バランスドオーシャン事業は,「海のトップサイエンティストの早期発掘と育成」を目指した教育プログラム(北海道大学機能強化促進事業2019 – 2023)です。従来の対面式の授業や実習に加え,それを強化するためのオンライン教材を提供し,早期に学生の研究志向性を高め,海のトップサイエンティストとなる人材を育成するものです。また,オンラインの利点を活かし大学の国際化にも貢献することを目指しています。
大学の限られた資源のもとで持続的にプログラムを進めるためには,「研究の加速」と「教育の質向上」を両立(バランス)させなくてはなりません。まずは,海の分野からということで,Balance de Ocean(バランスドオーシャン)
と名付けました。将来的には,海の分野に限らず,北海道大学の各学問分野を“Ocean”に見立て,それぞれの海を自由に航行できる教育システムの構築を目指しています。
具体的には,教育システムプラットフォームとして普及している「Moodle」を用い,独自のオンライン教材を開発して全世界にインターネット公開します。日本や世界中の人々が海の学問に関心を持ち,北海道大学への進学を目指すきっかけを提供します。北海道大学の学生をはじめ,北海道大学での学びを志す人達が,場所や時間の制約を越え,また分野や学年の垣根を越えて主体的な学びと探究を進める仕組みです。優秀な学生が集い,共に育ち,社会教育への貢献を通して,北海道大学が人類社会に貢献することを目指します。
このMoodleのシステム名称として,「バランスドオーシャンを通じた教育研究」Learning and Study by Balance de
Ocean System (LASBOS)を冠につけて,LASBOS Moodleと呼ぶことにしました。
バランスドオーシャンでは,大学一年時に学ぶ全学教育に相当する内容から,実験・実習,専門教育,そして第一線の研究内容まで,多種多様かつ多言語化されたオンライン教材(コース)を数多く公開しています。こうしたコースの海を自由に航行して人類の課題である「持続可能性水産科学」における学びを深め,課題を解決する新しい研究や取組みを生み出していただくことを願っています。

北海道大学大学院水産科学研究院長 都木靖彰(TAKAGI Yasuaki)