気候変化が海洋生態系に与える影響を探るうえで、漁業情報がない海域では、海鳥の餌や分布の変化がそれに代わる便利なインジケーターとなります。地球温暖化による極域の海氷減少によって生態系がどう変わろうとしているのでしょうか?それを海鳥をとおして探ることができないかというのがこの研究です。ハシボソミズナギドリは9月にはベーリング海峡からチャクチ海に入ることがわかりました。渡りの直前にわざわざ反対方向の北に行くのだから、この場所はかれらにとって餌が多いとても重要な場所であるに違いありません。ArCSプロジェクトのおしょろ丸による調査により、北極海のオキアミは夏には小さいが秋には数ミリまで成長していること、この成長したオキアミが多い場所にハシボソミズナギドリも多いことがわかりました。やはり、秋に北極海に入るのは、オキアミを狙ってのことのようです。
