Topic outline

  • General

     魚の行動の性質は彼らの生息する環境や捕食の形態と密接に関わっています。例えば,ある魚は水の流れを受けるとその流れに向かって泳ごうとしたり,明かりを見つけると寄っていったりします。また,ある魚は動く小さな物体を見つけると餌だと判断して捕食行動を取ろうとします。古の人はこのような魚の行動の性質を経験的な観察を通して知り,その性質をうまく利用して上手に魚を獲る方法を考えてきました。流れに向かう性質を利用したアユのヤナ漁,光に寄る性質を利用したイカ釣り,また,釣りで使われるルアーなどがそうです。

     魚の行動学は,このような魚の行動の性質を調べるとともに,その生息環境や摂餌の生態との関係を明らかにする学問です。特に水産の分野では,こうした知識は魚を獲るための漁具を設計するうえで重要となります。さらに,現代の漁業では資源を守るために獲る必要のない魚や未成熟な小型の魚を逃がして必要な魚だけを獲る選択的な漁業技術が求められており,こうした場面でも魚の行動に関する知見が活かされています。

     そこで,ここでは,魚の行動の性質を支える基本的な機能を知ってもらうとともに,現在の漁業の技術でどのように応用されているかその一端を皆さんに知ってもらいたいと思います。