海洋のアルカリ度と炭酸カルシウム粒子の溶解
炭酸成分~アルカリ度~ (LASBOS YouTube)
炭酸成分~アルカリ度~ (LASBOS YouTube)
アルカリ度とは、海水中の強電解質の陽イオンと陰イオンの電荷量の差で定義され、海水が電気的に中性を保つため弱電解質(主に炭酸系イオン)が海水に補われます。
どのようにして、アルカリ度が生じるのでしょうか。以下に、アルカリ度の成因を説明する絵を示します。
地表面に露出した鉱物(玄武岩質や炭酸塩岩)は雨水と接触します。雨水には炭酸が含まれるので、下の「Weathering(風化)」で囲った反応式により鉱物成分が溶解します。このカルシウムイオン(Ca2+)を溶かし込んだ河川水が海に供給されます。海では、有孔虫(coccolith)などが、炭酸水素イオン(HCO3-)とCa2+を吸収して炭酸カルシウム(CaCO3)の殻を形成し、海底に堆積させます。海では、鉱物の風化によるCa2+の供給と、海洋生物によるCaCO3形成がバランスしています。そのため、海では、カルシウムイオンがやや過剰な状態が保たれています。これが、アルカリ度の成因です。
海洋のアルカリ度を大きく左右するのが、炭酸カルシウム粒子の形成と溶解です。海水中で炭酸カルシウム粒子が溶解する条件について説明します。表層の海水に炭酸カルシウム粒子を入れても、永久に溶解することはありません。表層海水は、炭酸カルシウムに対して過飽和な状態だからです。深層海水では、条件によっては、炭酸カルシウムに対して未飽和になっていて、粒子が溶解します。
なぜ、そのようなことがわかったのでしょうか? それは、海洋堆積物の組成分布が大西洋と太平洋で大きく異なることが明らかになっているからです。
海洋堆積物の組成分布