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    • 熱帯の海のど真ん中で産まれたウナギの赤ちゃんは、大きさおよそ3 mm。

      体の下に卵黄と油球を抱えています。


      自分で餌を食べるようになるまで、この卵黄と油球がお弁当の役割をします。

    • 卵黄と油球は孵化後約1週間で消費され、その後は外部からの餌を食べるようになります。

      餌を食べる前をプレレプトセファルス (preleptocephalus)、食べてからをレプトセファルス(leptocephalus)といいます。

      プレレプトセファルスとレプトセファルスを合わせて仔魚といいます。

      天然のウナギは約半年間の仔魚期を海で過ごします。


      プレレプトセファルスとレプトセファルスを分ける時期は学者によって違います。

      一般的な仔魚前期と仔魚後期の概念、つまり卵黄と油球の吸収や摂餌開始を基準(孵化後約1週間)にする人がいれば、レプトセファルスの独特な形である柳の葉っぱのようになるまで(孵化後約1か月間)をプレレプトセファルスと呼ぶ人もいます。


      私はややこしいので、あえて分けずに「仔魚」といいます。

    • 不可思議なウナギの生活史の中でも仔魚期は長年謎に包まれていました。

      そもそも仔魚期を海で過ごすので、川で仔魚が見つかることはなく、例え海で採れたとしても誰がそれをウナギだと気づくでしょう。

      ウナギの赤ちゃんなのに、ウナギとは全然違う形をしていますもんね。


      どうしてもウナギの赤ちゃんを見つけることができなかった古代ギリシャの学者アリストテレスは「ウナギは泥の中から産まれる」と言ったそうです。

      分子生物学技術の発展により、遺伝子を用いた種査定を行うことで、この面白い形の生き物がウナギの仔魚であることが分かりました。