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  • 地球の気候変化と炭素収支の歴史

  • 地球の炭素収支と海洋深層への隔離

    •  地球の気候変動は炭素収支の歴史でもあります。地球が形成されて間もない頃の大気の二酸化炭素は大気組成の97%を占めて、二酸化炭素分圧は40気圧にも達していました。現在の地球大気は1気圧で二酸化炭素は380ppmなので、現在の1万倍もの量です。その後、膨大な量の二酸化炭素を海洋が吸収し、石灰岩として堆積し、大陸の形成とともに地殻に隔離されました。顕生代になってからは、植物が作った有機炭素が、化石として地中に固定されたものがあります。近年の地球温暖化は、地中に固定されている化石の炭素が地球表層の移動可能な場所へ供給されることに起因します。




    •  海は、地球誕生のあと数億年以内にできました。海洋底は玄武岩質(CaSiO3 )で覆われていましたが、それが徐々に溶けだして、海水にCa2+を供給します。大気から海洋に吸収された二酸化炭素はCa2+と反応して炭酸カルシウム粒子として堆積します。これをまとめた反応が以下になります。

      CaSiO3 + 2CO2 + H2O  → CaCO3 + CO2 + H2O + SiO2




    •  海洋底で保持できる炭酸塩粒子の量には限りがあります。海洋底が炭酸塩岩で覆われてしまえば玄武岩からCa2+は溶出しづらいだろうし、海洋底が動いて地球内部に潜り込めば、火山ガスとして二酸化炭素が大気に戻ります。それでも、30億年前までに、大気中二酸化炭素分圧が20 (atm)まで下がりました。


      海嶺とマントルへの沈み込みをイメージしています。大陸の成長にもつながります。ここでは、30億年前から大陸が急成長したとして、その直前までに大気中二酸化炭素が半減したことを想定しています(参考:田近英一著, 地球環境46億年の大変動史)。


    •  大陸の成長が始まったのは30億年前からで、現在に至るまで徐々に成長してきました。最近の研究によると(沢田ら, 2018)、30億年前には大陸面積が地表面積の30%くらいに達したという説もあります。大陸が成長するときには、海洋底の炭酸カルシウムが大陸地殻に取り込まれます。玄武岩質の大陸地殻が地表面に露出すると、風化の作用が急速に高まり、海洋へのCa2+の供給が増えます。膨大な量の二酸化炭素を海洋が吸収し、石灰岩として堆積し、大陸の成長とともに大陸地殻に隔離される仕組みができたのです。こうして、大気中二酸化炭素の濃度が減少したと考えられます。




    •  地球の気候変動は炭素収支の歴史でもあります。地球が形成されて間もない頃の大気の二酸化炭素は大気組成の97%を占めて、二酸化炭素分圧は40気圧にも達していました。現在の地球大気は1気圧で二酸化炭素は380ppmなので、現在の1万倍もの量です。その後、膨大な量の二酸化炭素を海洋が吸収し、石灰岩として堆積し、大陸の形成とともに地殻に隔離されました。顕生代になってからは、植物が作った有機炭素が、化石として地中に固定されたものがあります。近年の地球温暖化は、地中に固定されている化石の炭素が地球表層の移動可能な場所へ供給されることに起因します。




  • おわり