セクションアウトライン

  • ここからは,ものへの様々なアプローチを見ていきます.

    一つ目は物質文化研究(MaterialCulture)というアプローチです.

    歴史考古学や民俗学,技術史などが関係する研究分野で,日本では物質文化研究会なども組織されています.

    物質文化研究における「もの」の定義,つまり物質文化研究が扱う「もの」は,「人の手が加えられた人工物」です.自然物については「もの」とみなしません.

    ここでは,ものの制作過程や制作技術,道具としての意味などが主な研究対象とされています.

    しかし,「人間にとってものとはそもそも何か」を問うようなアプローチはあまり見かけませんし,そもそも「人間の手助けをする道具としての<もの>」という前提からスタートしているので,いわゆる「道具的モノ観」に寄っている,とみなされることもあります.