:08,788 --> 00:08:11,291
      染色のムラの原因になりますので

      83
      00:08:11,291 --> 00:08:15,495
      (タッパーを)
      揺すって広げてやります

      84
      00:08:15,495 --> 00:08:22,802
      ときどき攪拌しながら
      5分くらいつけておきます

      85
      00:08:23,103 --> 00:08:28,475
      5分経ったら
      ゲルを落とさないように注意しながら

      86
      00:08:28,475 --> 00:08:31,578
      染色液を瓶に戻します

      87
      00:08:33,246 --> 00:08:38,752
      そして ゲルを水道水で洗浄してください

      88
      00:08:38,752 --> 00:08:43,23
      ゲル全体が
      青く染まっています

      89
      00:08:43,89 --> 00:08:47,293
      (青く染まった)ゲルを
      さらに脱色液に浸して処理すると

      90
      00:08:47,293 --> 00:08:48,895
      バンドが見えてきます

      91
      00:08:48,895 --> 00:08:52,565
      脱色液をタッパーに入れて

      92
      00:08:52,565 --> 00:08:56,136
      底に キムワイプを広げて入れます

      93
      00:08:58,38 --> 00:09:01,508
      このキムワイプは
      ゲルから抜け出してきた

      94
      00:09:01,508 --> 00:09:07,714
      余計なCBB色素を
      吸着する働きをします

      95
      00:09:09,516 --> 00:09:15,155
      ここに 染色したゲルをのせます

      96
      00:09:17,924 --> 00:09:23,797
      その上から さらに
      もう1枚のキムワイプを 重ねて入れます

      97
      00:09:25,231 --> 00:09:31,37
      このタッパーにラップをして(針などで穴を空け)
      電子レンジで2分加熱してください


    • 用語集 log(ログ):対数、aを何乗したらbになるかを表す数
      アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
      アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      検量線(けんりょうせん):得られたデータと目的とする量との対応を規定するグラフ
      対数値(たいすうち):aを何乗したらbになるかを表す値
      トロポニン:トロポニンT、I、Cの複合体
      トロポミオシン:アクチン結合タンパク質
      分子量(ぶんしりょう):分子の相対的質量で単位はない、基準は原子量12の炭素原子
      分子量マーカー(ぶんしりょうまーかー):分子量が既知のタンパク質で移動度と分子量の対応の基準

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:08,541
      前回はSDS-PAGEを行いました

      2
      00:00:08,541 --> 00:00:13,646
      ゲルを染色・脱色をして
      バンドが見えてきたことを確認しました

      3
      00:00:13,646 --> 00:00:18,918
      それぞれ 一番左側に分子量マーカー
      次に アクトミオシン

      4
      00:00:18,918 --> 00:00:25,258
      次に筋形質画分と
      クロマトグラフィーのピーク1・2・3です

      5
      00:00:25,258 --> 00:00:30,30
      バンドの上の方にあるのは
      分子量が大きく

      6
      00:00:30,30 --> 00:00:31,931
      下の方にあるのは
      分子量が小さいです

      7
      00:00:31,931 --> 00:00:36,369
      バンドの濃さや
      面積というのは

      8
      00:00:36,369 --> 00:00:41,541
      そこに存在している
      タンパク質の量に相関しています

      9
      00:00:42,308 --> 00:00:45,378
      例えば この太くて濃いバンドですと

      10
      00:00:45,378 --> 00:00:47,480
      このタンパク質は たくさんあり

      11
      00:00:48,448 --> 00:00:51,551
      このように細くて薄いバンドは

      12
      00:00:51,551 --> 00:00:56,389
      (タンパク質は)
      あまりないということを表しています

      13
      00:00:56,389 --> 00:01:03,730
      基本的には バンドの色が濃く 大きいほど
      タンパク質が多いです

      14
      00:01:03,730 --> 00:01:09,135
      使用した分子量マーカーは
      最初から染色してあります

      15
      00:01:09,135 --> 00:01:11,671
      このレーンを見てみると

      16
      00:01:11,671 --> 00:01:12,605
      分子量マーカー

      17
      00:01:12,605 --> 00:01:14,140
      これがアクトミオシン

      18
      00:01:15,342 --> 00:01:21,247
      (これは)分子量がとても大きくて
      たくさん量があるタンパク質です

      19
      00:01:22,415 --> 00:01:26,252
      それから これは中くらいの
      分子量のタンパク質です

      20
      00:01:26,252 --> 00:01:27,687
      これも たくさんあります

      21
      00:01:28,488 --> 00:01:38,498
      この辺りは (分子量が)3万や2万です
      色々な種類のタンパク質が混じっているところです

      22
      00:01:38,865 --> 00:01:44,504
      アクトミオシンを構成している
      ミオシンや アクチンの他に

      23
      00:01:44,504 --> 00:01:46,506
      以前に 説明した

      24
      00:01:46,506 --> 00:01:49,909
      アクチンフィラメントの中では
      アクチンだけではなく

      25
      00:01:49,909 --> 00:01:55,115
      トロポミオシンやトロポニンなど
      様々なものが 結合しています

      26
      00:01:55,115 --> 00:01:59,986
      そういうタンパク質が全て
      一つ一つのバンドになって 分離されている状態です

      27
      00:02:01,721 --> 00:02:04,190
      また 筋形質画分ですが

      28
      00:02:04,190 --> 00:02:09,896
      アクトミオシンとは
      パターンが全然違うことが分かります

      29
      00:02:09,896 --> 00:02:16,69
      (例えば)この2つは 分子量は近いですが
      同じではないことが分かります

      30
      00:02:16,69 --> 00:02:23,176
      これらは似ているようですが
      多分違うタンパク質だということが分かります

      31
      00:02:23,176 --> 00:02:29,349
      このフラクションを
      カラムクロマトグラフィーにかけて

      32
      00:02:29,349 --> 00:02:32,619
      出てきたのが
      この3つになります

      33
      00:02:32,619 --> 00:02:37,424
      2つのピークと プラスもう1か所を
      とってもらったと思います

      34
      00:02:37,424 --> 00:02:44,764
      カラムクロマトグラフィーをかける前に
      存在していたバンドの この位置に

      35
      00:02:44,764 --> 00:02:47,100
      ピークの後半の方で

      36
      00:02:47,967 --> 00:02:52,772
      後から出てくる酸性タンパク質の方に

      37
      00:02:52,772 --> 00:02:59,12
      この太いバンドのタンパク質が
      溶出しているということが分かります

      38
      00:02:59,12 --> 00:03:00,780
      これもそうですね

      39
      00:03:00,780 --> 00:03:05,719
      最初に溶出してくるところには
      含まれず

      40
      00:03:05,719 --> 00:03:10,23
      後から溶出してくる
      担体に結合した画分に

      41
      00:03:10,23 --> 00:03:13,760
      このタンパク質が
      含まれていることが分かります

      42
      00:03:13,760 --> 00:03:17,597
      つまり このタンパク質は
      酸性タンパク質です

      43
      00:03:18,932 --> 00:03:21,134
      これも 酸性タンパク質です

      44
      00:03:21,134 --> 00:03:24,537
      ここら辺に 4~5本バンドがありますが

      45
      00:03:24,537 --> 00:03:28,74
      それらは 最初の方で出てきています

      46
      00:03:29,309 --> 00:03:32,145
      つまり 担体にあまり結合しないタンパク質です

      47
      00:03:32,145 --> 00:03:34,280
      塩基性のタンパク質とか

      48
      00:03:34,280 --> 00:03:40,20
      酸性であったとしても
      あまり- の荷電が大きくないです

      49
      00:03:40,20 --> 00:03:43,189
      (この2つは)
      似ていますが同じではないです

      50
      00:03:43,189 --> 00:03:47,527
      例えば このタンパク質は
      後には出ていますが先には出ていません

      51
      00:03:47,527 --> 00:03:53,133
      こちらは逆に
      後には出ておらず 先に出ています

      52
      00:03:53,133 --> 00:03:57,337
      1つのピークの中の
      前半にあるタンパク質

      53
      00:03:57,337 --> 00:04:00,440
      後半に別のタンパク質
      という風に

      54
      00:04:00,440 --> 00:04:02,742
      溶出している ということが分かります

      55
      00:04:03,476 --> 00:04:08,348
      まず 分子量の大小と

      56
      00:04:08,348 --> 00:04:12,752
      バンドの移動距離というのは
      関係があります

      57
      00:04:12,752 --> 00:04:15,889
      この関係を表す
      グラフを作ってみてください

      58
      00:04:15,889 --> 00:04:20,226
      (分子量マーカー) について
      分子量はこのように分かっています

