低利用資源・紅藻から紫外線防御物質の調製法の開発
โครงสร้างหัวข้อ
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海藻は植物と同様に自由に移動することができません。そのため、潮間帯に生育する紅藻は常に紫外線に晒されています。紅藻にはマイコスポリン様アミノ酸(MAAs)が含まれており、それが紫外線防御物質として働きます。MAAsは生物が作り出す天然の紫外線防御物質です。そのため、環境にも優しい化合物ですが、強い紫外線防御作用があるため紅藻には少量しか含まれていません。
本研究では、低利用資源の紅藻ダルスから効率的にMAAsを得るために、調製方法やどの時期のサンプルがよいかについて調べました(図1)。
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MAAsは、シキミ酸経路及びペントースリン酸経路によって合成される水溶性の低分子化合物であり、シクロヘキサノンやシクロヘキセイミンを基本骨格に持つ二次代謝産物です(図2)。太陽光は生物にとって有害な紫外線を含んでいます。紫外線はその波長域によってUVA(315~400 nm)、UVB(280~315 nm)及びUVC(100~280 nm)に分類されます。そのうち、UVA及びUVBが地表に届き、タンパク質や核酸の構造変化を引き起こします。MAAsは310~360 nmに吸収極大波長を持ち、光エネルギーを熱として放出するため活性酸素を生じにくいことから、安全な紫外線防御物質として期待されています。
シキミ酸経路:微生物・植物などが芳香族アミノ酸(チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)などを生合成する経路。
ペントースリン酸経路:解糖系の中でも主に5炭糖(リボース、デオキシリボース)の生合成に関わる経路。
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紅藻の主要成分として寒天やカラゲナンなどの多糖があります。海藻の多糖は粘性が高いため、水に溶けやすいMAAsを水で抽出するとドロドロになってしまい回収するのが困難でした。そのため、有機溶媒を加えて多糖を沈殿させる必要がありました。一方、ダルスの多糖キシランは他の紅藻多糖よりも粘性が低いことがわかってきました。そこで、ダルスに適したMAAsの抽出方法の開発を行いました。ダルス用に最適化した条件でMAAsを抽出しますと、高速液体クロマトグラフィーにより6つのピークが検出されました(図3)。
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海藻の成分は時期により大きく変動することが知られています。特に環境の変化などによりストレスを受けることが原因と考えられています。MAAsに関しても、時期により成分量が変化するのではないかと考えて2019年及び2020年の1月~5月のサンプルのMAAs量について調べました(図4)。
その結果、MAAsはいずれの年も2月~3月にかけてMAAs量が増加することが分かりました。また、3月以降は徐々に減少することも分かりました。
これは夏場に向かうにつれて紫外線量が増加していることが理由の1つではないかと考えております。今回サンプリングした地点は噴火湾の近くになります。噴火湾は海流の影響で毎年珪藻類が増殖する春季ブルームが起きるため、栄養塩などが枯渇することが知られています。そのため、紫外線量が増加しているにもかかわらず栄養不足のためMAAs量が減少しているのではないかと考えられました。
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(Open Access) Nishida et al. Efficient Extraction and Antioxidant Capacity of Mycosporine-Like Amino Acids from Red Alga Dulse Palmaria palmata in Japan. doi.org/10.3390/md18100502
(Open Access) Nishida et al. Monthly Variation and Ultraviolet Stability of Mycosporine-Like Amino Acids from Red Alga Dulse Palmaria palmata in Japan. doi.org/10.3390/phycology1020009
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MAAsの紫外線防御作用以外の機能性の探索
MAAsを多く含む紅藻の探索
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