1.マリンバイオ資源とは、海洋の生物資源全般を指す。
すなわち、海洋微生物からプランクトン、藻類、海藻、魚類、棘皮動物、軟体動物、甲殻類、海獣類など、多様な生物を含む。
これらの生物は我々がすでに食料はじめ、産業利用しているものもあるが、未利用の資源や、また既利用でも副産物の有効利用や廃棄物対策など解決すべき課題がある。
海洋生物の機能には、未解明のもの、未探索のものがあり、それを探索(スクリーニング)することによって、新たな利用途や新有用物質をを入手できる可能性がある。
抽出や分離の手法開発、構造と機能の解析、栄養・薬理・安全性、など目的に応じて多岐にわたる基礎、応用の研究が必要である。
2.海洋生物から新規の機能性成分の探索
機能性とは、大きく栄養機能、生理機能、加工機能などに分けることができる。
食品としては、栄養機能はもちろん、生理機能としての味や香、食品に組み立てるための加工特性も機能として評価される。
医薬品であれば、生理活性、薬理、代謝、毒性も含めた機能を調べる必要がある。
3.水産物および水産製品の高付加価値化
既存の製品であっても新たな価値の付与は、ユーザーのニーズにマッチすると製品単価や売り上げの向上が期待できる。
栄養や健康機能成分の付加ばかりでなく、もともと含まれている成分の栄養健康機能についての新知見が見出されることも価値の付加といえる。
製造後術の発展による高品質化、高鮮度保持技術の開発、安全に対する取り組みの信頼性、環境負荷低減への取り組みも価値として評価される。
4.食品の消費と開発動向に影響する要因
消費者による食品の消費や食品業界における製品開発の動向には、多くの要因が関係している。
消費者の嗜好、志向、生活スタイルと新しい加工・保蔵技術、食品の開発は、密接に関連してる。
近年では、日本近海の水産物の漁獲量の減少により、水産食品の原料供給が厳しい状況にある。
高付加価値化は、新規素材、未利用素材の開拓とともに、その解決手段のひとつと考えられている。
原材料の有効利用により、最終的に廃棄物ゼロを目指すゼロエミッションの考え方、
環境配慮の取り組みも評価されつつある。
北海道は日本全体の漁獲量の約25%を占めるが、主要水産物(サケ、スケトウダラ、ホッケ、スルメイカなど)の生産量は近年減少傾向にある。
近年、南方系のブリの漁獲が増えているのが特徴的である。海水温の上昇など環境変化に起因している可能性がある。