      59
      00:04:20,226 --> 00:04:22,462
      一番上にあるのが
      210,000

      60
      00:04:22,462 --> 00:04:24,931
      一番下にあるのが
      10,000です

      61
      00:04:24,931 --> 00:04:27,267
      この分子量マーカーについて

      62
      00:04:27,267 --> 00:04:31,771
      濃縮ゲルが上に付いていても
      分離ゲルとの境目が見えますので

      63
      00:04:31,771 --> 00:04:33,173
      分離ゲルの上端

      64
      00:04:33,173 --> 00:04:40,480
      ここから それぞれのマーカーの
      バンドまでの長さを測ります

      65
      00:04:40,480 --> 00:04:43,283
      どのように測るかというと

      66
      00:04:43,283 --> 00:04:52,58
      例えば 画像を解析する時であれば
      ピクセルを測ります

      67
      00:04:52,58 --> 00:04:58,264
      それから プリントアウトして
      定規で長さを測ってもいいです

      68
      00:04:58,264 --> 00:05:03,503
      印刷したサイズによって
      大きさが違っていても大丈夫です

      69
      00:05:03,503 --> 00:05:07,774
      分離ゲルの上端から
      それぞれのバンドの

      70
      00:05:07,774 --> 00:05:14,514
      ぼやっとしているところの
      真ん中までの距離を測ってください

      71
      00:05:14,514 --> 00:05:16,750
      それを横軸にとります

      72
      00:05:16,750 --> 00:05:20,987
      縦軸に「log(の底が)10」の分子量

      73
      00:05:20,987 --> 00:05:25,25
      10を底とする分子量の対数値になります

      74
      00:05:25,558 --> 00:05:29,996
      つまり logが5ということは
      (分子量が 10の5乗の)10万になります

      75
      00:05:29,996 --> 00:05:33,333
      (logが) 4というと
      1万になります

      76
      00:05:33,333 --> 00:05:42,175
      この値を縦軸にとってプロットを描くと
      直線ができるはずです

      77
      00:05:42,175 --> 00:05:46,46
      移動距離の短いところ

      78
      00:05:46,46 --> 00:05:48,314
      ゲルの上の方です

      79
      00:05:48,314 --> 00:05:53,620
      それから 移動距離の長いところ
      ゲルの下の方ですね

      80
      00:05:53,620 --> 00:05:58,358
      これは 直線から外れた状況になります

      81
      00:05:58,358 --> 00:06:00,994
      それも含めて確認してください

      82
      00:06:01,628 --> 00:06:04,364
      そういうグラフを作ってください

      83
      00:06:04,364 --> 00:06:11,738
      さらに そのグラフは
      分子量の検量線となります

      84
      00:06:11,871 --> 00:06:14,607
      つまり 同じゲルについて

      85
      00:06:15,575 --> 00:06:18,511
      一緒に泳動した
      未知の試料

      86
      00:06:18,511 --> 00:06:21,81
      例えば このタンパク質

      87
      00:06:21,81 --> 00:06:24,50
      このタンパク質の
      分子量はいくつなのか

      88
      00:06:24,50 --> 00:06:28,755
      作ったグラフから
      それを求めます

      89
      00:06:29,889 --> 00:06:32,926
      どのバンドについて求めるかというと

      90
      00:06:33,259 --> 00:06:38,531
      アクトミオシンの中から
      バンドを1つ 選んでいただきます

      91
      00:06:38,565 --> 00:06:40,734
      それから 筋形質画分

      92
      00:06:40,734 --> 00:06:44,70
      その中から また1つ
      バンドを選んでいただきます

      93
      00:06:44,70 --> 00:06:48,174
      合計2つです
      各班で2つ バンドを選びます

      94
      00:06:48,174 --> 00:06:53,46
      そのバンドのタンパク質の
      分子量を測定します

      95
      00:06:53,46 --> 00:06:55,949
      例えば
      このバンドを選んだとしたら

      96
      00:06:55,949 --> 00:07:01,721
      このレーンの上端から
      選んだバンドの真ん中までの距離を測ります

      97
      00:07:03,356 --> 00:07:05,558
      そしてその距離を
      横軸にとって

      98
      00:07:06,493 --> 00:07:11,31
      縦軸の直線とクロスするところの
      縦軸の値を読むと

      99
      00:07:11,31 --> 00:07:13,66
      10の その値乗

      100
      00:07:13,66 --> 00:07:15,468
      それが 分子量となります


    • 用語集 PMF(ピーエムエフ):ペプチドマスフィンガープリンティング
      真空乾燥:減圧した状態で乾燥すること
      トリプシン:消化酵素の1種
      intensity(インテンシティ):強度
      分解能:計測可能な最小値
      質量スペクトル:イオン化した原子や分子の質量mと電荷zの比m/zにしたがって、その相対量を表やグラフの形で表したもの
      プロトン:水素陽イオン
      分子量:分子の相対的質量で単位はない、基準は原子量12の炭素原子

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:06,973
      今日行う実験は

      2
      00:00:06,973 --> 00:00:14,381
      バンドがたくさん出てきましたが
      そのバンドのタンパク質は何なのか ということです

      3
      00:00:14,447 --> 00:00:18,51
      質量分析によるタンパク質の同定と

      4
      00:00:18,51 --> 00:00:19,886
      一次構造の解析を行います

      5
      00:00:19,886 --> 00:00:21,921
      質量分析というのは

      6
      00:00:22,22 --> 00:00:24,724
      分子量を求める実験手法です

      7
      00:00:24,724 --> 00:00:29,129
      非常に正確に
      分子量を求めるには

      8
      00:00:29,129 --> 00:00:30,830
      タンパク質であれば

      9
      00:00:30,830 --> 00:00:34,401
      10万とか14万とか
      書いてありますが

      10
      00:00:34,401 --> 00:00:42,175
      有効数字は1桁か2桁の
      精度しかありません

      11
      00:00:42,709 --> 00:00:45,578
      そういう大雑把な分子量ではなく

      12
      00:00:45,578 --> 00:00:49,883
      分子量の一の位まで
      正確に求められるような

      13
      00:00:49,916 --> 00:00:52,152
      そういう分析をします

      14
      00:00:53,19 --> 00:00:56,723
      それから とても少ない量の試料

      15
      00:00:56,723 --> 00:01:02,462
      電気泳動で バンドが かろうじて
      見えるか見えないかくらいの少ない量でも

      16
      00:01:02,462 --> 00:01:06,800
      測定ができるという手法です

      17
      00:01:07,0 --> 00:01:08,802
      それを利用して

      18
      00:01:08,802 --> 00:01:13,473
      このバンドが
      何というタンパク質なのかを

      19
      00:01:13,473 --> 00:01:14,941
      調べます

      20
      00:01:14,941 --> 00:01:17,510
      その中の 1つの方法として

      21
      00:01:17,510 --> 00:01:20,947
      PMF
      (Peptide Mass Fingerprinting)

      22
      00:01:20,947 --> 00:01:23,917
      PMF解析の原理という図があります

      23
      00:01:23,917 --> 00:01:25,285
      それを行います

      24
      00:01:25,285 --> 00:01:30,290
      (タンパク質をペプチドに消化して)
      質量分析をします

      25
      00:01:30,290 --> 00:01:33,760
      図の横軸に「m/z」と
      書いてあります

      26
      00:01:33,760 --> 00:01:36,730
      これは 基本的に
      分子量に相当するものです

      27
      00:01:36,730 --> 00:01:43,570
      分子量に 水素イオン(プロトン)が
      くっついたものの質量になります

      28
      00:01:43,570 --> 00:01:48,41
      だから 右のほうに行けば行くほど
      分子量が大きいです

      29
      00:01:48,41 --> 00:01:56,149
      それから intensityと言いますが
      これはペプチドが検出された強度です

      30
      00:01:56,149 --> 00:02:00,86
      棒のようなものが
      一本一本立っていますが

      31
      00:02:00,86 --> 00:02:04,190
      拡大してみると
      ピークになっていて

      32
      00:02:04,190 --> 00:02:08,995
      分子量の測定が
      とても正確に行えて

      33
      00:02:08,995 --> 00:02:10,897
      分解能がとても高いので

      34
      00:02:10,897 --> 00:02:14,100
      針のような
      細いピークになっています

      35
      00:02:14,401 --> 00:02:16,36
      そこに書いてあるように

      36
      00:02:16,36 --> 00:02:20,507
      大きな分子量のペプチドは
      右のほうにピークを与えて

      37
      00:02:20,507 --> 00:02:23,777
      小さな分子量のペプチドは
      左の方にピークを与える

      38
      00:02:23,777 --> 00:02:26,513
      それで こういうグラフができます

      39
      00:02:26,513 --> 00:02:30,116
      これを 質量スペクトルと呼びます

      40
      00:02:30,116 --> 00:02:34,621
      この質量スペクトルを
      バンドそれぞれについて測るのを

      41
      00:02:34,621 --> 00:02:36,222
      明日の実験でやります


    • 用語集 CBB(シービービー):Coomassie Brilliant Blue、タンパク質の染色剤の1種
      トリプシン:消化酵素の1種
      ボルテックスミキサー:攪拌用の実験器具
      振盪機(しんとうき):攪拌用の機器
      真空乾燥(しんくうかんそう):減圧した状態で乾燥すること

