漁具形状測定装置
セクションアウトライン
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効率よく生物試料を採集するには、曳網中の網の深度や網口の開口状態などを知ることが重要です。トロール網に音響通信機能付きの水中センサを取り付ければ、操業中の網の深度や形状をリアルタイムに監視することができます(図9)。センサの計測値は音響信号に変換され、船底に設置されている水中マイク(ハイドロフォン)がこれを受信します。受信したデータは船上の制御装置で処理されてモニタに表示されます(図10)。
図9 漁具形状測定装置の水中センサと測定項目
おしょろ丸には以下の水中センサが装備されています。
【深度・水温・傾斜複合センサ】
ヘッドロープに取り付け、深度と姿勢、水温を計測します。
【トロールスピードセンサ】
ヘッドロープに取り付け、網口の縦断方向/横断方向の対水速度を計測します。
【トロールアイセンサ】
ヘッドロープに取り付け、網の上下の魚探映像を取得します。また、ヘッドロープから海底までの距離、ヘッドロープからグランドロープまでの距離を計測します。
【袖網間隔センサ】
袖網の左右にそれぞれ間隔センサとトランスポンダを取り付け、両者の距離(袖網がどのくらい開いているか)を計測します。
【深度計付きオッターボード間隔センサ】
左右のオッターボードにそれぞれ間隔センサとトランスポンダを取り付け、両者の距離(オッターボードがどのくらい開いているか)を計測します。また、間隔センサとトランスポンダには深度センサが組み込まれており、オッターボードの深度も併せて計測します。
図10 漁具形状測定装置の構成
水中センサが発した信号は船に向かって水中を伝搬していきます。受波器(ハイドロフォン)が音波信号を受けると、船上の受信装置がこれを処理して数値化します。数値化された計測データは専用のデータ表示モニタに数値や図としてリアルタイムに出力されます。
図11 ソナードーム
音響計測機器の送受波器はソナードームと呼ばれる船底の構造物に設置されています。漁具形状計測装置のハイドロフォンは、後方からの音波信号を受信しやすいよう、ソナードームの最後部(丸印の箇所)に配置されています。