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     魚の行動の性質は彼らの生息する環境や捕食の形態と密接に関わっています。例えば,ある魚は水の流れを受けるとその流れに向かって泳ごうとしたり,明かりを見つけると寄っていったりします。また,ある魚は動く小さな物体を見つけると餌だと判断して捕食行動を取ろうとします。古の人はこのような魚の行動の性質を経験的な観察を通して知り,その性質をうまく利用して上手に魚を獲る方法を考えてきました。流れに向かう性質を利用したアユのヤナ漁,光に寄る性質を利用したイカ釣り,また,釣りで使われるルアーなどがそうです。

     魚の行動学は,このような魚の行動の性質を調べるとともに,その生息環境や摂餌の生態との関係を明らかにする学問です。特に水産の分野では,こうした知識は魚を獲るための漁具を設計するうえで重要となります。さらに,現代の漁業では資源を守るために獲る必要のない魚や未成熟な小型の魚を逃がして必要な魚だけを獲る選択的な漁業技術が求められており,こうした場面でも魚の行動に関する知見が活かされています。

     そこで,ここでは,魚の行動の性質を支える基本的な機能を知ってもらうとともに,現在の漁業の技術でどのように応用されているかその一端を皆さんに知ってもらいたいと思います。

  • 魚の行動学 × SDGs

  • 光と魚の行動

    漁業での最も多い光の使い道は集魚灯(副漁具)です。集魚灯漁業は魚類が光刺激に対して誘引されたり,定位したりする行動を利用したもので,わが国では古くから多様な形態で利用され,その対象魚種は30種類以上にも及びます。その光源は古くは松明から始まり,その後,石油灯,白熱灯,ハロゲン灯,メタルハライド灯と発光技術の進歩によって形を変えてきました。そして,近年では新たな光源としてLight Emitting Diode(以下LED)が注目を浴びています。LED灯は他の光源と比べて長寿命であるため維持・管理に関わる労力や費用を削減できること,占有容積が小さく小型化が可能であることなどの特徴があります。しかし,その特性はこれまで漁業で用いられていた光源とは大きく異なり,特定波長の光を放射できます。例えば,白熱灯では可視光の長波長成分から赤外線の発光割合が多いのに対して,LED光では青色460~500 nm,緑色500~570 nm,赤色610~780 nmと波長域が狭い特定の光を作ることができ,エネルギー効率が良いのが特徴です。多くの研究者はLED灯のこのような特性と魚類の色に対する嗜好性や光に対する視感度を利用し,消費エネルギーを抑えて魚を効果的に誘導したり,忌避させたり,といった制御ができるのではないかと考えています。

    これまで行われているLED光の利用に関する研究には以下のようなものがあります。

    1.イカ釣り漁業やサンマ棒受け網漁業での利用

     イカ釣り漁業に関しては,青色の視感度が高いイカ類に対して,集魚灯の一部をハロゲン灯から青色LED灯にすることにより燃料費を削減した上で,漁獲量を増加させたという実用試験の結果が報告されています(LED集魚灯による中型イカ釣り漁船の省エネルギー化実証試験. 有限会社旺貴水産, 石川,2010)。また,イカ釣り同様に光を積極的に使うサンマ棒受け網では,LED灯への転換が進められています。

    2.混獲防止への利用

     トロール漁具LED灯と特殊な脱出口を装備したコッドエンドを用いて,光によって脱出口に魚類を導き,マスノスケ(Oncorhynchus tshawytscha)やメバル属(Sebastes)の魚の混獲を減少させた例が報告されています(Larsen et al., Fisheries Research, 2018; Hannah et al., Fisheries Research, 2015; Lomeli et al., Fisheries Research, 2012)。その他,多くの利用研究が行われています。

    漁業以外でも,赤色光にマスノスケやマダイ(Pagrus major)が忌避行動を示すことを利用して,取水施設等における魚類迷入防止技術としても検討されています(Cooke et al., Conservation Physiology, 2018)


  • 行動と概日リズム(サーカディアンリズム)

    生物の生理状態はおよそ24時間の周期を持つことが多く,例えば,哺乳類の体温などもそうであり,温度の変化の周期は一定していてその周期は24時間となります。しかし,その動物を温度を一定にした明暗サイクルのない状況,例えば,恒常的に暗い,恒常的に明るい,といった環境におくと体温変化の位相は遅れだしたり,進みだしたりします。ただし,周期的な体温変化は維持されます。このように,外部環境によらずに,約24時間(人間の場合,25時間に近い)の周期性の生物時計によって生じる内因性のリズムを概日リズム(サーカディアンリズム)と呼びます。

    多くの海洋生物の行動も同様であり,1日の行動の多寡には周期性があります。また,その周期性は概日リズムによる場合が多く,生活環境に光が存在する場合,多くの動物と同様に明暗サイクルが同調因子となっています。なお,恒常的な環境(恒常暗や恒常明)で消失してしまう生物リズムは内因性ではないため,概日リズム(circadian rhythm)ではなく,昼夜リズム(diurnal rhythm)として区別されます。

    漁業では,こうした生物の日周的な行動にともなう水平的な移動や鉛直的な移動を経験的に利用してきました。例えば,トロール網の曳網水深や刺網,延縄,かごなどを設置する場所や水深の決定に対象生物のこうした行動の性質は大きく関わっています。また,摂餌行動の周期もこうした基本的な行動の周期性と連動しており,釣り漁業ではそうした時間帯の見極めが重要となります。


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     海洋資源科学科 SDGS14