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:08,508
      質量分析はとても感度が高いので

      2
      00:00:08,508 --> 00:00:11,978
      汚染にとても影響を受けます

      3
      00:00:11,978 --> 00:00:13,246
      何による汚染かというと

      4
      00:00:13,246 --> 00:00:15,715
      ヒトの手あかによる汚染

      5
      00:00:15,715 --> 00:00:19,586
      手あかは
      そこら中にこびりついています

      6
      00:00:19,586 --> 00:00:25,125
      もちろん 人体の皮膚の
      表面にもありますし

      7
      00:00:25,125 --> 00:00:27,961
      机の上も
      手あかだらけです

      8
      00:00:27,961 --> 00:00:31,431
      手あかは脂質など
      いろいろ入っていますけど

      9
      00:00:31,431 --> 00:00:36,936
      タンパク質である
      ケラチンも入っていて

      10
      00:00:36,936 --> 00:00:40,807
      それによる試料の汚染が
      少しでも起こると

      11
      00:00:40,807 --> 00:00:46,513
      ケラチンをトリプシン消化した
      ペプチドが大量に検出されてしまいます

      12
      00:00:46,513 --> 00:00:47,981
      それを防ぐために

      13
      00:00:47,981 --> 00:00:52,318
      今日の全ての工程は
      手袋をして行ってください

      14
      00:00:52,552 --> 00:00:56,623
      一瞬でも
      (試料を)机の上に落としたりとか

      15
      00:00:56,623 --> 00:01:01,761
      手で触ってしまったりしたら
      アウトですから 気をつけてください

      16
      00:01:01,761 --> 00:01:04,964
      具体的な操作の手順ですが

      17
      00:01:04,964 --> 00:01:10,470
      最初に 各班で
      どの部分を分析するかを決めてもらいます

      18
      00:01:10,470 --> 00:01:14,974
      アクトミオシンでは AM1からAM9のうち
      各班どれか1つ

      19
      00:01:15,8 --> 00:01:21,948
      それから 筋形質画分は
      SP1からSP12

      20
      00:01:21,948 --> 00:01:24,517
      その中からどれか1つ

      21
      00:01:24,517 --> 00:01:26,753
      (各班が)1つのタンパク質に
      集中しすぎないように

      22
      00:01:26,753 --> 00:01:29,189
      いろいろなタンパク質を
      分析してほしいです

      23
      00:01:29,189 --> 00:01:33,460
      (分析する場所を)
      決めたら ゲルを取り出します

      24
      00:01:33,460 --> 00:01:39,466
      (キムタオルの上に)
      手袋をした手で アルミホイルを広げます

      25
      00:01:39,466 --> 00:01:45,438
      ゲルを壊さないようにつまんで
      アルミホイルの上に置きます

      26
      00:01:45,438 --> 00:01:50,43
      分析したいバンドを切り取ります

      27
      00:01:50,43 --> 00:01:55,248
      手袋をした手で (メスの)替え刃を使って
      切ってください

      28
      00:01:55,281 --> 00:02:00,720
      バンドの周辺を長方形に切り取ります

      29
      00:02:00,720 --> 00:02:05,892
      ピンセットの先をガスバーナーで焼いたものを
      用意していますので

      30
      00:02:05,892 --> 00:02:08,828
      それを使って
      バンドを取り出してください

      31
      00:02:08,828 --> 00:02:16,169
      取り出したら
      ゲルの外の別のアルミホイルの上に置き

      32
      00:02:16,169 --> 00:02:21,274
      メスで1mm 角くらいに刻んでください

      33
      00:02:21,274 --> 00:02:30,250
      刻んだら 1.5ml の
      マイクロテストチューブの中に入れてください

      34
      00:02:30,250 --> 00:02:35,188
      次に CBB(バンドを染色したときに使用した染色液)
      を除去する操作をします

      35
      00:02:35,188 --> 00:02:42,62
      「100μl の50% アセトニトリル
      25mM NH₄HCO₃ を加え」

      36
      00:02:42,62 --> 00:02:45,565
      「ボルテックスミキサーで10分間振盪する」

      37
      00:02:45,565 --> 00:02:49,736
      ボルテックスミキサーではありませんが
      振盪機です

      38
      00:02:49,736 --> 00:02:55,608
      すると 液体の部分に
      赤紫色のCBBが溶けだしてきます

      39
      00:02:55,608 --> 00:03:00,847
      それをマイクロピペットで
      吸引して捨てる

      40
      00:03:00,847 --> 00:03:02,782
      この作業をもう一度やります

      41
      00:03:03,183 --> 00:03:09,756
      すると ゲルは脱水されて白くなります

      42
      00:03:09,756 --> 00:03:13,660
      そこまで行きましたら 次に

      43
      00:03:13,660 --> 00:03:16,96
      (チューブの)蓋を開けた状態で

      44
      00:03:16,96 --> 00:03:20,66
      開いているところに
      パラフィルムをします

      45
      00:03:20,66 --> 00:03:25,805
      そして 針で5カ所ほど
      (パラフィルムに)穴を空けます

      46
      00:03:25,805 --> 00:03:30,643
      (真空乾燥器にセットしたら) 15分間
      真空ポンプを動かして乾燥します

      47
      00:03:30,643 --> 00:03:34,714
      すると ゲルがパサパサに
      乾燥した状態になります

      48
      00:03:34,714 --> 00:03:43,23
      乾いたら取り出して
      パラフィルムをはがします

      49
      00:03:43,23 --> 00:03:50,497
      はがしたときに 静電気で
      乾燥したゲルが飛び出してくることがあります

      50
      00:03:50,497 --> 00:03:59,272
      なので はがすときには
      慎重に行ってください

      51
      00:03:59,272 --> 00:04:03,76
      パラフィルムを取ったら
      蓋を閉めます

      52
      00:04:04,310 --> 00:04:09,49
      次に トリプシンの溶液を加えます

      53
      00:04:09,649 --> 00:04:12,652
      それを氷の上に置いておきます

      54
      00:04:12,652 --> 00:04:14,254
      30分静置します

      55
      00:04:14,254 --> 00:04:19,392
      すると ゲルの中にトリプシンがしみ込んで

      56
      00:04:19,392 --> 00:04:24,864
      乾燥していたゲルが
      みずみずしい状態になります

      57
      00:04:24,864 --> 00:04:26,332
      (次はチューブに) 蓋をします

      58
      00:04:26,332 --> 00:04:34,174
      蓋をした上から パラフィルムを巻いて
      密閉性を高めます

      59
      00:04:34,174 --> 00:04:37,977
      この状態で
      37℃のインキュベーターに入れます

      60
      00:04:38,11 --> 00:04:42,982
      すると ゲルの中にある
      固定されていたタンパク質に

      61
      00:04:42,982 --> 00:04:45,85
      トリプシンが作用します

      62
      00:04:45,85 --> 00:04:51,825
      タンパク質の中の
      リジンとアルギニンのC末端側で切断されて

      63
      00:04:51,825 --> 00:04:53,560
      分子量が小さくなります

      64
      00:04:53,560 --> 00:04:57,230
      リジンやアルギニンは
      タンパク質の中にたくさんありますので

      65
      00:04:57,230 --> 00:05:03,203
      色々な種類の
      とても小さな断片がたくさんできます

      66
      00:05:03,203 --> 00:05:07,7
      K・R・K・R と
      模式図で描かれていますが

      67
      00:05:07,7 --> 00:05:09,743
      それが
      リジンとアルギニンを表しています

      68
      00:05:09,743 --> 00:05:13,13
      それにトリプシンを作用させると

      69
      00:05:13,13 --> 00:05:22,555
      分子量が数百から数千程度の
      小さなペプチドの混合物になります

      70
      00:05:22,555 --> 00:05:25,125
      このように低分子になると

      71
      00:05:25,125 --> 00:05:28,561
      もう ゲルの中にはとどまらないので

      72
      00:05:28,561 --> 00:05:31,564
      抽出することができるようになります


    • 用語集 MALDI-TOF型質量分析計(マルディトフがたしつりょうぶんせきけい):マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計
      α-CHCA(アルファシーエイチシーエー):MALDI-TOFMS用のマトリクス
      アセトニトリル:有機溶媒の1種
      トリフルオロ酢酸:カルボン酸の1種
      マトリクス:ターゲット化合物のイオン化を支援する化合物
      リフレクター:反射器

