海氷の衰退は太平洋側北極海においてとくに顕著であり(図1.4)(Shimada et al., 2001, 2006; Stroeve et al., 2007; Comiso et al., 2008; Markus et al., 2009),これはベーリング海から流入する海流(温暖な太平洋水)によってもたらされていると考えられている(Shimada et al., 2006; Woodgate et al., 2010)。
このような海氷域の劇的な減少が海洋生態系に影響を及ぼすことが危惧されている(Grebmeier et al., 2006; Hunt and Drinkwater, 2007)。言い換えると,海氷域の衰退が海洋生態系に及ぼす影響を評価するためには,衰退が著しい太平洋側北極海における研究が必要不可欠ということになる。