用語集
ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
ATPase(エーティーピーアーゼ):ATPを分解する酵素
M(モーラー):mol/L
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
吸光度(きゅうこうど):溶液に吸収される光の量
パラフィルム:プラスチックパラフィンフィルム
反応混液(はんのうこんえき):混合物の溶液
ブランク:評価する対象を抜いた試料
分光光度計(ぶんこうこうどけい):溶液の吸収スペクトルを測定し定量分析を行う機器
リン酸:リンのオキソ酸の1種
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:14,247
今回は アクトミオシンの
Mg-ATPase活性の測定を行います
2
00:00:14,247 --> 00:00:19,252
これは アクトミオシンの状態が
きちんとしているかどうか
3
00:00:19,252 --> 00:00:25,225
ちゃんと活性を保っているかどうか
失活していないかどうかの指標になります
4
00:00:25,392
--> 00:00:30,230
この測定は条件を変えて行うのですが
5
00:00:30,230 --> 00:00:36,269
これは 生体内で筋肉が
収縮したり 弛緩したりする
6
00:00:36,302 --> 00:00:42,876
神経による制御と関連があります
7
00:00:42,876 --> 00:00:46,746
(アクトミオシンによって)
1分子のATPは
8
00:00:46,746
--> 00:00:57,257
1分子のADPとリン酸に
加水分解されます
9
00:00:57,257 --> 00:01:04,664
アクトミオシン溶液に
ATPを加えて
10
00:01:04,664 --> 00:01:12,739
その溶液の中のATPの濃度が
時間とともにどのように下がっていくか
11
00:01:12,739 --> 00:01:18,545
それを測定できれば
ATPase活性が算出できるのですが
12
00:01:18,545
--> 00:01:25,618
ATPの濃度を測定するというのは
割と難しいので
13
00:01:25,618 --> 00:01:29,456
一番簡単で
やりやすい方法は
14
00:01:29,456 --> 00:01:35,161
1分子のATPから1分子のリン酸が出ますので
リン酸を見ます
15
00:01:35,161 --> 00:01:42,669
反応液の中で
時間とともに
リン酸の濃度が どのように上昇していくのか
16
00:01:42,669 --> 00:01:51,77
追跡することで ATPがどれだけ分解されているのか
見極めるという方法が一般的です
17
00:01:51,77 --> 00:01:55,382
アクトミオシンの溶液は
氷冷した試験管に希釈します
18
00:01:55,382 --> 00:02:04,257
ビウレット法で求めたタンパク質濃度に基づいて
(緩衝液を入れる量を)
計算してください
19
00:02:04,257 --> 00:02:14,267
きれいな試験管に
0.75mg/ml のアクトミオシン溶液1ml を調合します
20
00:02:14,267 --> 00:02:23,410
どのように混ぜたらよいか計算して
氷で冷やした試験管の中に
21
00:02:23,410 --> 00:02:28,948
0.75mg/ml のアクトミオシン
1ml を
作ってください
22
00:02:30,650 --> 00:02:37,524
次に 調合した反応混液
(+Ca 4.3ml と -Ca 4.3ml) を使用します
23
00:02:37,524 --> 00:02:44,531
(そしてそれぞれに)
0.75mg/ml に希釈したアクトミオシンを
24
00:02:44,531 --> 00:02:51,504
0.2ml
(200μl) ずつ
マイクロピペットで (反応混液に)加えます
25
00:02:51,504 --> 00:02:54,808
すると 体積が4.5ml になります
26
00:02:54,808 --> 00:03:04,184
加えたら アクトミオシンが均一になるように
泡を立てないようにしっかり混ぜてください
27
00:03:04,184 --> 00:03:10,790
恒温水槽(25℃)
の所に
2本の試験管を同時に入れます
28
00:03:10,790 --> 00:03:17,697
25℃ というのは 反応させる温度で
ATPを分解させる温度です
29
00:03:17,697 --> 00:03:23,336
後で そこにATP溶液を加えて
反応を起こさせるので
30
00:03:23,336 --> 00:03:35,115
ATPの溶液も25℃ の恒温水槽の中に入れて
温めておきます
31
00:03:35,115
--> 00:03:45,458
5分間 置いて アクトミオシンの +Caと -Caの溶液と
ATPの溶液を25℃ に温めます
32
00:03:45,458 --> 00:03:54,534
25℃ になったATPを マイクロピペットで
0.5ml(500μl)取って
33
00:03:54,534 --> 00:03:59,739
+Caの方の試験管に吹き込みます
34
00:03:59,739
--> 00:04:05,812
入れたらその瞬間に
