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  • 海洋の有機ガス(概要と補足)

  • 海洋の有機ガス(概要)

    •  海洋植物は海水に含まれるC, H, O, N, S, Ca, Mg, Si, P, Cl, Br, I, Fe, Mn, Zn,などの親生物元素を取り込んで有機物を作っています。有機物が海洋の物質循環の中心的役割を担っているのですが、海水中での物質移動にとどまらず、大気への物質移動のキャリヤー(運び屋)としても大事です。

       海洋から大気への運び屋の役割を果たすのが、有機ガスです。揮発性を有する有機化合物なので、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound; VOC)といいます。小難しい名前なので、VOCと略すか、単に「有機ガス」と呼べばよいでしょう。どのような成分が含まれるかで、有機ガスが分類されます。硫黄、ハロゲン、窒素、などです。





  • 海洋の有機ガス(補足)


    有機硫黄ガスの主役であるDMS、海洋起源ハロカーボンの説明は次のコースです。ここでは、海洋の有機ガスでも、目立たない成分の硫化カルボニル、主役級のDMSが海洋生態に与えるユニークな研究を紹介します。

    •  大気中の硫黄ガスで一番量が多いのは何ですか? 発生量の大きな二酸化硫黄(SO2)でしょうか。都市部では、大気汚染を引き起こす原因物質で数ppmに達することがあります。ジメチルサルファイド(DMS)? こんなガスが地球上に充満していたら、何処へ行っても臭すぎます。 いえいえ、硫化カルボニル(COS)です。対流圏全体に500 pptで一様に分布していますから。


      注)発生量が多くても、消失速度が大きければ、大気中での存在量は小さくなります。発生量がそこそこあり、大気中での消失速度の遅い成分の存在量が大きくなります。



    •  人間ですら“臭い!”と感じられる有機硫黄ガスなので、当然、他の動物たちも臭いをかぎ分けられます。大海原を飛ぶ海鳥が魚の群れを探すのに役立っているのではないか? という発想で、「海鳥の嗅覚による摂餌行動」の研究が行われました(Nevitt, 2000)。




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