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標本を管理・保管することの大切さ
分類学は「標本ありき」の学問分野
分類学では対象となる生物の標本を観察し,さまざまな特徴を調べていく。したがって,分類学は「標本ありき」の学問分野であり,標本がなければ基本的には研究を進めることはできない。
標本は通常,博物館などの研究機関に学術標本として保管されている。生物を扱う研究では,実験に使った生物の名前(学名)を明示することが,研究の再現性を保証する上で重要であると第 1 章で述べた。しかし,分類学にとっては生物の学名を明らかにするのが目的のひとつであり,示される学名が研究の結果である。そして,その結果の再現性を保証するのが学術標本なのである。
分類学的研究を進めていれば,過去に公表された著作物で使用された標本の再観察が必要になる。なかでも,とくに重要なのはホロタイプやシンタイプなどの担名タイプの観察である。また,かつて自分で観察した標本であっても,新しい分類形質が見つかって再観察が必要になる場合もあるし,計数や測定の誤りが疑われる場合も再観察の対象となる。その他にも,かつて誰かがある種を,その本来の分布から著しく外れる場所から報告したような場合も,種の同定に誤りがないかを確かめる必要があるだろう(実はこういう確認をていねいにやっていると,新種の発見につながることがある)。標本はその種が存在した証拠
未来永劫にわたって分類学的研究が行われていくのであれば,半永久的に適切に保管することができる博物館などの研究機関で標本を管理すべきである。実際,規約にも勧告として「著者は……学術標本コレクションを維持管理し,それらを保管しかつそれらを研究用に利用可能にする設備を有する研究機関にタイプ標本を供託すべきである」と記されている。また,研究機関に対しても,担名タイプを「安全に保管するために必要なあらゆる手段をとるべきである」と述べられている。
確かに,担名タイプは種の学名の基準となるため,とくにしっかりとした管理が必要とされる。しかし,担名タイプではないパラタイプやパラレクトタイプはもちろん,タイプではない標本もきちんとした管理が強く望まれる。学術標本が研究結果の再現性の担い手となることが大きな理由であるが,たとえば,ある種類が分布していた地域からすでにいなくなってしまった場合でも,その地域から採集された標本が残されていれば,間違いなくそこに生息していたことを示す証拠となる。同様に,すでに絶滅した生物であっても,標本が残されていれば,かつてはその種が確かに地球上に生息していたことは示すことができる。標本の持つ価値はさまざまなのである。
標本の貸し出し
分類学の論文では,観察した標本の登録番号を明記する。たとえば,北大総合博物館に収蔵される魚類標本は HUMZ の略号で表され,HUMZ 123456 のように数字がその後に続く。このように,研究機関ごとに登録番号が割り振られており,登録番号がわかれば,標本台帳やデータベースを検索することで種名はもちろんのこと,付随する採集データなどを調べることができるのである。データベースが整備されていれば,いろいろなデータから標本を検索することができ,非常に効率的である。
したがって,ある論文で使用された標本の所蔵機関と登録番号がわかれば,その機関で標本管理を行っているキュレーターやコレクションマネージャーに連絡して種名と登録番号を伝え,当該の標本を貸してもらうことができる。ただし,日本のように郵便や宅配便が相手にまず間違いなく届く国ばかりではない。国や地域によっては,発送後に紛失してしまうことも時々ある。かつて,ある海外の研究機関から標本を送ってもらったが,いつまで待っても届かないことがあった。先方にも戻っていなかったので,途中で紛失したものと思われる。
このような配送中のトラブルがあるため,担名タイプの貸し出しを行わない研究機関も少なくない。また,標本が非常に大きいために借用できないこともある。そのような場合は,自ら当該研究機関に赴き,そこで標本を観察させてもらうしかないのである。