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    低利用資源・紅藻から新たなオリゴ糖調製法の開発

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    • 海洋応用生命科学部門・水産資源開発工学分野・岸村・熊谷研究室の紹介です

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    低利用資源・紅藻から新たなオリゴ糖調整法の開発 × SDGs

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      　北海道産の低利用紅藻ダルスにキシランという多糖が豊富に含まれること、それが陸上植物由来のキシランと異なる構造を持つことが分かりました。また、ダルスのキシランを酵素分解して調製したダルスに特異なキシロオリゴ糖が、ビフィズス菌に対する選択的増殖促進作用を示すことを見出しました。このような研究通して、人々を健康にする機能性食品素材の開発に貢献したいと考えています。

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    概要

       

    • ダルスは函館市の特産物であるマコンブの養殖ロープに繁茂する紅藻であり、そのほとんどは利用されていません。一方、ダルスは珍しい構造の多糖を有することが知られています。そこで、ダルスから特徴的な構造を持つオリゴ糖を調製する方法を開発しました。

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    紅藻ダルスの特徴


    • ダルスの利用


      ダルスは冷たい海域に繁茂する紅藻です。海外では食経験

      のある海藻ですが、日本国内ではほとんどの資源が未利用

      でした。特に函館の特産物である昆布の養殖ロープに繁茂

      するため、大量に生じるダルスの活用に困っていました。













      ダルスの栄養素


      ダルスは海苔など他の紅藻と同様にタンパク質を多く含み、その量はダイズに匹敵します。

      加えて、炭水化物の中でも特に食物繊維を多く含みます。ダルスに含まれる食物繊維は細胞壁のキシランです。このキシランはキシロースの多糖ですが、陸上植物が持つキシランとは異なる珍しい構造を有しています。


    • 食物繊維 ページ
    • キシラン ページ
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    構造の異なるキシロオリゴ糖の機能性


    • [Open Access] Maeda et al., 2012, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry URL
    • 構造の六角形 ページ

    • キシラン (多糖)

      多糖のキシランはセルロースの次に多く存在する植物細胞壁構成多糖です。陸上植物の多くのキシランの主鎖は、キシロースがβ-(1→4)結合した構造を有しています。このキシランを酵素分解して得られるオリゴ糖はプレバイオティクス効果があります。一方で、一部の緑藻などが持つβ-(1→3)-キシランから得られるオリゴ糖は、ガン細胞のアポトーシス誘導作用があります。


      ダルスのキシラン (多糖)

      ダルスのキシランは図にもあるように、主鎖にβ-(1→3)結合とβ-(1→4)結合を併せ持っています。そこから得られるオリゴ糖は、従来のキシロオリゴ糖とは異なる構造を有しており、ユニークな健康機能があると考えられます。


      研究の目的

      本研究では、未利用水産資源であるダルスのキシラン・キシロオリゴ糖の健康機能を探す前段階として、ダルスからキシロオリゴ糖を調製する方法を開発しました。

    • オリゴ糖 ページ
    • β-(1→4)-キシラン ページ
    • プレバイオティクス ページ
    • アポトーシス ページ
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    ダルスからキシランの抽出、オリゴ糖の調製および構造解析


    • ダルスキシランの抽出・キシロオリゴ糖の調製

      ダルスからキシランを抽出しました。函館市内で採取したダルスを凍結乾燥および粉砕して粉末を得ました。尿素や有機溶媒により脂質とタンパク質を除去しました。それにより粗キシランが得られました。さらにそれらを市販の酵素を用いて加水分解してオリゴ糖を調製しました。


      キシロオリゴ糖の解析

      酵素分解物は活性炭カラムクロマトグラフィーで各成分に分けました。それを各種機器を用いて詳細に解析しました。HPLCでは加水分解物中の生成物の組成を、GC-MSでは分子量を、NMRで糖の結合様式を解析しました。これらの解析によって、ダルスに特有の構造を持つキシロオリゴ糖が生成されているか確認しました。

    • HPLC ページ
    • NMR ページ
    • GC-MS ページ
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    ダルス・オリゴ糖の構造


    •                                              1：キシロース（単糖）                                                         　　　　     非還元末端側: β-(1→3)結合、

                                                   2： β-(1→4)-キシロビオース（二糖）                     　　　　　　　　    還元末端側: β-(1→4)結合の

                                                   3： β-(1→4)-キシロトリオース（三糖）                    　　　　　　　　  キシロトリオースと判明！


      キシラン分解物の解析結果

      HPLCの解析によってダルスキシランの酵素分解物中には、正体不明のピークが検出されました。

      このピークの物質をGC-MS，NMRによって解析したところ、ダルスのキシランの構造に特徴的である

      β-(1→3)/β-(1→4)-キシロトリオースだということがわかりました。

    • Yamamoto et al., 2019, Process Biochemistry URL
    • 還元末端 ページ
    • キシロトリオース ページ
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    今後の展開

      • ダルスキシランの有機溶媒を用いない簡易的な抽出方法

      • ダルス由来キシロオリゴ糖の効率的調製方法

      • 善玉菌への機能性評価


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    関連研究

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    その他

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    【関連するまとめコース】

    資源機能化学科 SDGｓ3 SDGS12