ニスキン採水器
トピックアウトライン
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                            蓋を開けた状態の採水器をワイヤロープに取り付け、目的の深度まで下ろしてから蓋を閉めて採水します(図3)。 図3 ワイヤロープに固定されたニスキン採水器 
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                            CTD採水システムは有線式のCTDと採水装置、採水器を組み合わせたもので、CTDの計測値をリアルタイムに収録・監視しながら希望する深度において正確に採水ができます。 採水装置には複数のトリガーが放射状に配置されており、採水器は採水装置を取り囲むように並べられます(その姿からロゼット式採水装置とも呼ばれます)。一回の観測で採水器と同じ数の異なる深度から採水することもできますし、同じ深度で複数の採水器の蓋を閉じれば、同じ層からより多くの海水試料を採取できます。図10 CTD採水システムの構成と採水装置のトリガー機構 図11 海中に投入されるCTD採水システム(12L ニスキンX採水器 12本掛け) CTD採水システムには、装備できる採水器の数により12掛け、24本掛け、36本掛けといった種類があります。採水器の数が多いほど採水できる層や海水の量を増やすことができますが、船舶の備えるクレーンやウィンチといった観測設備の能力によってその数は制限されます。 
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                            ニスキン採水器は採水筒の内部に金属製のバネあるいはゴムチューブが配置された構造です。この構造であると海水試料がバネあるいはチューブと接触してしまい、海水の分析値に影響を及ぼす成分が海水試料へ溶出してしまう可能性があります。そうした海水試料の汚染を解消するために考案されたのが「外バネ式ニスキン採水器(External Spring Niskin Bottle)」、通称「ニスキンX採水器」と呼ばれています。ニスキンX採水器の上下の蓋は採水筒の外側に配置された2本のバネとナイロンテグスとで接続され、蓋にはナイロンテグスを通すためのアーム状のガイドが付属しています(図13)。この構造を持つことによって採水器の筒の中で海水試料と接触するバネあるいはチューブは無くなりました。 図13 ニスキンX採水器の構造 
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                            ニスキン採水器はワイヤロープなどに取り付けて単独で、あるいはCTD採水システムに組み込んで使用されます。採水筒に回転台が付属したタイプのものであれば、転倒温度計※を使用して採水時の深度と水温を計測することができます(図14)。 図14 ニスキン採水器における転倒温度計の動作 a)温度計枠を回転させて逆さにし、ナイロンテグスで固定します。 b)採水トリガーが作動するとナイロンテグスが外れ、ゴムチューブの弾性力によって回転台と共に温度計枠が180度回転します。 ※ 転倒温度計 転倒させると切断点で水銀球部と水銀柱とが切断され、転倒時の水銀柱の長さが保存される特殊なガラス水銀温度計。水圧を受けない「防圧式」と水圧を受ける「被圧式」の指示値を比較することによって、転倒時の水深(正確には水圧)を割り出すことができます。 図15 転倒温度計 
