用語集
CBB(シービービー):Coomassie Brilliant Blue、タンパク質の染色剤の1種
トリプシン:消化酵素の1種
ボルテックスミキサー:攪拌用の実験器具
振盪機(しんとうき):攪拌用の機器
真空乾燥(しんくうかんそう):減圧した状態で乾燥すること
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:08,508
質量分析はとても感度が高いので
2
00:00:08,508 --> 00:00:11,978
汚染にとても影響を受けます
3
00:00:11,978 --> 00:00:13,246
何による汚染かというと
4
00:00:13,246 --> 00:00:15,715
ヒトの手あかによる汚染
5
00:00:15,715 --> 00:00:19,586
手あかは
そこら中にこびりついています
6
00:00:19,586 --> 00:00:25,125
もちろん 人体の皮膚の
表面にもありますし
7
00:00:25,125 --> 00:00:27,961
机の上も
手あかだらけです
8
00:00:27,961 --> 00:00:31,431
手あかは脂質など
いろいろ入っていますけど
9
00:00:31,431 --> 00:00:36,936
タンパク質である
ケラチンも入っていて
10
00:00:36,936 --> 00:00:40,807
それによる試料の汚染が
少しでも起こると
11
00:00:40,807 --> 00:00:46,513
ケラチンをトリプシン消化した
ペプチドが大量に検出されてしまいます
12
00:00:46,513 --> 00:00:47,981
それを防ぐために
13
00:00:47,981 --> 00:00:52,318
今日の全ての工程は
手袋をして行ってください
14
00:00:52,552 --> 00:00:56,623
一瞬でも
(試料を)机の上に落としたりとか
15
00:00:56,623 --> 00:01:01,761
手で触ってしまったりしたら
アウトですから 気をつけてください
16
00:01:01,761 --> 00:01:04,964
具体的な操作の手順ですが
17
00:01:04,964 --> 00:01:10,470
最初に 各班で
どの部分を分析するかを決めてもらいます
18
00:01:10,470 --> 00:01:14,974
アクトミオシンでは AM1からAM9のうち
各班どれか1つ
19
00:01:15,8 --> 00:01:21,948
それから 筋形質画分は
SP1からSP12
20
00:01:21,948 --> 00:01:24,517
その中からどれか1つ
21
00:01:24,517 --> 00:01:26,753
(各班が)1つのタンパク質に
集中しすぎないように
22
00:01:26,753 --> 00:01:29,189
いろいろなタンパク質を
分析してほしいです
23
00:01:29,189 --> 00:01:33,460
(分析する場所を)
決めたら ゲルを取り出します
24
00:01:33,460 --> 00:01:39,466
(キムタオルの上に)
手袋をした手で アルミホイルを広げます
25
00:01:39,466 --> 00:01:45,438
ゲルを壊さないようにつまんで
アルミホイルの上に置きます
26
00:01:45,438 --> 00:01:50,43
分析したいバンドを切り取ります
27
00:01:50,43 --> 00:01:55,248
手袋をした手で (メスの)替え刃を使って
切ってください
28
00:01:55,281 --> 00:02:00,720
バンドの周辺を長方形に切り取ります
29
00:02:00,720 --> 00:02:05,892
ピンセットの先をガスバーナーで焼いたものを
用意していますので
30
00:02:05,892 --> 00:02:08,828
それを使って
バンドを取り出してください
31
00:02:08,828 --> 00:02:16,169
取り出したら
ゲルの外の別のアルミホイルの上に置き
32
00:02:16,169 --> 00:02:21,274
メスで1mm 角くらいに刻んでください
33
00:02:21,274 --> 00:02:30,250
刻んだら 1.5ml の
マイクロテストチューブの中に入れてください
34
00:02:30,250 --> 00:02:35,188
次に CBB(バンドを染色したときに使用した染色液)
を除去する操作をします
35
