海洋化学では各パラメタの鉛直分布を考えるのが定石だから、溶存酸素(DO)とみかけの酸素消費量(AOU)の鉛直分布を並べてみます。


【大西洋亜熱帯の高生産域:①グラフ】

 北大西洋亜熱帯でアフリカ大陸に近いところ(12.5N, -22.5E)の分布(下図の①)を示します。ここは、北から南へ風が吹き続けることがあり、エクマンポンピングにより湧昇流が発生するので(モーリタニア湧昇域)、生物生産性が高いことで知られています。そのため、表層から多量の粒子状有機物が沈降して密度躍層付近で分解、酸素が消費されます。深層循環の出発点に近いため、深層水中の酸素濃度は高い。その結果、密度躍層付近に顕著な溶存酸素濃度の極小、およびAOUの極大が見られます。

【北太平洋亜寒帯(深層循環の終着):②グラフ】

 深層循環の終着に近い北太平洋亜寒帯(47.5N, -152.5E)の分布(下図の②)を示します。北大西洋深層水に比べて北太平洋深層水の方が酸素濃度が低いのが特徴です。長い年月におよぶ深層循環の間に、徐々に酸素が消費されているのです。



 北大西洋と北太平洋の酸素、AOUの分布の特徴を把握しておいてください。



Diperbaharui kali terakhir: Rabu, 20 Mei 2020, 2:57 PM