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:10,643
      (37℃ のインキュベーターで
      一晩 消化反応を進めました)

      2
      00:00:10,643 --> 00:00:12,812
      (テキストから)変更する点は

      3
      00:00:12,812 --> 00:00:19,285
      50% アセトニトリル
      5% トリフルオロ酢酸(TFA)を50μl 加え

      4
      00:00:19,285 --> 00:00:21,588
      というところが
      25μl に変更になります

      5
      00:00:21,588 --> 00:00:22,889
      (それから)30分間

      6
      00:00:22,889 --> 00:00:27,794
      振盪器で攪拌とありますが
      これを半分の15分に変更します

      7
      00:00:27,794 --> 00:00:30,296
      ゲルの塊のようなものが
      できますが

      8
      00:00:30,296 --> 00:00:34,734
      それではなくて
      液体の部分をほんの少量でよいです

      9
      00:00:34,734 --> 00:00:40,240
      0.5μl をステンレスプレートの
      所定の位置にのせます

      10
      00:00:40,240 --> 00:00:44,944
      ここから 質量分析計での分析です

      11
      00:00:44,944 --> 00:00:48,281
      これは 質量分析計の模式図です

      12
      00:00:48,281 --> 00:00:53,653
      分子量を非常に精密に
      分析できる装置です

      13
      00:00:53,653 --> 00:00:56,289
      質量分析計にも 様々なタイプがあって

      14
      00:00:56,289 --> 00:01:02,862
      今回使うのは
      MALDI-TOF型質量分析計です

      15
      00:01:02,862 --> 00:01:11,304
      Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization
      - Time Of Flight の略です

      16
      00:01:11,304 --> 00:01:14,808
      レーザーを使います

      17
      00:01:14,808 --> 00:01:18,478
      ステンレスプレートの上に
      試料をのせて

      18
      00:01:18,478 --> 00:01:23,283
      さらにその上に
      マトリクスと呼ばれる物質をのせます

      19
      00:01:23,283 --> 00:01:30,90
      今回 (マトリクスとして)使うのは
      α-CHCA

      20
      00:01:30,90 --> 00:01:32,92
      こういう物質になります

      21
      00:01:32,92 --> 00:01:35,195
      ベンゼン環を持っています

      22
      00:01:35,195 --> 00:01:39,566
      マトリクスと試料を混ぜたものを
      用意して

      23
      00:01:39,566 --> 00:01:42,302
      それを乾燥し
      結晶にします

      24
      00:01:42,302 --> 00:01:44,537
      そこにレーザーを当てます

      25
      00:01:44,537 --> 00:01:48,842
      レーザーの波長が355nm の
      紫外線です

      26
      00:01:48,842 --> 00:01:54,180
      紫外線を当てると
      マトリクスがそれを吸収する

      27
      00:01:54,180 --> 00:01:59,719
      そのエネルギーが試料の分子にうつると

      28
      00:01:59,719 --> 00:02:04,391
      試料がイオン化されて
      蒸発しやすくなります

      29
      00:02:04,391 --> 00:02:09,95
      プラスのイオンとマイナスのイオンが
      同時にできますが

      30
      00:02:09,95 --> 00:02:16,403
      このうちプラスのイオンにだけ
      高電圧をかけて 蒸発してきたものを

      31
      00:02:16,403 --> 00:02:20,206
      引き出し さらに加速します

      32
      00:02:20,206 --> 00:02:23,276
      こちら側に加速されます

      33
      00:02:23,276 --> 00:02:29,549
      加速された先に勢い余って
      飛び出していきます

      34
      00:02:29,549 --> 00:02:33,486
      1m 2m の距離を飛んでいきます

      35
      00:02:33,486 --> 00:02:37,791
      そして リフレクターという
      特殊な電極があります

      36
      00:02:37,791 --> 00:02:43,830
      (リフレクターで) イオンが曲げられて
      (検出器)に到達すると 検出されます

      37
      00:02:43,830 --> 00:02:49,102
      レーザーを当てるタイミングと
      加速するタイミング

      38
      00:02:49,102 --> 00:02:52,405
      それは同期しています

      39
      00:02:52,405 --> 00:02:58,111
      加速してから
      検出器にイオンが飛んできて

      40
      00:02:58,111 --> 00:03:02,515
      検出されるまでの時間を
      正確に測定する

      41
      00:03:02,515 --> 00:03:05,552
      ナノ秒単位で正確に測定します

      42
      00:03:05,552 --> 00:03:10,557
      すると 重いもの
      質量が大きなものは

      43
      00:03:10,557 --> 00:03:14,27
      検出器に到達するまでに
      時間がかかる

      44
      00:03:14,27 --> 00:03:15,962
      質量が小さいものは 早く到達する

      45
      00:03:15,962 --> 00:03:17,897
      (到達する時間に) 差が生まれます

      46
      00:03:17,897 --> 00:03:22,836
      それから こういう関係式がありますので

      47
      00:03:22,836 --> 00:03:26,406
      イオンの質量が求められます

      48
      00:03:26,406 --> 00:03:31,845
      飛行する時間を測定するので
      飛行時間型の質量分析計と呼ばれます

      49
      00:03:31,845 --> 00:03:37,450
      それがTOFと呼ばれる方式です

      50
      00:03:37,450 --> 00:03:40,653
      イオン化のしかたは MALDI
      (Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)

      51
      00:03:40,653 --> 00:03:46,259
      それから 質量の求め方は
      TOF (Time Of Flight)

      52
      00:03:46,259 --> 00:03:49,229
      MALDI-TOF型質量分析計
      という装置です


    • 用語集 質量分析計(しつりょうぶんせきけい):原子や分子の質量を測定する装置

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:07,907
      これが質量分析計です

      2
      00:00:07,907 --> 00:00:10,210
      これが機械の本体で

      3
      00:00:10,210 --> 00:00:12,645
      これが制御用の
      コンピューターです

      4
      00:00:12,645 --> 00:00:15,448
      こちらがデータを解析する用の
      コンピューターです

      5
      00:00:15,448 --> 00:00:16,316
      この本体を

      6
      00:00:16,316 --> 00:00:19,119
      ちょっと近くに来てみてください

      7
      00:00:23,857 --> 00:00:26,593
      ここがレーザーの光源

      8
      00:00:26,593 --> 00:00:29,429
      ここからレーザーが
      こちらに出ます

      9
      00:00:29,429 --> 00:00:31,564
      ここに鏡があって

      10
      00:00:31,564 --> 00:00:32,399
      こちらに反射して

      11
      00:00:32,399 --> 00:00:34,34
      ここから (レーザーが)入っていきます

      12
      00:00:34,34 --> 00:00:36,703
      この中にプレートを入れます

      13
      00:00:36,703 --> 00:00:38,938
      ここにガラスの小さい窓がついていて

      14
      00:00:38,938 --> 00:00:40,440
      そこにレーザーが通って

      15
      00:00:40,440 --> 00:00:42,876
      中のプレートにレーザー光が当たります

      16
      00:00:44,277 --> 00:00:47,280
      プレートはここから

      17
      00:00:47,280 --> 00:00:53,987
      アームのようなものが
      出てくるのでそこに入れます

      18
      00:00:53,987 --> 00:00:56,156
      ここでイオンができて

      19
      00:00:56,156 --> 00:01:01,161
      加速されて
      この中を通っていきます

      20
      00:01:01,161 --> 00:01:04,164
      ここはイオンの選別をする機能が
      ついていますが

      21
      00:01:04,164 --> 00:01:06,733
      今回は それは使っていないです

      22
      00:01:06,733 --> 00:01:09,169
      ここは素通りして
      飛んでいって

      23
      00:01:09,169 --> 00:01:10,470
      奥までいって
      戻ってきて

      24
      00:01:10,470 --> 00:01:13,373
      ここら辺に 検出器があって

      25
      00:01:13,373 --> 00:01:18,812
      そこまでのかかる時間を測って
      分子量を計算します

      26
      00:01:18,812 --> 00:01:20,547
      下の方には

      27
      00:01:20,547 --> 00:01:24,884
      加速電圧を作るための
      電源装置があります

      28
      00:01:24,884 --> 00:01:29,22
      同じような機械が
      たくさん並んでいます

      29
      00:01:29,22 --> 00:01:32,959
      電源装置と 電源を切ったり入れたりする
      装置があります

      30
      00:01:32,959 --> 00:01:36,262
      こちら側だけ閉めておきます

      31
      00:01:36,262 --> 00:01:42,435
      まずは プレートを入れます

      32
      00:01:42,435 --> 00:01:46,573
      プレートを変える毎に
      校正が必要です

      33
      00:01:48,875 --> 00:01:51,211
      アームが出てきます

      34
      00:01:56,416 --> 00:01:58,385
      (プレートを挿入します)

