オッタートロール
トピックアウトライン
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船で引く漁網のことを「船引き網」といい、停船させた状態の船に網を引き寄せる「引き寄せ網」と、船を前進させながら長距離にわたって網を曳き続ける「引き回し網」とがあります。引き回し網のなかでもオッターボード(開口板)をつかってトロール網を展開させるものはオッタートロールと呼ばれ、その優れた採集効率から我が国をはじめアメリカ、ヨーロッパでも広く利用されている漁具・漁法です。漁業調査船における水産資源調査においても有効な試料採集方法としてオッタートロールが活用されています。ここでは、北海道大学の練習船おしょろ丸に装備されている表中層用および底曳用の2種類のオッタートロールについて解説していきます。表中層用および底曳用は海中のどの部分(表中層か海底)を曳網するかによって使い分けします。
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オッタートロールはトロール網とオッターボード、それらを曳航するためのワイヤロープ類などで構成されます。おしょろ丸に装備されている表中層用および底曳用オッタートロールの構成を表1に示します。表中層用と底曳用では曳網索の構成要素に大きな違いはありませんが、トロール網の形状が異なるので、それにあわせて曳網索の長さが調整されています。また、着底用トロールは海底の障害物によって大きな張力がかかりやすいため、より破断しづらいワイヤロープが使用されています。表中層トロールの袖網の先には先袖ロープを接続し、そこに浮子や錘を取り付けることで上下に網口が広がるようにします。
トロール網は、網本体である「袋網」と、網口の前で左右に展開させて網内部に遊泳生物を追い込む「袖網」とからなります。網口の上辺(ヘッドロープ)には浮子やカイト(水流を受けて浮力を生じさせる構造物)が、網口の下辺(グランドロープ)には錘となる金属製の鎖が組み込まれており、網口を上下方向に広げることで採集効率を高めています。袋網は網口から尾部に向かって網の目が細かくなり、最後尾には漁獲物をため込む箇所があります。最後尾の部分をコッドエンドと呼び、捕獲対象とする生物のサイズが小さい場合や網目を抜けてしまう可能性のある場合は、コッドエンドの内側により目の細かいモジ網の袋を入れ込みます。
オッターボードは断面が曲線となっている金属製の頑丈な板で、曳網索を接続するための金具が取り付けられています。網を展開させる作用を強めるため左右のオッタ―ボードの間隔が開くように水の抵抗をうまく利用した形状をしています。