섹션 개요

    •  ソリネットによる採集作業の流れを図4に示します。ソリネットを海中に投入し、ウィンチのメインワイヤを繰り出して海に沈めていきます(投網)。網が海底に着いたら(着底)、船を前進させて海底面上を曳きます(曳網)。調査海域の水深から着底に要するワイヤの繰り出し長さを予め予測しておき、最終的にはメインワイヤにかかる張力の変化を基に着底を判別します。網が着底すると、メインワイヤにかかる張力が低下するとともに、海底面を引きずる抵抗によって、小刻みに張力が増減するようになります。着底してすぐにメインワイヤの繰り出しを停止してしまうと網が浮き上がってしまう可能性があるため、着底時のワイヤの長さよりある程度長く繰り出した時点で停止するか、着底後も低速で繰り出し続けます。障害物に引っかかる、あるいは大量の採集物が網に入るなどして大きな荷重がかかった場合に即座に対応できるよう、曳網中も張力を注意深く監視し続けます。任意の距離を曳くか、あるいは任意の時間が経過したらメインワイヤの巻上げを開始します。網が海底から離れる(離底)までは、引き続き張力の変化を監視しながら、低速で巻き上げます。網が離底したら巻上速度を上げ、船上に回収します(揚網)。ソリネットが船上に回収されたら、コッドエンドを開いて網の中から採集物を取り出します。


    • 4 採集作業の流れ


    • ソリネット採集試料の例

      5 ソリネットによって採集された生物試料


    •  深い海の底に沈めた網がどのような状態にあるかを、張力だけを頼りに推し量るのは簡単なことではありません。特に水深が大きい場合は、繰り出したワイヤロープの重さが網の重さを大きく上回っているうえ、ワイヤロープの弛みや伸びの影響が大きくなるため、張力の変化だけで着底や離底を見極めるのは困難です。そこで、曳網中の網の位置や姿勢などをより詳細に把握する為、漁具形状測定装置などの音響通信機器が用いられることもあります。