      35
      00:02:00,153 --> 00:02:01,721
      入っていきます

      36
      00:02:01,721 --> 00:02:05,892
      この丸いものがプレートにある
      穴です

      37
      00:02:07,627 --> 00:02:10,330
      ここにあるのが模式図で

      38
      00:02:10,330 --> 00:02:14,67
      クリックすると
      その場所が表示されます

      39
      00:02:14,67 --> 00:02:15,335
      (TA 大学院生)
      G1番を選びます

      40
      00:02:15,335 --> 00:02:19,839
      (TA 大学院生)
      そしてレーザーを当てるボタンを
      押してください

      41
      00:02:19,839 --> 00:02:22,509
      (TA 大学院生)
      レーザーが出るまで 待ちます

      42
      00:02:23,843 --> 00:02:25,178
      (TA 大学院生)
      出ました

      43
      00:02:26,680 --> 00:02:30,417
      (TA 大学院生)
      どんどん ピークができていきます

      44
      00:02:47,500 --> 00:02:50,470
      (TA 大学院生) はい 終わりました
      それでは 保存しましょう

      45
      00:02:50,470 --> 00:02:53,540
      (TA 大学院生) 上から3つ目の
      view data です

      46
      00:02:53,540 --> 00:02:55,542
      (TA 大学院生) Data Explorer で
      見るという意味です

      47
      00:02:55,542 --> 00:03:01,915
      (TA 大学院生) すると タブを切り替えると
      Data Explorer にデータが出ます

      48
      00:03:01,915 --> 00:03:04,551
      (TA 大学院生) そこです
      そこを右クリックして

      49
      00:03:04,551 --> 00:03:06,353
      (TA 大学院生)
      Copy All Peaks

      50
      00:03:08,121 --> 00:03:10,690
      (TA 大学院生)
      そうしたら エクセルを開いて

      51
      00:03:10,690 --> 00:03:13,526
      (TA 大学院生)
      新しいシートを作って

      52
      00:03:13,526 --> 00:03:14,694
      (TA 大学院生)
      そこに貼り付けます


    • 用語集 PMF(ピーエムエフ):ペプチドマスフィンガープリンティング
      アイソトープ:同位体
      同位体(どういたい):原子番号が同じで、中性子数の異なる核種を互いに同位体という
      ヒストグラム:縦軸に度数、横軸に階級をとるグラフ
      モノアイソトピックマス:モノアイソトピック質量、単一の同位体から成る分子の質量

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:10,577
      タンパク質の同定に使う
      分子量の値としては

      2
      00:00:10,577 --> 00:00:14,914
      集まっているピークの中の
      一番分子量の小さなもの

      3
      00:00:14,914 --> 00:00:17,17
      一番左側のものを使います

      4
      00:00:17,17 --> 00:00:25,658
      それは モノアイソトピックマス
      といいます

      5
      00:00:25,658 --> 00:00:30,830
      アイソトピックとは何かというと
      アイソトープは同位体のことです

      6
      00:00:30,830 --> 00:00:36,770
      ピークが複数に
      1ずつずれて出てくるのは

      7
      00:00:36,770 --> 00:00:45,11
      自然界に存在する
      炭素原子の同位体と関係があります

      8
      00:00:45,11 --> 00:00:52,419
      自然界に存在する炭素の
      大部分 99% がC12です

      9
      00:00:52,419 --> 00:00:58,792
      陽子と中性子の数が6個ずつの
      C12が99% です

      10
      00:00:58,792 --> 00:01:07,934
      しかし 陽子の数が6個 中性子の数が7個の
      原子核をもった C13というのが1% 存在します

      11
      00:01:07,934 --> 00:01:12,706
      C14というのは 放射性で
      もっと割合は少ないです

      12
      00:01:12,706 --> 00:01:18,144
      天然の炭素原子には
      このように (3種類の同位体が)含まれます

      13
      00:01:18,144 --> 00:01:24,584
      (炭素原子)で 生物の体も
      タンパク質も ペプチドもできているので

      14
      00:01:24,584 --> 00:01:28,154
      ペプチドの中にも

      15
      00:01:28,154 --> 00:01:36,96
      炭素の原子が100個あれば
      そのうち 1個はC12ではなく C13でしょう

      16
      00:01:36,96 --> 00:01:40,900
      およそそれくらいの割合で
      C13が含まれています

      17
      00:01:40,900 --> 00:01:48,141
      モノアイソトピックマスのピークを
      与えたペプチドは

      18
      00:01:48,141 --> 00:01:52,178
      全ての炭素原子が
      C12でできています

      19
      00:01:52,178 --> 00:01:58,585
      ペプチドはアミノ酸が
      5個とか10個とか20個 つながったものです

      20
      00:01:58,585 --> 00:02:05,458
      炭素原子はその中に
      10個 20個どころか 100個とかたくさんあります

      21
      00:02:05,458 --> 00:02:12,265
      それが全部C12の場合は
      モノアイソトピックマスを示します

      22
      00:02:12,265 --> 00:02:17,904
      1個だけ C13が入っているという分子も
      ある程度 あります

      23
      00:02:17,904 --> 00:02:21,808
      それが (分子量が)1大きいところに
      (ピークが) 出る理由です

      24
      00:02:21,808 --> 00:02:32,185
      2個 C13が入っているという分子もあって
      もう1つ大きいところに(ピークが)出ます

      25
      00:02:32,185 --> 00:02:35,522
      その図にあるように

      26
      00:02:35,522 --> 00:02:44,97
      分子量が600 当たりで一番高いピークは
      モノアイソトピックマスです

      27
      00:02:44,97 --> 00:02:49,135
      分子量が1800 くらいの
      左から3番目のピークは

      28
      00:02:49,135 --> 00:02:57,344
      モノアイソトピックマス(のピーク)と
      1個だけC13が入っているピークは

      29
      00:02:57,344 --> 00:03:00,46
      だいたい高さが同じになります

      30
      00:03:00,46 --> 00:03:07,420
      ペプチドの分子量が大きくなると
      炭素原子の数も多くなるからです

      31
      00:03:07,420 --> 00:03:12,959
      そこにC13が1個入っている
      という確率がだんだん高くなる

      32
      00:03:12,959 --> 00:03:19,566
      さらに分子量が大きくなると
      モノアイソトピックマスを示すものは ピークが低くなって

      33
      00:03:19,966 --> 00:03:27,907
      C13が1個入っているもの 2個入っているものの方が
      量が多くなります

      34
      00:03:27,907 --> 00:03:31,878
      どの場合でも
      PMFでタンパク質の同定をするときに

      35
      00:03:31,878 --> 00:03:37,384
      重要なのは
      モノアイソトピックマスの値です

      36
      00:03:37,384 --> 00:03:42,789
      質量分析計は
      分子量1の違いも測定できる

      37
      00:03:42,789 --> 00:03:50,797
      1の誤差もないからこそ
      タンパク質の同定ができます

      38
      00:03:50,797 --> 00:03:57,771
      それを意識しながら
      解析を行う必要があります

      39
      00:03:57,771 --> 00:04:03,9
      モノアイソトピックマスの
      ピークのリストを作ってもらいます

      40
      00:04:03,9 --> 00:04:08,348
      最終的にピークのリストを
      エクセルシートの形で保存します

      41
      00:04:08,348 --> 00:04:10,316
      そのデータを使って

      42
      00:04:10,316 --> 00:04:15,355
      PMF解析による
      タンパク質の同定を(行います)

      43
      00:04:15,355 --> 00:04:17,257
      最終的に

      44
      00:04:17,257 --> 00:04:23,96
      電気泳動でも行った
      どのバンドがどういう結果になりましたという

      45
      00:04:23,96 --> 00:04:25,231
      一覧が完成します


    • 用語集 Centroid Mass(セントロイドマス)
      S/N Ratio(エスエヌレシオ):SN比、信号と雑音の比
      アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
      筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:08,508
      バンドのタンパク質の
      同定ということで

