Section outline

    •  プランクトン群集の採集される深度情報は、それらの生態を研究する上で必要となります。プランクトンネットを「鉛直曳き」する場合、ネットをまっすぐ目的深度へ降下させられれば(ワイヤロープが水面と直角に海中へ入っている状態)、ウインチから繰り出されたワイヤロープ長がネット深度となります。一方、船舶はいつも風や潮流の影響を受けているので、船位を保つことはできません。また、ネット自体も同様に海中で潮流の影響を受けるので、ネットが船の直下から離れていくことが考えられます。船舶とネットが離れてワイヤロープが傾いた状態では、繰り出したワイヤロープの長さとネット深度が等しくなくなってしまいます。そこで、海中でワイヤロープはまっすぐである(たるんでいない)と仮定して、繰り出したワイヤロープの長さと図4に示す傾角度(θ)の正弦(sinθ)を積算することでネット深度を求めることができます。この時、希望する目的深度までネットを到達させるために必要なワイヤ長も傾角度(θ)がわかれば求めることができます。ワイヤロープの傾きを計測するための器具を傾角度板といいます(図5-a)。傾角度板は分度器のような半円状の盤面と、鉛直下向き方向を指し示す錘付きの指針とからなり、この指針とワイヤとがなす角度を傾角度とします(5-b)。指針が鉛直下向きとなるように傾角度板を傾けることに注意が必要です(5-c)


    • プランクトンネット 傾角度

      4  ワイヤロープの長さ・傾きとネット深度の関係


    • プランクトンネット 傾角度板

      5  傾角度板の使い方


    •  観測現場では、図4に示した計算をする手間と時間を省くため、傾角度とワイヤ長、深度の関係を表した一覧表(6: 傾角補正表)を用いてネット深度を割り出しています。この補正表は、ワイヤ傾角度(Angle)が「列」に、目的の深度(Depth)が「行」にとられており、それぞれが交差する箇所にその深度に到達させるために追加すべきワイヤ長が示されています。図6の例では、目的の深度が150 m(青枠)で、ワイヤ傾角が10°(黄枠)のとき、ワイヤロープを150 +2 m(赤枠) =152 m繰り出すことによってネットを目的の深度に到達させることができることを表しています。傾角補正表には、あるワイヤ傾角における、ワイヤ長と実際のネット深度の関係を示したものもあります。

      参考:傾角補正表(エクセルファイル)


    • プランクトンネット 傾角補正表

      6 傾角補正表


    •  今日では深度センサをネットに取り付けてサンプリングの後にネットの到達深度を記録しています。また、アーマードケーブルにつながったネットであれば深度センサの情報がリアルタイムに船上で把握できます。また、音響通信技術を利用してリアルタイムに網の深度を監視できるシステムも利用されています。