「第二研究室」の平面図を図7 に示します。三つの研究室の中でも最も広い「第二研究室」は海水、生物、堆積物といった水気を含んだ試料を扱うための実験室です。第一研究室のように水気を持ち込まない実験室を「ドライラボ」というのに対し、第二研究室のような実験室を「ウェットラボ」と呼んでいます。床面は防水加工されており、汚れや海水に含まれる塩分を水で洗い流せるよう排水溝も設けられています。いくつかの実験台のほか、シンク、冷凍冷蔵庫、ドラフトチャンバー(有害な気体が発生する作業を行うための排気機能付き実験台)、超純水製造装置など、調査に必要な基本的な設備が常設されています。その一方で、乗船者が持ち込んだ資機材を自由にアレンジして実験等ができるように実験台の上は何も常設されていない状態にしてあります。実験台や天井、壁面にはボルト穴が開いており、資機材を固縛するための金具を自由に着脱できます(図8)。このボルト穴の配置寸法はすべての実験台で共通しています。あらかじめこの寸法に合わせた穴を持つ分析機などを用意すれば、簡単に本船の実験台に固縛することができます(JAMSTEC白鳳丸の寸法とも共通)。また、実験台の天板には木製の合板が使用されているので、木ネジを直接打ち込んで機材を固定することもできます。さらに、実験台は床面から着脱可能なため、実験台を撤去して大型の実験機材を搬入・設置することも可能であり、研究室全体を航海の目的に合わせてアレンジすることができます。
シンクには清水蛇口だけでなく、船底からくみ上げられた研究用の海水を供給する蛇口が備わっています。シンクのすぐ脇に設置された表層海水モニタリングシステムは、船底から汲み上げられた表層海水の特性(水温・塩分・濁度・クロロフィルa濃度)を航海中の全航程において連続的に計測しています。