Karenia Selliformis 道東株
Perfilado de sección
-
2021年秋に道東で赤潮を引き起こしたKarenia selliformisの道東株はサケ・ウニ・タコ・ツブなどの多様な生物に大きな被害を及ぼしている。一方、二枚貝や甲殻類などにはそれほどの影響が出ていない。その被害の原因が毒性物質によるものなのか、あるいは他の要因、例えばエラが詰まるもしくは溶存酸素の低下など、によるものか未だ十分には明らかになっていない。しかし、影響を受ける生物のパターンがこれまでの K. selliformis による赤潮被害のパターンとよく一致しており、何らかの毒性物質の生産によるものが強く疑われる。
2021年12月に根室で採集した試料を用いて、K. selliformis ニュージーランド株で報告されているギムノジミンの有無を分析したところ、一切検出できなかった。一方、ギムノジミン非産生型であるK. selliformis パタゴニア株で報告されている分子量836の化合物を分析したところ、先行研究と同様に二つのピークが観測された。この物質の構造は未知であり、また毒性物質の本体であるかも不明であるが、今後は精製と生物活性試験を行い、またその構造を決定する計画である。
