日本東方海域に存在する中規模渦は、渦中心付近の水温から、暖水渦(暖水塊)、冷水渦(冷水塊)と呼ばれることが多いです。このうち、暖水渦は海面が周囲より高い高気圧性渦(凸渦)であり、海面付近の海水は時計回りに回転しています(下図)。暖水渦の海面が周囲より高いのは、暖水の密度が冷水の密度より低いためであり、海水より密度の低い氷山の一部が海面上に出ているのと似た現象です。ただし、海水温の差による渦内外の密度差は、海水と氷山の密度差よりずっと小さいため、暖水渦の深さ方向への広がり(1000m以上)に対し、渦中心付近の海面上昇はごく僅か(1m以下)となっています。氷山の場合、海面上に出る氷の体積は、氷山の全体積の10%程度です。
