單元大綱

    •  高校生の皆さんの中には、Googleスプレッドシートでデータ整理とグラフ作りをする方も多いでしょう。スプレッドシートを使って、海洋の鉛直分布図を作る方法を説明します。


      (スプレッドシートを始めて使う筆者(大木)が、自分で習いながら、本コースを作っています。スプレッドシートは、日々進化しています。その辺のこと、ご承知ください)

    • 【目標】

       以下のように、水深1~10 mの水温データ(2, 4, 6, 8月)を得ました。Y軸を水深(0~11 m)、X軸を水温とする折れ線グラフを作ります。Y軸の上端を水面(0 m)として、下端を最深部(11 m)とします。これで図にすると、Y軸の原点が0 m、Y軸のプラス方向(上方向)が11 mです。深い方が上に配置されてしまいます(深い方をグラフの下、水面0 mをグラフの上に配置したい)。スプレッドシートでは、Y軸を反転させる機能が無いので、Y軸のデータ(0~11 m)にマイナスをかけてグラフにします。したがって、下絵のように、Y軸のデータをB列にします。以下の手順に従って、全ての月の水温データをグラフ化してみましょう。さらに、Googleスライドにて、下絵の右にあるような一つのグラフに重ね合わせることを目標とします。(重ね合わせ作業は、やや難しいので、重ね合わせをせず、並べるだけでもよいです)


    • 下の手順の説明で使用している、スプレッドシート(グラフ有り、グラフ無し)とスライドを以下の北海道大学のGoogleドライブからファイル共有します。グラフ無しのスプレッドシートをダウンロードして、自ら、グラフを新規作成して慣れることをお勧めします。

      スプレッドシート(グラフ無し)

      スプレッドシート(グラフ有り)

      スライド

    • スプレッドシートで図を作る手順


      【スプレッドシートに図を挿入】

      スプレッドシートのメニューバーの【挿入」から、【グラフ】を選択します。グラフにするデータの範囲(場所)を選ばないと、下図のように何の図も描かれません。(何も描かれていない)グラフの画面をダブルクリックして、【グラフエディタ】を右側に表示させてください。

      (補足:グラフエディタには、【設定】と【カスタマイズ】があります。【設定】では、グラフの種類やデータ範囲、X軸やY軸のデータ列を指定するなど、基本的な設定をします。カスタマイズでは、線の色や太さ、軸の範囲などの詳細を設定します)

       【設定】にて、【データ範囲】をクリックして、データ範囲を指定します。以下二ついずれかの方法で指定します。方法1:スプレッドシートのセルを選択・マウスの左ボタンを押したまま、他のセルの上にドラッグをする。方法2:グラフエディタにセル範囲(B3:F15  など)を直接入力する。

      (補足:下図のように、各データ列の3行目には、データ(グラフの変数 = パラメタ)の名前、が入力されています。その3行目も含めて、データ範囲を指定しましょう。そうすることで、グラフエディタの【設定】にて、X軸に指定するパラメタを選ぶときに、各データ列のパラメタ名が候補として表示されます)




    •  グラフの範囲を指定すると、何か適当なグラフが自動で作られます。今回作りたい鉛直分布図は、折れ線グラフなので、【グラフエディタ】にて【折れ線】を選んでください。Y軸をDepth、X軸をTemperatureにしたいのですが、自動で作られたグラフの軸設定は適当です。まず、その軸設定を全て解除(削除)してから、X軸をTemperature(temp-Febの列など)、Y軸(系列)をDepth(Depthマイナス表示)に設定します。下図のように、Y軸がDepth、X軸がtemperatureのグラフを描くことが出来ました。




    •  このままでは、美しいグラフとは言えません。論文に掲載するような鉛直分布のグラフ(黒枠線、黒の折れ線、縦長のグラフ、X軸の範囲を適切に)に調整します。Y軸のタイトル「Depth (m)」や、X軸のタイトル「Temperature(℃)」も入力します。単位を必ずつけましょう。X軸の表示範囲(最小値、最大値)を定めます。



    •  ポイントの形(折れ線のデータポイント)を黒丸(など)、折れ線も黒色の実線(など)にします。そして、縦長のグラフに調整します。


    •  スプレッドシートで、2月(temp-Feb  列)の他、4月(temp-Apr  列)、6月(temp-Jun  列)、8月(temp-Aug  列)のグラフも作ります。



