섹션 개요

    • 北太平洋亜寒帯域は、北太平洋亜寒帯循環という反時計回りの循環がある海域です(1)。本海域は、硝酸塩やリン酸塩といった主要栄養塩は豊富に存在する一方、鉄の濃度が小さいことで植物プランクトンによる生物生産が制限されていることが知られています。沿岸域では河口からの流入などによって鉄が供給され得ますが、外洋域においては鉄が不足しており、鉄の供給に海洋中規模渦*1が大きく寄与していると考えられています。北太平洋亜寒帯の内、東部のアラスカ循環では、沿岸域で形成した海洋中規模渦が鉄や植物プランクトンを沿岸域から外洋域に輸送することが知られています(Crawford 2002; Mackas and Galbraith 2002; Johnson et al. 2005)。一方、北太平洋亜寒帯の西部においては、海洋中規模渦が物質循環および生物生産に与える影響については未解明な部分が多く残されています。

      本コースでは、北太平洋亜寒帯西部の外洋域において海洋中規模渦が生物生産に与える影響について調べた研究を紹介します。

      *1 海洋中規模渦については、別コース:「海洋中規模渦:海の高気圧・低気圧」にて詳しく説明


      図1. 北太平洋亜寒帯域における海水の循環