섹션 개요

  •    

    • 2  14  SDGs top

       日本では、サケの母川回帰性を利用してふ化放流事業を展開し、高い生産性を持つ水産資源として得ています。私たちはこの事業をより強靭に持続可能な食料生産システムとするために、生態系への配慮や気候変動にも適応できるものに高度化することを目指しています。サケ・マスの魚類分類を学ぶことで生物多様性についても興味を持ってもらいます。本授業にて、これらの学問の基礎を学んでもらい、将来SDGs(飢餓をゼロに、海を豊かに)に貢献する人材を育てたいと考えています。

       国連では2021年からの10年間を、「海洋科学の10年」に定めて、SDGsに貢献することを目指しています。国連が定める海洋科学には、水産漁業の分野も含まれます。


    • 北海道大学大学院水産科学研究院 今村 央

      サケ・マス類とは、サケ科サケ亜科魚類の相称で、日本からは約15種が知られています。分類学的には「さけ」と呼ばれる魚と「ます」と呼ばれる魚を明瞭に分けることはできません。正真正銘のサケ(シロザケ)はいますが、マスはいません。この講義では分類学の観点から、主に日本産のサケ・マスの仲間を紹介するとともに、その系統進化を解説します。




    • 北海道大学大学院水産科学研究院 清水 宗敬

      サケ類の多くは、淡水で生まれて一定期間河川で過ごした後に海へ下ります(降海、こうかい)。しかし、種によって降海特性(年齢や期間など)が異なります。また同じ種でも、河川環境により海に下る個体と河川に残る個体に分かれる場合があります。一方、遺伝的な要素も重要です。すなわち、サケ類の降海は遺伝要因と環境要因の相互作用により左右されます。本講義では、サケが海に下るという一見単純そうに見える現象を、さまざまな観点から解説していきます。具体的には、なぜ海に下るのか、どのように淡水から海水に適応するのか、海に下るのはどの程度遺伝的なのか、などの話題を取り扱います。


    • 北海道大学大学院水産科学研究院 宮下 和士

      近年、生物の行動を知るための技術としてバイオロギングが注目されています。このバイオロギングとは、対象となる生物に記録計を持たせて遊泳深度や水温など様々なデータを取得する技術のことを指し、それらの泳ぎ方や餌の食べ方、移動の仕方などを調べることが出来る優れた技術の一つとして広く認知されつつあります。サケ科魚類についてもまた、バイオロギングを活用した研究が国内外で実施されるようになり、これまで難しかった彼らの野生下での行動把握も進んできました。本講義では、このバイオロギングを用いたサケ科魚類の調査・研究について、特に私が関わって実施してきたものを中心に紹介したいと思っています。

    • 北海道大学大学院水産科学研究院 工藤 秀明

      川で生まれて大海原で成長したサケは子孫を残すために再び生まれた川に帰ってくるという「母川回帰」を行います。この生命現象は生物学的に興味深いだけではなく、この特性を活かして漁業・増殖事業が展開されています。本講義では、サケの回遊を主に生理学的観点から概説するとともに、母川回帰の最終段階で行われる母川識別に強く関わる「嗅覚刷込」に関する現在展開中の研究についてお話します。


    • 北海道大学大学院水産科学研究院 山村 織生

      サケ属8魚種は北太平洋を舞台に種分化し、亜寒帯海域の「覇者」として君臨してきました。もともと河川で生活史を完結していたサケ類の祖先はなぜ海洋を利用するようになったのでしょう?その答への鍵は、寒冷な気候のもとでの両生息場所の生産性の違いにあります。本講では、サケ属魚類が海洋の生産力をどのように利用し、生態系の構成員としてどのような地位(ニッチ)を占めているのか、そして気候変動の影響をどのように受けているかを概説します。




    • 画像のご提供:Pacific Salmon Commission



    • 北海道大学大学院水産科学研究院 宮澤 晴彦

      本講義では主に3つの事柄について解説する。第1に、水産物(とりわけ国産シロサケ)の価格形成の仕組みと価格を左右する一般的諸要素について明らかにする。第2に、「サケ」という言葉でくくられる商品の多様性とそれに伴う商品別価格水準の「序列」ともいうべき階層性の存在について示す。そして第3に、1980年代以後、価格序列の下層に落ち込んだ国産シロサケの価格低下要因について、①社会経済情勢の変化、②輸入サケマスの増加に伴う価格序列の変化、③国民の購買力と需要・消費構造の変化といった諸側面から明らかにする。またその上で、東日本大震災以後の状況変化を踏まえ、現段階における国産シロサケ価格維持に関する産地対応の意義と課題について考察する。



    • 北海道大学大学院水産科学研究院 藤本 貴史

      人類の食糧生産の歴史では、よりよい生産を目指して選抜による育種(品種改良)が行われてきた。選抜育種では有用な形質を特化させる方向で行われ、生物は様々な形態や特徴を示すように変化した。一方、遺伝子組換え技術は同種間の交配では得られない形質を導入できるという点で有効な育種技術の一つとして考えられている。本講義では、動植物の育種について概説するとともに、遺伝子組換え食品として動物で初めてFDAによって認可されたサケを代表例として紹介し、遺伝子組換え生物の作製法について説明し、その利用について考える。

    • 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター七飯淡水実験所 山羽 悦郎

      発生工学とは、個体の持つ遺伝子、染色体、ゲノム、核と細胞質、および細胞の構成を人為的に改変し、ある目的に適合した生物を作り出す技術です。これらの技術は、作物の品種の育成や畜産の分野において成果をあげ、魚類でも研究が進められて来ています。ある魚種を発生工学的に改変する場合、その魚の「からだづくりのメカニズム」を理解することが必要です。すなわち、一つの細胞である受精卵からからだの様々な細胞が作られて来るかを理解しなければ、目的に適合した改変を行う事ができません。本講義では、魚の受精卵から「からだ」が作られる機構について解説して行くとともに、その解析する手法が応用につながっている事を説明いたします。

    • 北海道大学大学院水産科学研究院 栗原 秀幸

      サケ類は北海道の重要な水産物です。水産物という価値を持つには、人がサケ類を利用し満足して、対価を払うことではじめて価値を持ちます。人がこれまでにサケ類を如何にして食品あるいは素材として利用してきたかを紹介し、食品学的見地からサケ類の特徴や利用方法、さらには食品以外の利用などを紹介することで理解を深めます。


  •    SDGs2 SDGS14