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トピックアウトライン
時系列のカラーコンター図に任意の水深を結ぶラインを追記
演習9に引き続いて、噴火湾の時系列の鉛直断面図(カラーコンター図)に、混合層深度のライン、クロロフィル極大深度のラインなどを追記します。複数の海洋データを見比べるのに役立ちます。
ダウンロードして、バッチファイルとして保存してください。これを編集します。
研究データです。演習用に使うのみにしてください。
研究データとして、解析、発表を希望する場合は、大木淳之(ooki@fish.hokudai.ac.jp)に相談ください。
混合層深度のデータ抽出
海洋の表層混合層とは、表面付近(5m)から密度が一様な層のことをいいます。混合層より深いところでは、深度が増すにつれて密度が大きくなります。
水深5mの密度に対して、0.03σ 密度が上昇した深度を、混合層深度(Mixed Layer Depth: MLD)と定めます。
- エクセルの関数( if 文 )を使って混合層深度を判別させて、データ並べ替え機能で、混合層深度のデータを抽出します。
抽出法を学ぶのを後回しにする人は、「 FB_MLD_2018_2019.xlsx ダウンロード」に進んでください。
(LINUXのgawkを使ってデータを楽に抽出するのは、あとのコースで学んでもらいます。まずは、馴染みのあるエクセルでデータ整理する方法を身につけましょう) - 水温や塩分、PAR(光合成有効放射量)、密度、酸素濃度、クロロフィル蛍光の時系列鉛直断面図(カラーコンター図)を描くのに使う元データです。
※これは、北海道大学で収集した研究データです。研究目的でデータを使用したい場合は、担当の大木淳之に連絡をください。 上をクリックすると、エクセルでデータを抽出する方法の説明ページが表示されます。
上の元ファイルから、時間軸(1列目)、水深(2列目)、密度の列をコピーして、混合層深度(MLD)を計算したエクセルファイルです。計算式のシート、各観測日のMLDだけを抽出したシートがあります。この「MLDを抽出」のシートをコピーして、新たなエクセルシートに貼り付けてから、タブ区切りテキストのファイルに変換することができます。(複数のシートがあるエクセルファイルでは、先頭のシートだけがタブ区切りテキストに変換される)
作業を簡単にするため、
下から、「MLDを抽出」シートを貼り付けたエクセルシートをダウンロードできるようにしました。
混合層深度(MLD)を抽出した結果のエクセルファイルです。これをダウンロードして、作業フォルダ(c:\GMT_exe\Exercise-10)に保存してください。エクセルを開いて、別名で保存、タブ区切りテキストとして保存(名前:xyDATA-MLD.txt )すれば、図を作ることができます。(そのテキストファイルを、メモ帳などで開いて、データ列の間が一つのダブで区切られていることをチェックしましょう)
この抽出方法は、一つ上のダウンロードファイルで確認してください。エクセルの計算式で抽出してもよいですが、エクセル関数の設定が難しければ、一個一個のデータを手作業で抽出してもよいです。
時系列鉛直断面図に混合層深度を結んだラインを追記 (演習10-1)
・作業フォルダ(Exercise-10)を作りましょう。
・時系列断面分布を描くバッチファイル(Bat-9-4.bat)のファイル名、作業フォルダのパスや書き出しファイル名を設定していください。
・読み込みデータファイルの名前を、ダウンロードしたファイル名(FB_2018-2019_bottle_data_DIC_Alk.txt や FB_CTD_2018-2019.txt)に変更してください。
・読み込みデータファイルの中身を見て、プロットしたいパラメタの列(n)を設定してください。(-i0,1,n)X軸(i=0)
Y軸(i=1)はそのままです。
・読み込みデータファイルの中身を見て、カラーパレットの最小・最大・間隔(-Txxxx/yyyy/zz)を設定してください。
以下の命令文(各月の混合層深度をxyプロット)を追加してください。
gmt psxy %PathName%FB_MLD_2018_2019.txt -i0,1 -R -J -W1,255 -P -O >> %PathName%%FileName%.eps
上の命令文では、ファイル追記終了(-O のみ)です。直前のファイル追記命令文では、 ファイル追記予告と終了(-K -O)を記してください。
PAR対表面比 1% 深度の抽出、時系列断面図に追記
