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    •  アエティデウス科カイアシ類5種のうち1種は、年間を通して水深1,000 m以深に分布し出現個体数密度も低いものの、残りの4種は白夜(5月-8月)になると水深600-700 mに集中して分布していました。一方、極夜(11月-1月)では種によって分布深度が異なり、2種は分布深度が300-400 mへと浅くなり、1種はそのまま600 m付近に分布し、1種は分布深度が800 mへと深くなっていました(概要図)。同じ科でありながら極夜における分布水深が種ごとに異なることは、光が乏しく深海への沈降粒子量が少なく、餌が乏しい季節に、餌を巡る競争を緩和させるためであると解釈されました。

       また、個体群構造の季節変化から推定された再生産時期は、分布水深の異なる種間で異なっていました。極夜に分布水深が浅くなる2種の再生産は、極夜の後期にあるのに対して、極夜も深い水深に留まる2種の再生産は、極夜の初期にあったことがわかりました。