    •  Googleスライドを開いて、スライドにスプレッドシートのグラフを挿入します。



       スプレッドシートで作ったグラフのサイズが大きいと、複数のグラフが1枚のスライドに収まらないことがあります。そんなときは、スライドに十分な余白ができるよう、1つずつグラフを挿入、挿入グラフをスライドの外側に移動して余白を作りましょう。


    •  スライド上でグラフが大きすぎる場合は、全てのグラフを選択して「右クリック」→【グループ化】 します。全てのグラフをまとめてサイズ変更できます。サイズを調節したら、【グループ解除



      スライド上でグラフを適当に並べてから、【配置】➡【整列】➡【左右】や【上下】 で左右均等(や上下均等)に整列したり、【配置】➡【上】や【右】 で上(や右)に揃えることができます。


       整列してから、各グラフに番号(a)~(d)などを振って、グラフのキャプション(説明)を付けましょう。


    •  スプレッドシートにて、全てのグラフの背景を透明にしたうえで、重ね合わせれば、一枚のグラフで各月の違いを比べられます。

      (グラフの背景を透明にする方法)



       下は、スライド上で、4つの水温鉛直分布のグラフを重ね合わせた例です。重ね合わせる際には、グラフを選択してから、スライドメニューにある、【配置】→【右】(や【上】) をやって、右揃え(や上揃え)にします。


       異なるグラフのタイトルが重なってしまいました。各プロットが何月のデータなのかもわかりません。

      グラフのタイトル部分に、上から、白色の長方形を被せて、タイトルを隠してしまいましょう。グラフの凡例は、スライドの図形機能を駆使して、自ら作りましょう。

      (四角形、シンボル、線、Feb等のテキストボックスを作った。これらを重ね合わせればよい)


      下のようにして、重ね合わせたグラフ上部か右側に配置する。




      スライドで図形を移動させるコツ 図形を選択して、カーソル(キーボードの矢印)を押すと、図形を矢印方向に動かせます。しかし、動く幅が大きすぎます。キーボードのシフト(Shift)を押しながら、カーソルを押すと、少しずつ動かせます。


      応用編(こだわり派の人だけ)

       上の重ね合わせグラフだと、各プロットのシンボル(●や▲)の上にグリッド線が重なっています。あまり、美しくありません。これを解消する作業をします。

      ここで、作業の目標を説明します。

       枠線やグリッド線を残したグラフ、枠線やグリッド線を白色にして見えなくしたグラフ、テキスト情報を残したグラフ、テキストを白色にして見えなくしたグラフにします。これらを重ね合わせて、下右のようにします。(繰り返し言いますが、全てのグラフ、枠線やテキストを表示させたままピタッと重ね合わせるだけでも同様の図を作ることはできます。こだわり派の人だけ、以下のようにすればよいです)


    •  グラフの枠線やグリッド線を白色に、テキストを白色にする。白色にして見えなくすることが大事です。テキストを消去してしまうと、グラフの画面に余白が生じて、勝手にグラフのサイズが調節されてしまうからです。




      次に、グラフの背景(通常は白色背景)を透明にします。



      以下のように、スプレッドシートに、複数のグラフが用意されました。



      これらの図を、スライドに挿入してください。

    • Googleスライドを開いて、スプレッドシートのグラフを挿入します



    • 一つグラフを挿入したら、そのグラフを、スライドの外側に移動させてください。二つ目のグラフを挿入するとき、スライドの余白が狭いと、その狭い余白に合わせて挿入グラフが勝手に小さく調整されてしまうからです。



    •  全てのグラフをスライドに挿入したら、全てのグラフを選択して、整列機能を使って、ピッタリ合わせます。


    •  グラフの凡例(プロットの説明)をスライド上で作ります。(スプレッドシート上でも凡例を作ることはできますが、重ね合わせる際に不具合が生じるでしょう。大した手間でもないので、スライド上で凡例を作ってしまいましょう。凡例のボックスも、重ね合わせグラフに配置して、完成です。


    •  スプレッドシートは、グラフ作成に特化したソフトウエアではありません。もっと楽に、美しいグラフを作るには、Ocean Data View(ODV)を使うことをお勧めします。フリーソフトをダウンロード、インストールします。ただし、データファイルを、ODVで読み込むための形式に整理する必要があります。スプレッドシートで、一通り、グラフを作ることができたら、ODVにも挑戦してください。

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