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    •  冬から春にかけて、混合層深度の変化が海洋基礎生産の季節性を特徴づけています。先のコース(表層混合層(海洋基礎生産で大事な理由を解説))をご覧ください。このコースでは、北太平洋亜寒帯~混合域で観測されたA-Lineデータから、冬と春の鉛直断面図を作り、比較解析する導入部分を例として示します。


    •  先のコースで、A-Lineモニタリングの2014年5月のデータ(CTD、栄養塩とChl-a)をダウンロード、鉛直断面図を作りました改めて、2014年5月の鉛直断面図を作ってもらいます。X軸、Y軸、Z軸は、以下のように定めてください。

      ・Y軸水圧(≒ 水深):0 ~ 300 m

      ・X軸緯度:37.5N~43.0N

      ・Z軸(変数):NO3(硝酸イオン)、PO4(リン酸イオン)、Si(ケイ酸イオン)、Chl-a(クロロフィルa)の各濃度(4種類の図を、一つ一つ作る)

        Z軸の範囲は、最小値は0、最大値は水深300 mの各濃度以上で切りのいいところ(例えば、NO3の最大値 45 など)

      それぞれの鉛直断面図に、先に作った、5月の混合層深度のコンター線も加えてください。

      (コンター線を描く鉛直断面図も、上と同じX軸、Y軸設定にし直してください)

      以上と、全く同じ軸設定にして、1月の鉛直断面図を作り、1月の混合層深度のコンター線も加えてください。
      (2014年1月のCTDデータは、通常観測ステーションA01~A55以外のデータも沢山ありますが、処理が大変なので、A01~A55のデータだけでよいです)


      2~3時間かかると思いますが、頑張ってください。


    • 下に、2014年1月と5月の硝酸塩濃度の鉛直断面図を示します。亜寒帯系の水を太い白矢印で示しました。(別の図で塩分分布を調べて、39N以北が亜寒帯系の水、39N以南が亜熱帯系の水であることがわかっています)亜寒帯系と亜熱帯系の表層水中の硝酸塩濃度を図に書き込みました。



      上の図と元のデータから、以下のことに着目しました。

      1月:亜寒帯系の表層水では、硝酸塩の濃度が12~20 µmol/kg

      1月:亜熱帯系の表層水では、硝酸塩の濃度が5~12 µmol/kg


      5月:亜寒帯系の表層水では、硝酸塩の濃度が1~10 µmol/kg

      5月:亜熱帯系の表層水では、硝酸塩の濃度が5~8 µmol/kg

      でした。この結果から、どのような解釈や解析ができるでしょうか?



      解釈の例)

      亜寒帯系では、1月から5月にかけて、表層の硝酸塩濃度が大きく減少しました。その間(おそらく、4~5月)、植物プランクトンが大増殖して栄養塩が消費された結果と考えられます。その消費量は、5月と1月の表層水中の硝酸塩濃度の差(=〇〇)に相当するとみなします(仮定)。この仮定に基づき、基礎生産がレッドフィールド比(C:N:P=106:16:1)に従うとすれば、1月から5月にかけての基礎生産量は、○○と見積もられます。

      レッドフィールド比から基礎生産量を見積もる説明はこちら


      亜熱帯系では、1月から5月にかけて、表層の硝酸塩濃度はそれほど減少していません。5月の時点で植物プランクトンの大増殖が起こっていなかったか、硝酸塩以外の栄養塩(リンやケイ素)が枯渇して植物プランクトンの大増殖が抑制されていたか、外部からの影響塩供給が起こっていた可能性があります。


      ※  なお、寒いエリアのほうが、春季ブルームが始まる時期が遅い傾向があるので、「5月の時点で亜熱帯系水で春季ブルームが始まっていなかった」と解釈するのは誤りの可能性があります。例年の傾向、他の成分(リンやケイ素)と併せて検証する必要があります。