海洋生物資源科学部門・海洋共生学分野・鮭鱒班の紹介です
日本では、サケの母川回帰性を利用してふ化放流事業を展開し、高い生産性を持つ水産資源として得ています。私たちはこの事業をより強靭に持続可能な食料生産システムとするために、生態系への配慮や気候変動にも適応できるものに高度化することを目指し、研究を通してSDGs(飢餓をゼロに、海を豊かに)に貢献したいと考えています。
国連では2021年からの10年間を、「海洋科学の10年」に定めて、SDGsに貢献することを目指しています。国連が定める海洋科学には、水産漁業の分野も含まれます。
これはサケ科魚類のなかでも外洋にいる時のサケ属魚類の例です。
他にもサクラマス、ニジマスなど様々なサケ属魚類がいます。
このコースではサケ科魚類の見分けする際に重要な形態的特徴について説明します。
(「サケ・マス魚類のわかる本」参照)
まず、サケ科魚類は一般的に考えられる丸くてスリムな体型を持っています。
A: 背鰭 → 泳ぐときの姿勢を保つ
B: 脂鰭 → 分類上で重要な鰭であるが、役割の詳細は不明
C: 胸鰭 → 泳ぐときの姿勢を保つ
D: 腹鰭 → 泳ぐときの姿勢を保つ
E: 尻鰭 → 泳ぐときの姿勢を保つ
F: 尾鰭 → 泳ぐときの推進力を得る
他の魚種も見てみましょう。
ニシンはサケ科魚類と同様、体の中央付近に背鰭と腹鰭がありますが、真鯛は違うことが分かります。
真鯛の背鰭には棘条があります。この棘の役割は外敵から身を守るためと考えられます。
ではなぜ、真鯛には棘条があり、サケにはないのでしょう。
生活史や生息環境などの違いから考えてみましょう。
また他の魚種についても棘条の発達有無を調べて、共通点や相違点を考察しましょう。
キュウリウオ科のキュウリウオには脂鰭がついていますが、腋突起はありません。
パーマークは河川生活期の幼稚魚の体にある斑紋のことです。
川底の小石を模しているのでカモフラージュのためだと思われています。
逆に海で過ごす際に、サケ科魚類は銀化(スモルト)という形態的変化をし、背中は灰色に、お腹は白色になります。
これは上から見たら海底の色と、下から見たら空の色と同化し、捕食者に見つかりにくいカウンターシェーディング効果のためと思われています。