遊泳力があり、水中を自由に泳いで生活するものを遊泳生物といい、多くの魚類のほか、頭足類のイカ、イルカ・クジラなどの海棲哺乳類がこれにあたります。これらネクトンは調査・研究用に開発された定量的に試料を採取できる採集具を用いる方法のほか、商用の漁具・漁法によっても採集されます。
仔稚魚など小型の遊泳生物の定量採集にはプランクトンネットに類似した仕組みの採集具が使用されます。遊泳生物は海の中でまばらにあるいは斑状(パッチ状)に分布しているため、多くの海水をろ過して採集します。そのため、遊泳生物の採集具は網口が大きく、水の抜け(ろ過効率)の良い網地が用いられます。網地の目合いはプランクトンネットよりも大きく、遊泳能力の高い生物の採取のために極力高速で曳網できるように強度のある網地が採用されています。代表的なものとして稚魚ネット(図4)やMOHT(図5)があります。
図4 稚魚ネット
稚仔魚採集用の表層水平曳きネット。舷側の水面付近に網を入れ、船を走らせて水平曳きします。目詰まりによるろ水効率の低下を抑えるため、前部には目の粗いモジ網が使用されています。夜間に曳網する場合、光による生物の集散が無いように船の照明を消した状態にします。
図5 MOHT
フレームトロールの一種。小型の魚類のほかオキアミなどの大型プランクトンの定量採集に用いられます。曳網速度の変化に応じて潜行力が変わる特殊な潜行板を備え、曳網中の深度安定性に優れます。
海洋生物試料を採取する方法として従来利用されている漁業的方法を選択することがあります。漁業的な方法は商業的に効率よく大量に水産生物を採取するもので、多くの生物個体を調査したい場合や水産生物資源量を見積もる際には有効な手段であると言えます。漁業的な方法として利用される漁具・漁法には、刺し網、巻き網、定置網などの網漁具を使う方法のほか、延縄、釣り竿などの釣り漁具を使うもの、銛で突く、鉤で岩から引きはがすなどの種類があります。
図6 漁具・漁法の例
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