実験方法

屋内水槽を用いて,Table 1に示した条件下でのスケトウダラ稚魚(平均全長9cm)の行動を赤外線センサーを用いて計測した。表中のLDは明期(6:00-18:00, 100lx)と暗期(18:00-06:00, 0lx)の明暗条件,LLは恒明条件(100 lx),DDは恒暗条件(0lx)を示している。



以下の3つの図は左からLD:明暗条件,D:暗条件,L:明条件での時刻ごとのセンサーによる3日間のカウント数(活動性指標)を示している。LDでは,明かりの消える18:00から徐々に活動が鈍くなり,明かりが点灯する06:00ごろから活動が活発になる状態がわかる。一方,Dでは初日はリズムらしき変化がうかがえるものの,それ以降は明瞭な変化は消失している。また,Lにおいても日周的な活動の変化は見られない。内因性リズムが強い場合,恒常的条件下においても特定の活動周期が維持されたまま時刻に対する位相が徐々に移動(Free run)していくことが多いが,これらの結果ではその傾向は見られなかった。



以上の結果から,スケトウダラ稚魚の場合,光が活動の同調因子として働いているものの,内因性リズムは活動周期にあまり関与していないものと考えられる。

藤森康澄・塩出大輔・馬場紀彦・清水晋・三浦汀介,スケトウダラ稚魚の時刻と照度による行動,日本水産学会誌,65(1), 26-32 (1999)より抜粋

最終更新日時: 2022年 02月 16日(水曜日) 17:37