琵琶瀬湾と浜中湾の珪藻群集は,10-15kmの範囲において,生物量および分類群に大きな空間的変動が見られました。また,水温,塩分,栄養塩などの環境変数や,海岸の地形的な特徴も,観察された変動に関連していました。環境要因の変動は、沿岸の親潮と琵琶瀬川とその周辺の霧多布湿地による陸上からの流入の両方に強く影響されているようです。地理的な影響としては、琵琶瀬湾と浜中湾の間にある半島によって分断されている遠洋海域の歴史的なつながりが挙げられます。この研究はスナップショットのデータに基づいているが、浜中沿岸水域で収集された最初のデータセットであります。得られたデータは、この地域の沿岸生態系や生物多様性に大きな影響を与えると予想される、進行中の気候変動が沿岸生態系に与える影響の評価など、今後の研究の基礎情報として活用すると期待されます。