太陽光が届く海洋表層では、光合成により一次生産が起こっています。生物化学パラメタの深度分布の特徴は、”光が届く深度” に影響を受けることが多いです。 海洋表面に降り注ぐ太陽光の強さが、1%まで減衰するところまで光合成が有効であることが分かっています。光合成有効放射量(PAR)の対表面比1%の深度を抽出します。元データは、先にダウンロードしたファイル、FB_CTD_2018_2019.xlsx を使ってください。
元データファイルから、
- 1列目(時間)、2列目(深度 db)、データ列(vsSurface PAR)をコピーして、新規エクセルファイルに貼り付けてください。
- 新規エクセルファイルにて、各観測日のデータ列(vsSurface PAR)を表面から見てゆき、データ列の数値が初めて 0.01 になった水深を確かめてください
- 各観測日で、データ列の数値が初めて 0.01 になった水深の行だけを残して、ほかを削除します。
- xyDATA-PAR1.txt (タブ区切りテキスト)として作業フォルダ(c:\GMT_exe\Exercise-10\)に保存してください。
※ 先のMLDを抽出する計算シートのように、エクセル関数を使っても構いません。
- PAR1%深度のデータファイルができたら、鉛直断面図に記してください。
クロロフィル極大深度の抽出
太陽光が降り注ぎ、栄養塩があれば、植物プランクトンが増殖します。植物プランクトン量は、光合成色素のクロロフィル量が指標になります。光合成色素に可視光線を照射すれば、蛍光を発します。その蛍光値をクロロフィル量に換算したデータを使って、クロロフィル濃度の極大層を調べます。
元データは、先にダウンロードしたファイル、FB_CTD_2018_2019.xlsx を使ってください。
元データファイルから、
1列目(時間)、2列目(深度 db)、データ列(F-Chl)をコピーして、別のエクセルファイルに貼り付けてください。データ列の値が極大を示している水深を抽出して、xyDATA-Chl.txt (タブ区切りテキスト)として作業フォルダ(c:\GMT_exe\Exercise-10\)に保存してください。
※ 表層の浅いところと、表層直下の深いところの両方に極大を示すことがあります。一番大きな値を示した極大の水深を抽出してください。
クロロフィル極大深度のデータファイルができたら、鉛直断面図に記してください。
総合考察
噴火湾の海洋データをプロットしたら、そのプロットの特徴を文章で説明しましょう。
(いわゆる、レポートにおける「結果」の章の記述です)
まず、複数のプロットを並べてみて、似た特徴、異なる特徴、面白そうな変化を見出しましょう。
着目するヒント
・混合層内では、海水成分が均一になりやすいのと、光が十分降り注ぐのが特徴です。
・PAR対表面比が1%以上であれば、光合成が活発(有光層)と考えられます。
・硝酸塩 0.1 μmol/L、リン酸塩 0.05 µmol/L、ケイ酸塩 2 µmol/Lに近づくと、これらの栄養塩が枯渇気味になり、植物プランクトンの成長が制限されます。
(これらの濃度の2倍もあれば、成長できると思います)
文章を記すヒント
・まず、箇条書きで記しましょう。
・なるべく定量的に記しましょう。「急に増えた」と述べるのではなく、「〇月の××濃度 △ mol/Lが、約1か月後には△ mol/Lまで急に低下した」の方が定量的ですよね。
・全ての特徴を記すのは無理でしょうから、その次の「解釈」「考察」に関連する内容について、文章で記すようにしましょう。
プロットの特徴を海洋学的に解釈して、その説明を文章で記しましょう。
(いわゆる、レポートにおける「考察」の章の記述です)
各自プロットを見て興味を持った点について、その解釈を記しましょう。
興味をもった「結果」をもう一度説明(おさらい)→「解釈の根拠」→「解釈」 の順番に記しましょう。
解釈の根拠:既知の事実(なるべく文献や教科書を引用)、推測されること(なるべく文献や教科書を引用)
例えば、
3月表層のクロロフィル濃度が10µg/Lを超えていたことを解釈
注目した結果:2月にクロロフィル濃度が0.1 µg/Lだったのが、3月初旬になると10µg/L以上まで急激に濃度が上昇した。
解釈の根拠 :噴火湾では例年3月に珪藻ブルームが起こることが報告されている(引用文献)。珪藻ブルーム時のクロロフィル濃度として5µg/Lが報告されている(引用文献)。
結果に対する解釈:2019年3月初旬にクロロフィル濃度が10µg/L以上まで急激に濃度が上昇したのは、過去にも同様の現象が報告されているように(引用文献)、春季珪藻ブルームが起こったためと考えられた。
(これが全てできれば、本物の科学論文です。1単位授業のレポートにしては重過ぎるので、各自、適当なところで終えてください)
海洋化学の基礎を学ぶコース群です。これを学ぶと、解析のヒントが得られます。