コース内容
第1章では、海水の移動を把握するためには水温と塩分の分布(T-S分布)を調べることが大事で、補足欄では、魚の移動も大よそT-S分布に一致することにもふれました。本章では、魚の移動よりもずっとミクロな移動、全海洋をゆっくりではあるけれど、ダイナミックに移動する物質輸送の話しをします。
ある場所で沈み込んだ水塊は長い時間をかけて海洋の中深層を旅しますが、そこに含まれる物質も姿形を変えながら一緒に旅を続けています。下に、海水中の化学成分の鉛直分布を決める要因のイメージを絵で表しました。本章を通してこの具体的なイメージがもてるようになりましょう。
この章のキーワードは、「溶存」、「粒子態」、「重力落下」、「凝集」、「ガス化」、そして、これらを特徴づける「サイズ」です。海水中での物質の移動を考えるには、その物質のサイズが決定的な意味をもちます。