海洋沿岸は、多様な生物が生息する場であり、水産資源を生み出す場でもあります。これを支えているのが、藻場に生えている海藻です。それらの生き方を理解し、その維持を目指すことでSDGs(海を豊かに)に貢献します。
国連では2021年からの10年間を、「海洋科学の10年」に定めて、SDGsに貢献することを目指しています。国連が定める海洋科学には、水産漁業の分野も含まれます。
図.コンブの生活環
胞子体葉状部の全ての部位が子嚢斑を形成する能力を持ちながら、自然環境下では先端部の多くの組織が成熟することなく流出していきます。
子嚢斑形成には幾つかの条件が必要で、その一つが資源(栄養分)の蓄積です。
つまり、自然環境下では、その資源の蓄積が成熟条件に満たされず(資源制限)成熟せずに流出していくことが明らかになっています。
コンブの胞子体は、自身を守り繁殖していくために様々な能力をもっている。
その細胞壁は、セルロースを骨格に、アルギン酸や抗菌作用等の生理活性を示す粘性多糖類のフコイダンを含むマトリックスで構成され、クチクラと共に防御にあたります。
表層細胞には、食植動物の忌避物質や紫外線防御としての役割を担うフロロタンニンを含むフィソードと呼ばれる細胞内構造が発達し、障害を受けた部位に大量に蓄積されます。
また、アルギン酸由来のオリゴ糖をエリシターとして藻体に作用させると、活性酸素を生成し、様々な防御反応を誘導します。
その反応の一つに、ハロペルオキシダーゼの活性化があり、抗菌作用を有するヨウ素化合物を体外に放出し、化学的防御の一端を担っています。
図 コンブの子嚢斑誘導条件