半反応の標準電極電位を求める例題
有機物酸化の半反応①で移動する電子4e-に生じる電位をE①(V)とします。
ボルト(V)の単位は(J / C)と換算できます。J(ジュール)はエネルギーの単位、C(クーロン)は電荷量の単位です。1モルの電子がもつ電荷量の絶対値は、ファラデー定数(F)96485 (C / mol)で与えられます。
したがって、半反応式①の電子4e-がもつエネルギーは、-4・F・E① (J)です。
この電子がもつエネルギーを含めて、各物質の標準生成ギブズエネルギーを半反応式の下に記し、半反応の左辺と右辺でエネルギーがバランスする式を解きます。
有機物酸化の半反応の標準電極電位
(原形) (生成形)
① CO2
+ 4H+
+ 4e- = CH2O + H2O
Gf0 (kJ/mol) -385 0 -129.7 -237.18
電気エネルギー(J) -4FE①
左辺と右辺の合計エネルギーがバランスする式:
-385・103 -4FE① = -129.7・103 -237.18・103
未知数 E① を求めます。
E① = (-129.7・103 -237.18・103+ 385・103)/(-4・96485) = -0.05 (V)
これは、左辺(原形)と右辺(生成形)の標準生成ギブズエネルギーの合計差(生成形-原形)が4電子に与えられることを意味します。酸化還元反応では、この電子に与えられたエネルギーを使って化学結合を組み直すのです。
そのエネルギーから計算される電位(E①)を、その半反応の標準電極電位とよびます。標準生成ギブズエネルギーは物質に固有の値を持つので、半反応式ごとに固有の標準電極電位をもつのです。