北半球では、概ね1週間以上海面の凸凹が持続している場合、その斜面上には海面が高い方を右にみる流れが存在します。この流れは私たちが日常で経験している「水は高い方から低い方に流れる」という常識とは異なっていますが、そこにはコリオリ力という地球の自転に関係した力が関係しています。


黒潮の例 

定常的に海面に凸凹がある場合、その斜面上に海面が高い方を右に見る流れが存在するメカニズムについて、黒潮を例に簡単に説明します。本州南岸で黒潮を北から南に横断すると海面高度が急激に高くなります(図1)。海面下10メートルから数100メートル程度の水深に位置する「ある水平面」を考えると、その上部に載る海水の質量は、黒潮の北側で小さく、南側で大きくなります (図1)。「ある水平面」における圧力は、その上部に載る海水の質量で決まりますので、「ある水平面」では、黒潮の北側が低圧、南側が高圧になります。水平面上で圧力が異なると、高圧部から低圧部へ海水を動かそうとする力(圧力傾度力)が働きます。黒潮のような大規模な流れでは、この圧力傾度力と流れに伴うコリオリ力が釣り合った状態となっています。コリオリ力は、地球が自転していることによる力で、流れる方向に対し右側に働きますので、黒潮においては南向きに働きます。結果として、海面高度の違いは常に保たれ、黒潮は流れ続けることになります。また、コリオリ力は速度に比例するので、等高線密集帯に強い流れ、黒潮が流れています。



図1 黒潮南北断面の模式図



Last modified: Thursday, 30 July 2020, 11:05 AM