00:02:35,188 --> 00:02:42,62
「100μl の50% アセトニトリル
25mM NH₄HCO₃ を加え」
36
00:02:42,62 --> 00:02:45,565
「ボルテックスミキサーで10分間振盪する」
37
00:02:45,565 --> 00:02:49,736
ボルテックスミキサーではありませんが
振盪機です
38
00:02:49,736 --> 00:02:55,608
すると 液体の部分に
赤紫色のCBBが溶けだしてきます
39
00:02:55,608 --> 00:03:00,847
それをマイクロピペットで
吸引して捨てる
40
00:03:00,847 --> 00:03:02,782
この作業をもう一度やります
41
00:03:03,183 --> 00:03:09,756
すると ゲルは脱水されて白くなります
42
00:03:09,756 --> 00:03:13,660
そこまで行きましたら 次に
43
00:03:13,660 --> 00:03:16,96
(チューブの)蓋を開けた状態で
44
00:03:16,96 --> 00:03:20,66
開いているところに
パラフィルムをします
45
00:03:20,66 --> 00:03:25,805
そして 針で5カ所ほど
(パラフィルムに)穴を空けます
46
00:03:25,805 --> 00:03:30,643
(真空乾燥器にセットしたら) 15分間
真空ポンプを動かして乾燥します
47
00:03:30,643 --> 00:03:34,714
すると ゲルがパサパサに
乾燥した状態になります
48
00:03:34,714 --> 00:03:43,23
乾いたら取り出して
パラフィルムをはがします
49
00:03:43,23 --> 00:03:50,497
はがしたときに 静電気で
乾燥したゲルが飛び出してくることがあります
50
00:03:50,497 --> 00:03:59,272
なので はがすときには
慎重に行ってください
51
00:03:59,272 --> 00:04:03,76
パラフィルムを取ったら
蓋を閉めます
52
00:04:04,310 --> 00:04:09,49
次に トリプシンの溶液を加えます
53
00:04:09,649 --> 00:04:12,652
それを氷の上に置いておきます
54
00:04:12,652 --> 00:04:14,254
30分静置します
55
00:04:14,254 --> 00:04:19,392
すると ゲルの中にトリプシンがしみ込んで
56
00:04:19,392 --> 00:04:24,864
乾燥していたゲルが
みずみずしい状態になります
57
00:04:24,864 --> 00:04:26,332
(次はチューブに) 蓋をします
58
00:04:26,332 --> 00:04:34,174
蓋をした上から パラフィルムを巻いて
密閉性を高めます
59
00:04:34,174 --> 00:04:37,977
この状態で
37℃のインキュベーターに入れます
60
00:04:38,11 --> 00:04:42,982
すると ゲルの中にある
固定されていたタンパク質に
61
00:04:42,982 --> 00:04:45,85
トリプシンが作用します
62
00:04:45,85 --> 00:04:51,825
タンパク質の中の
リジンとアルギニンのC末端側で切断されて
63
00:04:51,825 --> 00:04:53,560
分子量が小さくなります
64
00:04:53,560 --> 00:04:57,230
リジンやアルギニンは
タンパク質の中にたくさんありますので
65
00:04:57,230 --> 00:05:03,203
色々な種類の
とても小さな断片がたくさんできます
66
00:05:03,203 --> 00:05:07,7
K・R・K・R と
模式図で描かれていますが
67
00:05:07,7 --> 00:05:09,743
それが
リジンとアルギニンを表しています
68
00:05:09,743 --> 00:05:13,13
それにトリプシンを作用させると
69
00:05:13,13 --> 00:05:22,555
分子量が数百から数千程度の
小さなペプチドの混合物になります
70
00:05:22,555 --> 00:05:25,125
このように低分子になると
71
00:05:25,125 --> 00:05:28,561
もう ゲルの中にはとどまらないので
72
00:05:28,561 --> 00:05:31,564
抽出することができるようになります