チャクチ海北東部陸棚縁辺上の観測点HSN/NHCで観測された水温の時系列変動を示す。この観測点では7月から3月にかけて太平洋夏季水に分類される水塊が確認された(図3の色付き部分)。この色付きで示された時期に関して、太平洋夏季水を多く含む亜表層(30–60 m) の平均水温は期間1(2003–2005)で0.0°C、期間2(2015–2019)で0.3°Cであった。また同観測点における流向は一年を通して北西向きで、色付き時期の亜表層の平均流速(北西向き:正)は期間1で15.4 cm
s-1、期間2で20.9cm s-1であった。これによりチャクチ海陸棚縁辺部上の観測点HSN/NHCに存在する太平洋夏季水がChukchi Slope Currentによって、北西向きに輸送されていることが示唆された(図4)。

図3. 観測点HSN/NHC水温の時系列変動

図4. 北西向き(赤色)流速の時系列変動(海面-150 m)