海洋プラスチックごみが環境問題として注目されています。海のゴミは、どのように調べられているのでしょうか。海ごみ調査の方法を世界中の人に伝え、みなに関心を持ってもらうことでSDGs(海を豊かに)に貢献したいと思います。
国連では2021年からの10年間を、「海洋科学の10年」に定めて、SDGsに貢献することを目指しています。国連が定める海洋科学には、水産漁業の分野も含まれます。
ニューストンネットの投網後 一定時間曳いた後 網を揚げます。ネット内の付着物を水で流してコッドエンドに集めます。採集したサンプルをラボに運びます。
撮影時期の秋はブルーミングで少し植物プランクトンが増える時期です。これからどんどん寒くなっていくのでプランクトンが少なくなっていきます。そして春先の春季ブルーミングといわれる時期にはもっとすごくプランクトンが増えます。
風が強いと、うねりで真ん中についているフローメーター(濾水計)が空中で浮いてしまいます。それによって回収率が少し変わってしまうので、通常より少し物がネットに入りづらいです。
水面に浮いているプラスチックを採集する場合、風が強くてかき混ぜられてしまうとプラスチックが沈んでしまうかもしれないので少し採れ方が変わってきます。
採集したサンプルをラボに持ち込み処理を行います。
浮いている青いものがプラスチックです。茶色いのは植物プランクトンで、主に珪藻類(チェーン状の植物プランクトン)です。先ほどネットが茶色く見えたのは植物プランクトンがいっぱい絡みついていたからです。植物プランクトン中にあるマイクロプラスチックを選り分けてピックアップする作業をやります。
採集したサンプルが腐敗しないようホルマリンを薄めに入れて固定します。
まずボトルにサンプル番号を記入、中性ホルマリンをサンプル量の2%程度量添加し、よく混ざるように撹拌します。
一般的に5ミリ以下のプラスチックをマイクロプラスチックといいますが、先ほどニューストンネットで採集したサンプルの中から、大きさ関係なくプラスチック片やビニール片などをピックアップする作業をやります。
ピックアップしたら写真を撮り、本当にプラスチック片なのか、その粒子を観察します。またFT-IR という赤外光 フーリエ変換の機械を使って、プラスチックかプラスチックじゃないかを判定します。
ニューストンネットのサンプルを3個 ジョッキの中に分けています。それをお玉で適量をすくってシャーレに入れて、ピンセットを使って見ていきます。プラスチックがあったらピックアップして ほかの皿に移します。見終わったら 廃液入れのジョッキに流します。
さらに細かいマイクロプラスチックを探すには、廃液をもう一回 濾紙を使って濾過します。濾紙の上にある破片を集めて、細かいマイクロプラスチックを見つけます。
学生さんが実習でピックアップしたマイクロプラスチックをみてみると、ちょっとネットを引っ張っただけでもプラスチックが採れることがわかります。
今年のプラスチックの量は去年に比べて少ないですが、去年とは海域が若干違います。 去年は釧路沖の襟裳岬をかわした海域になります。おそらく親潮と津軽暖流水等が混ざるところでサンプリングしたのでゴミが多かったと思います。