單元大綱

  •  海底面上や堆積物(泥や砂)の中で生活している生き物を底生生物といいます。海藻、イソギンチャク、サンゴ、貝類、ゴカイ、ヒトデ、カレイなど多様な分類群の生物が含まれます。

     底生生物を採取する方法には、網やバケットを海底面上で引きずる方法のほか、採泥器を使って生活の場である堆積物ごと採取する方法があります。採泥器による方法は底質の硬さや特性(堆積物か礫かなど)で生物採取の効率は左右されますが、網を曳く方法と比べると海底表面より下の方、すなわち堆積物中に生息する生物試料を得られます。

     大型の底生性魚類を採取するには商用の漁具であるオッタートロールのような大型の漁具を使用する必要があり、大掛かりな専用の漁労機械と経験が必要となります。調査に用いられる採集具は、漁労設備のない調査研究船でも使用できるよう設計されています。


    • 【曳航式採集具】

       網やバケットを海底面上で引きずって底生生物を採集します。採取したい生物群集にあわせて曳網速度や網口の広さを考慮して設計された採集具を選択します。個体数密度が高く、わずかに海底面を搔き取るだけで採取できる生物であれば、図7に示すようなドレッジと呼ばれる採集具を利用して採取されます。一方で、個体数密度が低くより広い海底面をさらう必要がある場合や、遊泳力のある底生魚を採取するにはソリネット(図8)が有効です。


      底生生物 ドレッジ

      7 ドレッジ

       海底の底質を掻き取ることで、海底面や底質の中に生息する生物を採取します。a)生物ドレッジ b)円筒ドレッジ

      底生生物 ソリネット

      8 ソリネット

       網口の両脇にソリ状のフレームを備えた桁(けた)網の一種。フレームを海底面上で滑らせるようにして網を曳きます。網口幅が一定であるため、曳網距離との積算から容易に曳網面積が算出されます。採集された個体数を曳網面積で割れば、個体数密度を推定することができます。

    • 【採泥器】

       海底面やその下に潜って生活している生物を、その生活の場である海底堆積物ごと採取します。網を使った方法と違って試料が網目から抜け落ちるということがないので、小型の生物も採取されます。生物の住み家ごと採取するので生け捕りの可能性が高く、生物試料の損傷を抑えられます。採泥器にはバケットで堆積物をつかみ取るタイプのもの(グラブ式採泥器)や、パイプを海底に突き刺して堆積物の層序を保ったまま引き抜くタイプのもの(柱状採泥器)などがあります。

      底生生物 スミス・マッキンタイヤ採泥器

      9 スミス・マッキンタイヤ採泥器

       バケットでつかみ取るようにして堆積物を採取するグラブ式採泥器の一種です。着底するとトリガーが作動し、バネの力でバケットが海底に突き刺さります。引き抜きの際にバケットが閉じ、堆積物とともに底生生物をつかみ取ります。