従来、極夜は日照が無いことから生物生産が乏しいと考えられていました。しかしアエティデウス科カイアシ類5種の再生産時期はいずれも極夜にありました。本研究の結果は、極夜の北極海の深海域は、従来考えられていたよりも生物活動が活発なことを示しています。
また、同所的に出現するアエティデウス科カイアシ類5種の身体の各部分を計測することにより、若い発育段階から種同定をする方法が確立されました。アエティデウス科カイアシ類は北極海の深海で沈降粒子量の40%を消費すると試算されている、物質循環における重要な種です。今後は本研究によって確立された方法を用いて、本科カイアシ類の生態研究がより発展することが期待されます。