      2
      00:00:08,508 --> 00:00:10,810
      ゲル内消化した

      3
      00:00:10,810 --> 00:00:13,980
      バンドのタンパク質の質量分析を行い

      4
      00:00:13,980 --> 00:00:17,217
      質量スペクトルをとりました

      5
      00:00:17,217 --> 00:00:22,489
      今日は このデータに基づいて

      6
      00:00:22,489 --> 00:00:24,424
      ネット検索をして

      7
      00:00:24,424 --> 00:00:27,594
      そのタンパク質が
      何なのかを決定します

      8
      00:00:27,594 --> 00:00:32,565
      正面のスクリーンに出ているのは

      9
      00:00:32,565 --> 00:00:33,500
      アクトミオシンについては

      10
      00:00:33,500 --> 00:00:39,539
      AM1からAM9の 9つのタンパク質

      11
      00:00:39,539 --> 00:00:41,408
      筋形質画分タンパク質は

      12
      00:00:41,408 --> 00:00:46,813
      SP1からSP12の 12種のバンドです

      13
      00:00:46,813 --> 00:00:52,452
      青い文字は担当した班です

      14
      00:00:52,452 --> 00:00:59,592
      これに 皆さんのタンパク質同定結果を
      書き込んでもらって

      15
      00:00:59,592 --> 00:01:01,961
      表を完成させます

      16
      00:01:01,961 --> 00:01:06,232
      筋形質画分の11番は
      今年のデータがありません

      17
      00:01:06,232 --> 00:01:13,640
      実は 去年のデータがあるので

      18
      00:01:13,640 --> 00:01:19,713
      それを使って 今日の作業を説明します

      19
      00:01:19,713 --> 00:01:30,657
      スペクトルの下のピークリストから
      データをエクセルに貼り付けます

      20
      00:01:30,657 --> 00:01:33,293
      機械的に分子量1000以下の行を削除します

      21
      00:01:33,293 --> 00:01:37,697
      エクセルシート 1行目は項目行

      22
      00:01:37,697 --> 00:01:39,866
      ここは選択せずに
      その下の行(2行目)からです

      23
      00:01:39,866 --> 00:01:43,436
      A列はIndexで番号がついています
      そのすぐ右側の

      24
      00:01:43,436 --> 00:01:48,274
      B列が分子量で 506など
      値が入っています

      25
      00:01:48,274 --> 00:01:49,309
      2行目以下を選択します

      26
      00:01:49,309 --> 00:01:52,979
      1000以下の行を全て選択します

      27
      00:01:52,979 --> 00:01:58,618
      右クリックから 削除します

      28
      00:01:58,618 --> 00:02:05,759
      次に シートの左上をクリックして
      シート全体を選択します

      29
      00:02:05,759 --> 00:02:14,701
      この状態で ホームタブの「並べ替えとフィルター」と
      「ユーザー設定の並べ替え」をクリックします

      30
      00:02:14,701 --> 00:02:21,608
      表示されたダイアログ内の左側
      「最優先されるキー」をクリックします

      31
      00:02:21,608 --> 00:02:26,846
      1行目の項目行の
      項目が選択できます

      32
      00:02:26,846 --> 00:02:30,83
      項目から 「S/N Ratio」 を選択します

      33
      00:02:30,83 --> 00:02:34,320
      SはSignal NはNoise

      34
      00:02:34,320 --> 00:02:37,390
      ノイズに対する シグナルの比
      ということです

      35
      00:02:37,390 --> 00:02:46,66
      ノイズに対してピークのシグナルがどれくらい
      はっきりしているかを表す数値です

      36
      00:02:46,66 --> 00:02:54,140
      次に 右端の「順序」を
      「降順(大きい順)」にします

      37
      00:02:54,140 --> 00:02:56,142
      「OK」をクリック

      38
      00:02:56,142 --> 00:03:03,49
      S/N Ratio の大きい順に
      並べ替えられます

      39
      00:03:03,49 --> 00:03:07,153
      1番大きいのは1943で
      段々小さくなっていきます

      40
      00:03:07,153 --> 00:03:12,492
      次に 「Centroid Mass」の列

      41
      00:03:12,492 --> 00:03:17,864
      その列だけを選択

      42
      00:03:17,864 --> 00:03:23,403
      S/N Ratio が
      20以上のものだけ選択します

      43
      00:03:23,403 --> 00:03:32,45
      そしてこれをコピーします


    • 用語集 Adenylate kinase isoenzyme 1(アデニレートキナーゼアイソザイムワン):アデニル酸キナーゼ、ADPの再利用に作用する酵素
      hypothetical protein(ハイポセティカルプロテイン):仮定的タンパク質
      peptide tol.(ペプチドトル):ペプチドの分子量の誤差範囲
      アクセッションID:アミノ酸配列に与えられた固有の番号
      ゲノム:全遺伝情報
      ゲノムプロジェクト:ある生物の全DNA配列を決定する取り組み
      メチオニン:アミノ酸の1種

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:13,79
      北大の 「Mascot Server」にアクセス

      2
      00:00:13,79 --> 00:00:20,787
      左上の「Mascot」をクリック

      3
      00:00:20,787 --> 00:00:23,89
      Peptide Mass Fingerprint
      というのが

      4
      00:00:23,89 --> 00:00:26,760
      これから行う PMF

      5
      00:00:26,760 --> 00:00:31,197
      PMFは Peptide Mass Fingerprint
      の略になります

      6
      00:00:31,197 --> 00:00:33,400
      これをクリックすると

      7
      00:00:33,400 --> 00:00:34,467
      入力画面になります

      8
      00:00:34,467 --> 00:00:37,837
      1番下の大きい入力欄に

      9
      00:00:37,837 --> 00:00:48,314
      (エクセルからのデータを)
      貼り付けます

      10
      00:00:48,314 --> 00:00:53,19
      そのほかの様々な設定を
      適切に行います

      11
      00:00:53,19 --> 00:01:03,296
      Databaseは
      「NCBIcarp」を選択します

      12
      00:01:03,296 --> 00:01:10,937
      その下の
      Taxonomy(分類)は そのまま

      13
      00:01:10,937 --> 00:01:19,346
      その下の Enzyme(酵素)は
      使ったプロテアーゼの 「Trypsin」を選びます

      14
      00:01:19,346 --> 00:01:25,618
      Allow up to 1 missed cleavages
      というのは

      15
      00:01:25,618 --> 00:01:34,127
      タンパク質をリジンとアルギニンのC末端で
      切ったときに トリプシンが切り逃すことがあります

      16
      00:01:34,127 --> 00:01:40,200
      リジンやアルギニンがあるけれども
      そこで切らなかったということが ありえます

      17
      00:01:40,200 --> 00:01:47,741
      1個 切り逃したペプチドの存在を想定する
      設定になります

      18
      00:01:47,741 --> 00:02:02,722
      2とすると 切り逃したリジンやアルギニンが
      1か所 または2か所あることを想定した設定になります

      19
      00:02:02,722 --> 00:02:10,163
      0から9まで設定できるので
      デフォルトで まず検索してみて

      20
      00:02:10,163 --> 00:02:16,269
      うまく同定できない人は
      この数値を変えて やり直してみてください

      21
      00:02:16,269 --> 00:02:21,207
      それから その下に modifications
      というのが左と右にあります

      22
      00:02:21,207 --> 00:02:26,813
      右の方(Variable modifications)を
      スクロールしていくと

      23
      00:02:26,813 --> 00:02:31,918
      「Oxidation(M)」(酸化)
      というのがあります

      24
      00:02:31,918 --> 00:02:35,455
      (M)と(HW) というのがあります

      25
      00:02:35,455 --> 00:02:40,794
      M H W は
      アミノ酸の1文字略号です

      26
      00:02:40,794 --> 00:02:48,501
      Mはメチオニンです
      メチオニンが 酸化されているかもしれない

      27
      00:02:48,501 --> 00:02:52,372
      左側の内容は 必ず酸化されています

      28
      00:02:52,372 --> 00:02:58,345
      右側の内容は 酸化されているかもしれない
      という指定になります

      29
      00:02:58,345 --> 00:03:03,817
      右の方だけ
      「Oxidation(M)」を選んでください

      30
      00:03:03,817 --> 00:03:09,155
      それから すごく大事なのが
      その下の peptide tol. と書いてあるところです

      31
      00:03:09,155 --> 00:03:11,491
      これは誤差です

      32
      00:03:11,491 --> 00:03:18,231
      何の誤差かというと
      先週分析した 質量分析の誤差になります

      33
      00:03:18,231 --> 00:03:22,802
      誤差の数字が
      大きすぎたり 小さすぎたりすると

      34
      00:03:22,802 --> 00:03:27,273
      (タンパク質の)同定が
      できたり できなかったりします

      35
      00:03:27,273 --> 00:03:35,148
      この実験では
      標準のペプチドを分析して校正をやったので

      36
      00:03:35,148 --> 00:03:39,753
      精度は 非常に良くなっていると思います

      37
      00:03:39,753 --> 00:03:42,789
      ここはデフォルトで
      1.2となっていますが

      38
      00:03:42,789 --> 00:03:48,94
      0.25 にしてください

      39
      00:03:48,94 --> 00:03:52,298
      (設定を)確認したら
      左下の 「Start Search」を押します

