海洋におけるエネルギーの始点は、熱水鉱床などの特殊な環境を除き、そのほとんどが太陽光を使っての光合成によります。光合成を行える太陽光が差し込むのは、海の表面せいぜい200 mまでです。全ての分類群の生物量(バイオマス)が表面近くで高いのは、エネルギーを産み出す、太陽光の届く場所であるからです。

分類群によって表層からのバイオマスの減り具合が異なるのは、各分類群がどのようにエネルギーを得ているかによります。例えば従属栄養細菌は溶存有機物をエネルギーにしますが、溶存有機物の深度増加に伴う減少は、さほど大きくないことが知られています。これが従属栄養性細菌の深度増加に伴うバイオマスの減り具合が緩やかな理由です。

一方、従属栄養性細菌を餌とする単細胞動物の深度増加に伴うバイオマスの減り具合は、餌である従属栄養性細菌よりもやや急になります。これは食う-食われるの関係を持つ際に、全部を食べるわけでは無く、食べ残しがあること、また同化や代謝などにより、エネルギーが失われることの反映です。

Last modified: Sunday, 26 April 2020, 10:37 PM