もう1人がストップウォッチを押します
35
00:04:05,812 --> 00:04:12,385
ストップウォッチを押すと同時に
ATPを入れた人は試験管を振ります
36
00:04:12,385 --> 00:04:19,659
泡立てないように 強めに振ります
振ったらすぐ 25℃ の水槽に戻します
37
00:04:19,659
--> 00:04:28,168
次に 1分になる時点で
-Caの方に 同じようにATPを入れます
38
00:04:28,168 --> 00:04:40,580
時計が1分を示す瞬間に吹き込んで混ぜたら
恒温水槽の中に試験管を入れます
39
00:04:40,580 --> 00:04:43,283
次に 2分でする操作に移ります
40
00:04:43,283 --> 00:04:52,692
2分以降は
ATPを加えた+Ca、-Caの
反応している液から
41
00:04:52,692 --> 00:04:56,196
反応停止液に取るという操作になります
42
00:04:56,896 --> 00:05:09,743
2分になる前に チップを付けて準備して
+Caの溶液から1000μl 吸引します
43
00:05:09,743 --> 00:05:19,753
そして2分になる瞬間に
+Ca2分とラベリングしてある試験管に吹き込みます
44
00:05:19,753 --> 00:05:24,524
吹き込んだら
変性させて反応を止めますので
45
00:05:24,524 --> 00:05:29,696
激しく 泡立てないように振ります
そしてまた 氷冷します
46
00:05:31,498 --> 00:05:40,173
3分になるときに -Caも
同じ手順で行います
47
00:05:40,173 --> 00:05:47,747
同じく 4分になるときに +Caを
5分になるときに -Ca を操作します
48
00:05:47,747 --> 00:05:57,190
そうすると +Caも-Caも25℃ で
ATPとともにインキュベートして
49
00:05:57,190 --> 00:06:04,397
その後 2分で反応を止めたもの
4分で反応を止めたものという
50
00:06:04,397
--> 00:06:07,834
4本の試験管が氷の上にできることとなります
51
00:06:07,934 --> 00:06:17,944
次に そこにクエン酸を入れます
1M のクエン酸を全ての試験管に 500μl ずつ入れます
52
00:06:17,944 --> 00:06:20,380
入れる順番やタイミングはどうでもいいです
53
00:06:20,380 --> 00:06:23,216
入れたら激しく混ぜて
また氷冷します
54
00:06:23,216
--> 00:06:32,125
次に試験管に水などが入らないように
試験管の口にパラフィルムでシールします
55
00:06:32,158 --> 00:06:39,599
そして今度は
一番右側の恒温水槽(30℃)を予約します
56
00:06:39,599 --> 00:06:49,175
各班に4本ある
反応が止まり クエン酸を加えた試験管ですが
57
00:06:49,175
--> 00:06:55,815
入れる直前に
もう一度よく振ってください
58
00:06:55,815 --> 00:07:02,222
すると (20分後)リン酸の濃度に応じて
緑色に発色してきます
59
00:07:02,222 --> 00:07:07,27
黄色が リン酸の濃度に応じて
緑色に変化します
60
00:07:07,27 --> 00:07:15,969
その緑色の濃さを
630nm の吸光度を
測定することによって 求めます
61
00:07:15,969 --> 00:07:22,842
30℃ で20分インキュベートした後
分光光度計ですぐ吸光度を測った方がいいです
62
00:07:22,842 --> 00:07:25,945
吸光度は4つ測ります
63
00:07:25,945 --> 00:07:30,350
今日の吸光度測定では
ブランクは
グラフを作って求めます
64
00:07:30,350 --> 00:07:47,867
その方法は 吸光度(縦軸)と反応時間(横軸)の
グラフを作成し y切片の値をブランクとします
65
00:07:47,867 --> 00:07:51,571
時間とともに吸光度が増えていくはずです
66
00:07:51,571 --> 00:07:55,475
この2点を直線で結びます
67
00:07:55,475
--> 00:07:59,546
y切片 これがブランクです
68
00:08:01,81 --> 00:08:19,232
1つのグラフに
+Caと -Caの2つを記入します
69
00:08:19,232 --> 00:08:27,440
カルシウムのあるときと ないときで
アクトミオシンのATP分解に 差が出ます
70
00:08:27,440 --> 00:08:30,977
その後
これを計算して
71
00:08:30,977 --> 00:08:37,417
時間あたり アクトミオシンの単位重量あたり
ATPが何mol 分解されたか
72
00:08:37,417 --> 00:08:39,686
それを求めるのですが
73
00:08:39,686 --> 00:08:50,830
そのプロセスについては 明日公開しますので
各自でその計算をしてください
74
00:08:50,830
--> 00:08:53,299
するのが課題の1つになります