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    •  「鉛直曳き」、「傾斜曳き」「水平曳き」と呼ばれるプランクトンネットの曳網方法があり(図3)、研究対象とするプランクトン群集の生物量・分布および生態に応じて調査・研究の目的を考慮して曳網方法を選択します。

       「鉛直曳き」は、停船させた船から海中にネットを降下させた後、引き上げるだけのもっとも単純な曳網方法です。巻き上げ機(ウインチ)に巻き取られているワイヤロープの先端にプランクトンネットを接続し、目的の深度と同じ長さだけそのロープを繰り出し、ふたたびロープを巻き取ることでネットを曳きます。一回の曳網によってろ過できる海水の量が限られる為、個体数密度の比較的高い生物を採集するのに適しています。また、比較的曳網時間(距離)が短く、曳網中に起こる試料の損傷を抑えられることから、動物プランクトン群集の飼育実験用など「活きのよい」ことが求められる試料の採取にも鉛直曳きが用いられます。

       「傾斜曳き」と「水平曳き」は船を前進させながら網を曳くことによって大量の海水を濃縮するもので、個体数密度の低い、あるいは集塊が点在(パッチ状)する生物の採集に適しています。「傾斜曳き」は、ある目的の深度まで網を沈めた後、直ちに網の引き上げを開始する方法で、網を沈めた深さから水面までにわたる全ての層からまんべんなく試料が採集されます。通常は、網を沈めていく最中に網の中へ侵入する試料が極力少なくなるよう、ワイヤロープの繰り出し速度を速めるなどして短時間のうちに目的の深度に網を到達させ、逆に網を引き上げる際は、曳網距離を長く設定するためにゆっくりとワイヤロープを巻き上げます。そのため、網の軌跡は非対称のV字型となります。「水平曳き」は、網を目的の深度に沈めたのち、その深さに網を保ったまま船を前進させ続けることによって、特定の深度層の海水を大量にろ過する方法です。対象生物の生息深度が分かっている場合や、特定の深度層に生息する生物群集の生物量・組成などを調べる場合に用いられます。


    • プランクトンネット曳網方法

      3 プランクトンネットの曳き方

      a)鉛直曳き(Vertical tow):停船させた船から鉛直方向(真下)に沈めた後、巻上機(ウインチ)で網を引き上げます。

      b)傾斜曳き(Oblique tow):前進している船から網を海中に下ろし、目的の水深に到達したらウインチで網を水面まで引き上げます。

      c)水平曳き(Horizontal tow):網を目的の深度まで下ろした後、すぐに引き上げずにその深度に網を沈めたまま船を前進させます。