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    •  上のエントロピー変化の式を使って、実際にエントロピー変化量を計算してみましょう。


       まず、1モルの理想気体について、温度一定のまま( Ln(T1/T0) = 0 )、体積を10倍にしたときのエントロピー変化は、⊿S = RLn(10) = 19.3 (J/K)です。また、体積を元に戻したときは、同様に⊿S = 19.3 (J/K)です。


       先に、エントロピーは常に増大すると述べたのは、これは断熱系に限った話です。物質のエントロピーを減少させることもできて、その際には、外界に熱を移動させる必要があります。


       エントロピー変化の計算例は、まだまだ続きます。



    • エントロピー変化の計算例

       

       気体A1mol)が1m3の容器に入っている。隣り合わせに、気体B1mol)が1m3の容器に入っています(下の絵)。容器ABの間仕切りを外してABの気体を混合したときのエントロピー変化を計算します。

       

       気体Aにとっては存在する体積が1→2m3、気体Bにとっても体積が1→2m3に増えました。このとき、気体Aと気体Bについて、それぞれのエントロピー変化(SA, SB)は、

       

      SA = 18.31Ln(2/1) = 5.76

      SB = 18.31Ln(2/1) = 5.76


      です。系全体のエントロピー変化は、

      SA + SB 11.52 (J/K) です。




       接する空間の間仕切りを外して、それぞれの気体を混合しただけです。
       外界に対しては何の仕事もせず、化学変化もないが、エントロピーは増大しました。