      40
      00:03:52,298 --> 00:03:55,802
      サーバーがデータベースの中から

      41
      00:03:55,802 --> 00:04:05,812
      入力した質量スペクトルを
      与えるような配列を検索します

      42
      00:04:05,812 --> 00:04:08,615
      これが検索結果画面になります

      43
      00:04:08,615 --> 00:04:12,18
      画面の真ん中の辺りに
      ヒストグラムがあります

      44
      00:04:12,18 --> 00:04:15,588
      緑の斜線の四角があります

      45
      00:04:15,588 --> 00:04:20,860
      その斜線の四角よりも右の方に
      赤い棒が立っていると

      46
      00:04:20,860 --> 00:04:24,330
      有意な同定ができた
      ということになります

      47
      00:04:24,330 --> 00:04:28,968
      もし緑の四角の中にしか
      赤い棒がなかったら

      48
      00:04:28,968 --> 00:04:30,370
      タンパク質が見つからない

      49
      00:04:30,370 --> 00:04:32,372
      同定できなかった
      ということになります

      50
      00:04:32,372 --> 00:04:36,710
      その時は
      前の画面に戻って

      51
      00:04:36,710 --> 00:04:41,314
      パラメーターを変更して
      また「Start Search」をクリックして

      52
      00:04:41,314 --> 00:04:47,220
      なんとか赤い棒が緑の枠から出るように
      試行錯誤します

      53
      00:04:47,220 --> 00:04:48,488
      (Mascot searchの検索結果画面の)
      下の方には

      54
      00:04:48,488 --> 00:04:52,692
      何がヒットしたのか
      という情報が書かれています

      55
      00:04:52,692 --> 00:04:56,596
      赤い字でスコアが書かれているのが
      有意なヒットということになります

      56
      00:04:56,596 --> 00:05:04,37
      Adenylate kinase isoenzyme 1
      という名前が出ています

      57
      00:05:04,37 --> 00:05:12,45
      これが sp11の(バンドの)
      タンパク質ということになります

      58
      00:05:12,45 --> 00:05:16,549
      ここに青いリンクになっている
      アクセッションIDがあります

      59
      00:05:16,549 --> 00:05:19,953
      (アクセッションIDとタンパク質名)を
      (エクセルの)表に入れます

      60
      00:05:19,953 --> 00:05:22,789
      今はタンパク質名が
      表示されましたが

      61
      00:05:22,789 --> 00:05:26,259
      タンパク質名が
      表示されないことがあります

      62
      00:05:26,259 --> 00:05:32,665
      名前が出ないで
      hypothetical protein (仮定的タンパク質)

      63
      00:05:32,665 --> 00:05:37,70
      (名前ではなく)
      数字しか出ないです

      64
      00:05:37,70 --> 00:05:42,208
      それから predicted と
      出ることもあります

      65
      00:05:42,208 --> 00:05:45,378
      仮定的タンパク質(という表示)は
      どういうことかというと

      66
      00:05:45,378 --> 00:05:47,714
      そのようなタンパク質があると
      仮定できるけれども

      67
      00:05:47,714 --> 00:05:51,418
      本当にあるかどうか
      まだ実験的に証明されていない

      68
      00:05:51,418 --> 00:05:54,554
      という意味になります

      69
      00:05:54,554 --> 00:06:00,960
      コイなどでも
      ゲノムプロジェクトが進行していて

      70
      00:06:00,960 --> 00:06:06,733
      全ゲノムの塩基配列を
      どんどん分析していきましょう

      71
      00:06:06,733 --> 00:06:09,703
      ということが 今行われています

      72
      00:06:09,703 --> 00:06:14,107
      そのデータが
      どんどん蓄積されていっているところです

      73
      00:06:14,107 --> 00:06:19,312
      その塩基配列を機械的に
      アミノ酸配列に翻訳してやると

      74
      00:06:19,312 --> 00:06:23,249
      いろいろなタンパク質らしき
      アミノ酸配列が たくさん出てきます

      75
      00:06:23,249 --> 00:06:28,655
      そのアミノ酸配列を
      データベースに登録しています

      76
      00:06:28,655 --> 00:06:31,791
      だから 何というタンパク質か
      わからないけれど

      77
      00:06:31,791 --> 00:06:35,228
      とにかく コイの細胞の中に
      そういうタンパク質があって

      78
      00:06:35,228 --> 00:06:39,999
      発現していることが
      仮定できますという意味です

      79
      00:06:39,999 --> 00:06:44,4
      タンパク質の名前までは
      はっきり示さないで

      80
      00:06:44,4 --> 00:06:46,906
      配列がたくさん登録されています

      81
      00:06:46,906 --> 00:06:51,378
      そして アクセッションIDは
      与えられている

      82
      00:06:51,378 --> 00:06:55,15
      というようなことが あります

      83
      00:06:55,15 --> 00:06:56,516
      こういうとき どうするのか

      84
      00:06:56,516 --> 00:06:59,52
      この場合は 一番上に
      名前がついている(タンパク質)が ありましたし

      85
      00:06:59,52 --> 00:07:02,355
      それが一番高いスコアを
      与えたので 問題ありませんでした

      86
      00:07:02,355 --> 00:07:04,190
      (タンパク質の名前がない)とき
      どうするかというのは

      87
      00:07:04,190 --> 00:07:07,594
      この青いリンクをクリックしたときに

      88
      00:07:07,594 --> 00:07:20,273
      上の方に
      NCBI BLAST search of KTF93928.1

      89
      00:07:20,273 --> 00:07:28,214
      これは仮定的タンパク質についた
      アクセッションIDです

      90
      00:07:28,214 --> 00:07:30,550
      そういう表記が得られます

      91
      00:07:30,550 --> 00:07:33,586
      仮定的タンパク質のアクセッションIDを
      クリックして

      92
      00:07:33,586 --> 00:07:37,991
      下にあるのが仮定的タンパク質の
      アミノ酸配列です

      93
      00:07:37,991 --> 00:07:41,227
      それが 既に入力された形で

      94
      00:07:41,227 --> 00:07:43,763
      BLASTというページの

      95
      00:07:43,763 --> 00:07:47,567
      ここに アクセッションID
      またはアミノ酸配列を入力

      96
      00:07:47,567 --> 00:07:50,303
      というのが済んだ状態で
      表示されます


    • 用語集 Adenylate kinase(アデニレートキナーゼ):アデニル酸キナーゼ、ADPの再利用に作用する酵素
      BLAST(ブラスト):Basic Local Alignment Search Tool、相同性検索を行うプログラム
      pI(ピーアイ):等電点
      陰イオン交換クロマトグラフィー:タンパク質を電荷の違いによって分離する手法
      カルボキシル基:COOH基、カルボン酸の官能基
      担体(たんたい):他の物質を固定する土台となる物質
      等電点(とうでんてん):電荷が0になるときのpH
      グルタミン酸:アミノ酸の1種
      リジン:アミノ酸の1種

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:10,643
      一番下に「BLAST」というのが出ていますので
      それをクリックします

      2
      00:00:10,643 --> 00:00:14,781
      途中で 設定するところありますけれども
      設定しなくてもいいです

      3
      00:00:14,781 --> 00:00:16,916
      これは何をしているかというと

      4
      00:00:16,916 --> 00:00:20,954
      入力したアミノ酸配列と
      似たアミノ酸配列が

      5
      00:00:20,954 --> 00:00:25,725
      データベースの中に
      どれくらいあるかを 検索しています

      6
      00:00:25,725 --> 00:00:31,131
      ただそのデータベースというのは
      コイや魚に限定したものではなく

      7
      00:00:31,131 --> 00:00:35,635
      あらゆる生物
      あらゆるアミノ酸配列

      8
      00:00:35,635 --> 00:00:40,607
      微生物も植物もヒトも

      9
      00:00:40,607 --> 00:00:45,11
      全て含まれる
      データベースの中から検索しています

      10
      00:00:45,11 --> 00:00:47,580
      そういうものの中には

      11
      00:00:47,580 --> 00:00:52,819
      もう既に この配列は
      何のタンパク質か

      12
      00:00:52,819 --> 00:00:56,256
      名前がはっきり 確定しているものが
      たくさんあります

      13
      00:00:56,256 --> 00:00:59,25
      しばらく待っていると
      (次の)画面が表示されます

      14
      00:00:59,25 --> 00:01:04,597
      下の方に
      リストがあります

      15
      00:01:04,597 --> 00:01:06,666
      (リストを)拡大してみると

      16
      00:01:06,666 --> 00:01:11,671
      一番上は
      ヒットしたタンパク質です

      17
      00:01:11,671 --> 00:01:16,176
      Mascot searchでヒットした
      仮定的タンパク質です

