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    • このページでは、授業の見やすい概要と関連するリンクを示します。
      最新の「授業計画」や「成績評価の基準と方法」などの情報については、
      北大の公式シラバスを必ず確認してください。






    • 海は38億年もの年月をかけて生命を育んできました。ここには微生物から魚類まで,想像以上に多種多様な生物が棲んでいます。海の物理化学的環境は,陸のそれとは大きく異なることから,海の生物は陸上生物とは異なる独特の生命現象を示します。したがって,多様な海洋生物の生命現象を組織,細胞,分子のレベルで解明することで,生命科学の進展につなげることができます。また,海の物理化学的特性を知ることで,海洋生物がなぜ特有の生命現象を維持してきたのか,その理由に迫ることもできます。

      この講義では,海の物理化学環境と生物の関わりを調べ,海洋生物の生命現象を解き明かす研究に携わっている本学の教員が,様々な海洋生物の遺伝,発生,代謝,生理,進化などを包含する「生命科学」のトピックスをオムニバス方式で講義します。


    • 海洋生物の生命科学研究に携わっている研究者の話を通して,海洋生物の生命現象の多彩さ,海の物理化学環境と生命との関わり,それを研究する面白さを理解してもらうことを目標とする。また,海洋生物の生命科学を進めることは,世界の食資源供給に役立つ水産物の増養殖に役立ち,その上マリンバイオテクノロジーと呼ばれる海洋生物の能力を有用酵素や薬理の生産,そして環境浄化などに活用する新技術の開発にもつながることを学んで欲しい。さらに,海洋生物の生命科学に必要な,遺伝子組換え技術,受精卵操作,ゲノミクス,プロテオミクスといった最先端の技術について知って欲しい。

  • 担当教員:工藤 勲

     

    札幌出身。

    北海道大学大学院水産科学研究院 教授

    水産学博士(北海道大学、1989年)

    専門分野:海洋生物地球化学、基礎生産学

    北部北太平洋の外洋域に微量の鉄を散布して、

    植物プランクトンを増すことにより生物生産性を

    加速させて地球温暖化を抑制させる実証実験に参加。

       

    ・植物プランクトンは、地球を救えるか?


    二酸化炭素変動の特徴とその要因

    ①季節変化(夏に最低、冬に最高)
       陸上の光合成
    ②振幅の地域差(アラスカで最大)
     植物量の季節差の違い
    ③全球的に毎年約1.6 ppm増加
    ④2017年には、400 ppmを突破






    大気中の二酸化炭素の変化。ノコギリの歯のように季節的に変化。夏に陸上の草木が光合成により葉に二酸化炭素を有機物の形で固定するので減少。夏から秋には葉が落ちて分解することにより有機物の炭素は再び二酸化炭素として大気に放出。地域によって振幅が異なる。振幅の大きいアラスカでは夏と冬の生物量の差が最も大きい、南半球の島(サモア)では海に囲まれているので、その影響は小さい。南極においても苔などの生物が夏に生えるだけなので、振幅は小さい。よく見ると北半球と南半球で振幅が逆位相。(植物の生育時期が半年ずれている)。しかし、全体としては右肩上がりで年々増加している。これは人為起源の二酸化炭素が蓄積。昨年には400ppmを突破した。


    大気中の二酸化炭素が増えるとどうなるの?





    人為的CO2増加に対する海の役割




    地球温暖化緩和策としての鉄散布による

    植物プランクトンの炭素吸収力向上の効果と影響評価実験



    研究紹介:「陸奥湾における貧栄養化とその対策」


  • 担当教員:笠井亮秀(海洋資源科学科 海洋環境学講座)

    ・日本の漁業















    Critical Period Hypothesis (Hjort, 1914)

    Underlying explanations of recruitment variation among fish stocks have been an issue for several decades. An understanding of biological relationships between larval fish and their zooplankton prey is needed for interpreting recruitment success. Recruitment fluctuations often depend upon events occurring during a critical period between spawning and the time of first feeding by larvae. Conditions affecting these early life stages will also determine the number of individuals that survive in a year class. The timing of spawning can enhance the spatial and temporal affinity between larvae and their food resources.


    ・マアジの初期減耗過程のモデリング

      マアジは2~3歳で成熟し、成熟雌魚は1個体あたり,5~50万粒を産卵。

      主産卵期は2月~5月。

      多獲性浮魚類の代表。TAC対象魚種。

         →大きな初期減耗 Hjort (1914)の仮説

      










    ・稚魚分布との比較


     













    ・90日後の粒子位置と生残量















    研究紹介:環境DNAを用いた海洋生物多様性の評価と水産生物の資源量把握


    • 毎回、 課題の提出または小テストを行い、その成績と出席状況によって評価する。
      講義に参加し, 課題の提出または小テストの解答を行ったものを出席として扱う。
      授業回数の8割以上の出席ならびに課題(または小テスト)の提出したものを成績評価対象者とする。
      課題(または小テスト)の平均点が6割以上のものを合格とする。
      なお,「A+」は履修者数の上位 5%以内を目安とする。

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       持続的な漁業生産(養殖を含む)のためには、海の生き物の発生や成長の仕組みを理解する必要があります。魚を無駄なく利用して(ゴミをゼロに)、付加価値を高めることも大事です。本授業では、今後これらの学問を専門的に学びたい皆さんのために、その基礎となる情報を提供します。将来的に、SDGs(飢餓をゼロに、海の豊かさを守る)に貢献できる人材の養成を目指しています。

       国連では2021年からの10年間を、「海洋科学の10年」に定めて、SDGsに貢献することを目指しています。国連が定める海洋科学には、水産漁業の分野も含まれます。