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    • 海面は、大気中ヨウ素の主な放出源です。ヨウ化メチル (CH3I) やヨウ化エチル(C2H5I)などの有機ヨウ素ガス は、上部対流圏と下部成層圏における反応性ヨウ素の供給の 2040% に寄与しています。海洋では、 有機ヨウ素ガスの主な生産者は、大型藻類や微細藻類(植物プランクトン)などの海洋植物であると考えられています。従来の研究のほとんどは、海洋植物が成長する海洋表層(およそ光が届く層)での 有機ヨウ素ガス生産に焦点が当てられてきました。本研究チームによる先行研究では、北極のチュクチ海と北ベーリング海、北海道噴火湾の底層水で、高濃度の C2H5Iを発見していました。そのため、海底面に有機ヨウ素ガスの発生源があることを推定しました。そこで本研究では、海底付近で C2H5Iが高濃度になる現象を解明するため、北海道噴火湾で海水と堆積物を採取する時系列の海洋観測、北部ベーリング海と南部チャクチ海で単発の海洋観測を実施しました。また、植物プランクトンの珪藻を暗所に置いて有機ヨウ素ガスの発生を確かめる室内実験も行いました。