      18
      00:01:16,176 --> 00:01:19,979
      名前がついていない タンパク質が
      一番上に出てきます

      19
      00:01:19,979 --> 00:01:24,784
      ヒットしたタンパク質も 含まれている
      データベースなので当たり前です

      20
      00:01:24,784 --> 00:01:28,888
      右の方に Identと
      書いてある列が あります

      21
      00:01:28,888 --> 00:01:31,624
      これは配列の同一率です

      22
      00:01:31,624 --> 00:01:35,528
      100%というのは
      完全に配列が一致しています

      23
      00:01:35,528 --> 00:01:41,468
      (同一率)が高い順番に
      並んでいます

      24
      00:01:41,468 --> 00:01:44,270
      2つ目から下を見ていくと

      25
      00:01:44,270 --> 00:01:47,707
      軒並み Adenylate kinase
      ばかりに なっています

      26
      00:01:47,707 --> 00:01:53,179
      というのを 確認することで
      ヒットしたのが hypothetical protein でも

      27
      00:01:53,179 --> 00:01:56,516
      これは Adenylate kinase
      ということがわかります

      28
      00:01:56,516 --> 00:01:58,752
      Adenylate kinase
      だということは

      29
      00:01:58,752 --> 00:02:05,125
      最初の Mascot search の
      段階で

      30
      00:02:05,125 --> 00:02:06,92
      わかっていたけれども

      31
      00:02:06,92 --> 00:02:11,898
      BLAST検索を行って
      確認するのがよいと思います

      32
      00:02:11,898 --> 00:02:15,869
      リストのリンクをクリックして

      33
      00:02:15,869 --> 00:02:24,144
      上の方に分子量と等電点を
      計算したものが 表示されます

      34
      00:02:24,144 --> 00:02:28,381
      この場合だと 21475

      35
      00:02:28,381 --> 00:02:32,352
      細かな分子量の数字が
      表示されています

      36
      00:02:32,352 --> 00:02:41,127
      これは データベースでヒットした アミノ酸配列から
      計算で 求めた分子量です

      37
      00:02:41,127 --> 00:02:44,664
      SDS-PAGE で求めた
      分子量もありますね

      38
      00:02:44,664 --> 00:02:55,108
      SDS-PAGE の分子量マーカーの移動度と
      分子量の対数値の関係をグラフにしました

      39
      00:02:56,576 --> 00:03:00,580
      そして そのグラフ 検量線から

      40
      00:03:00,580 --> 00:03:08,521
      PMFで試料とした タンパク質の
      分子量を求めることを 課題としています

      41
      00:03:08,521 --> 00:03:14,627
      求めた分子量と
      ヒットしたタンパク質のアミノ酸配列から

      42
      00:03:14,627 --> 00:03:20,233
      計算された分子量が
      どのくらい一致しているか

      43
      00:03:20,233 --> 00:03:22,535
      一致していないとすれば
      それはどうしてなのか

      44
      00:03:22,535 --> 00:03:24,871
      ということを
      考察してください

      45
      00:03:24,871 --> 00:03:28,842
      等電点 Calculated pI value
      というのがあります

      46
      00:03:28,842 --> 00:03:32,412
      pI というのは等電点です

      47
      00:03:32,412 --> 00:03:39,719
      等電点というのは
      タンパク質のみかけの荷電状態が0になる

      48
      00:03:39,719 --> 00:03:44,624
      ±0になる pHになります

      49
      00:03:44,624 --> 00:03:49,996
      等電点が7より小さいタンパク質は
      酸性タンパク質です

      50
      00:03:49,996 --> 00:03:53,33
      酸性アミノ酸が相対的に多いです

      51
      00:03:53,66 --> 00:03:58,4
      等電点が7より大きいタンパク質は
      塩基性タンパク質です

      52
      00:03:58,4 --> 00:04:03,476
      酸性アミノ酸が塩基性アミノ酸よりも
      相対的に少ないというもので

      53
      00:04:03,476 --> 00:04:09,482
      これも全部計算で
      配列から求められます

      54
      00:04:09,482 --> 00:04:13,186
      リジンが何個あるか
      グルタミン酸が何個あるか

      55
      00:04:13,186 --> 00:04:19,125
      カルボキシル基が合計何個あるから
      計算で等電点がいくつになるか 求められます

      56
      00:04:19,125 --> 00:04:23,29
      このようにして ヒットしたタンパク質について

      57
      00:04:23,29 --> 00:04:26,900
      計算で求めた等電点があります

      58
      00:04:26,900 --> 00:04:31,404
      等電点が6.64となっています

      59
      00:04:31,404 --> 00:04:39,512
      6.64で7よりも小さいということは
      弱い酸性のタンパク質です

      60
      00:04:39,512 --> 00:04:44,984
      なので それを
      陰イオン交換クロマトグラフィーにかけたら

      61
      00:04:44,984 --> 00:04:53,159
      弱い酸性ですから
      弱く担体と結合していたことが推測されます

      62
      00:04:53,159 --> 00:04:57,330
      実際どうだったかというのを
      考察してください

      63
      00:04:57,330 --> 00:05:03,370
      等電点がすごく小さい
      (例えば)4などに計算される場合は

      64
      00:05:03,370 --> 00:05:07,474
      これよりももっと強く担体と
      結合するので

      65
      00:05:07,474 --> 00:05:09,642
      遅れて出てきます

      66
      00:05:09,642 --> 00:05:12,979
      逆に等電点が7よりも
      大きかった場合

      67
      00:05:12,979 --> 00:05:17,684
      塩基性のタンパク質ですから
      担体には結合しないで 素通りして出てきます

      68
      00:05:17,684 --> 00:05:21,654
      最初の方のピークに
      見られたはず ということになります

      69
      00:05:21,654 --> 00:05:27,193
      それも 矛盾がないかどうか
      検討して

      70
      00:05:27,193 --> 00:05:31,297
      矛盾があるとしたらそれは
      どうしてなのか ということを考察してください


    • 用語集 BLAST(ブラスト):Basic Local Alignment Search Tool、相同性検索を行うプログラム
      NCBIデータベース(エヌシービーアイでーたべーす):National Center for Biotechnology Information、米国国立バイオテクノロジー情報センターが運用するデータベース

      字幕 1
      00:00:05,605 --> 00:00:10,744
      NCBI database というのは
      BLAST ではありません

      2
      00:00:10,744 --> 00:00:14,481
      (Mascot server) で取得した
      アクセッションIDを使います

      3
      00:00:14,481 --> 00:00:21,788
      上の方のAll Databases と
      書いてあるところを Proteinにします

      4
      00:00:21,788 --> 00:00:28,128
      そして アクセッションIDを入力します

      5
      00:00:28,128 --> 00:00:30,697
      Search をクリックすると

      6
      00:00:30,697 --> 00:00:36,936
      そのアクセッションIDに登録されている
      中身の詳細が表示されます

      7
      00:00:38,304 --> 00:00:44,110
      下の方に アミノ酸配列も
      一文字略号で示されています

      8
      00:00:44,110 --> 00:00:47,714
      そのタンパク質についての
      詳細な情報です

      9
      00:00:47,714 --> 00:00:52,519
      何という生き物から
      得られたのかなどが 書かれています

      10
      00:00:52,519 --> 00:00:59,959
      例えば この例だったら
      organism のところに

      11
      00:00:59,959 --> 00:01:03,229
      どういう生物なのか
      学名が書いてあります

      12
      00:01:03,229 --> 00:01:04,931
      Cyprinus carpio

      13
      00:01:04,931 --> 00:01:06,966
      これは コイの学名になります

      14
      00:01:06,966 --> 00:01:09,636
      それから female なので
      メスです

      15
      00:01:09,636 --> 00:01:18,211
      メスの個体から得られた
      アミノ酸配列を示しています

      16
      00:01:18,278 --> 00:01:21,348
      材料は何かというと
      blood 血です

      17
      00:01:21,348 --> 00:01:23,683
      血からこの配列を得ました

      18
      00:01:23,683 --> 00:01:28,288
      それから developmental stage は
      Adult 成体から得たものです

      19
      00:01:28,288 --> 00:01:33,760
      それから 誰がこのデータを
      登録したのかという 人の名前です

      20
      00:01:33,760 --> 00:01:38,965
      どういう論文に載っているのか
      という情報がここに載っています

      21
      00:01:38,965 --> 00:01:46,306
      ここにタンパク質の名前が
      書いてある場合もあります

      22
      00:01:46,306 --> 00:01:51,745
      (表にタンパク質名などの
      情報を記入していきます)

      23
      00:01:51,745 --> 00:01:56,750
      (完成した表)