海棲動物の摂餌行動に対する嗅覚の実験研究の紹介

 有機硫黄ガスの臭いについて、あれこれ述べたので、ついでに海鳥の摂餌行動との関係にも触れておきます。人間ですら“臭い!”と感じられる有機硫黄ガスなので、当然、他の動物たちも臭いをかぎ分けられます。生物生産の活発な海域から沢山放出されるガスなので、空から高生産域をピンポイントで探すためのマーカーになるかもしれません。大海原を飛ぶ海鳥が魚の群れを探すのに役立っているのではないか? という発想で、「海鳥の嗅覚による摂餌行動」の研究が行われました(Nevitt, 2000)。木の板にDMSを塗り込んで海に浮かべて観察したところ、有意の確率でミズナギドリが集まってくることがわかりました。他にも調査を行ったところ、ミズナギドリは大気中で濃いDMSがあるほうに向かう習性があり、高生産域を探し当てるのに役立っていることがわかってきました。ただし、DMSだけを頼りにするのではなく、海鳥の経験や勘、上空からの目視、ランダムに探すなど様々でしょう。たまたま、DMSの美味しそうな匂いを感じると、餌場に引き寄せられる程度かもしれません。 ミズナギドリだけでなくその仲間のペンギン(Cunningham et al., 2008; Wright et al. 2011)、哺乳類のアザラシ(Kowalewsky et al. 2006)もDMSに反応することがわかっています。





Last modified: Friday, 29 May 2020, 1:35 PM